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異世界転生は苦労がいっぱい 〜いきなり高貴な人の面倒ごとに巻き込まれたけど、仲間と一緒に難題を解決します〜  作者: 藤なごみ


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第六十六話 ちょっと暴走モード?

 ガラガラガラガラ。


 バスク子爵領への街道を、馬車が檻を引きながら進んでいきます。

 しかも、昨日よりもかなり速いスピードで進んで行きます。


「わあ、速い速い!」

「凄い凄い!」


 シロとミケがはしゃいでいるけど、俺達はそれどころではない。

 馬がかなり速いスピードで馬車を引っ張っているので、馬車の中が結構揺れているのだ。


 ガタガタガタガタ。

 ガタガタガタガタ。


「こ、この振動は、中々の、もの、じゃな」

「檻を、引っ張って、いるのも、ありますね」

「あた。うう、腰打ったよ」


 ガタガタと馬車が振動で揺れているので、中に入っている俺達は大変だ。

 何とかクッションがあるので体を馬車内に打ち付ける事はないのだが、シロとミケ以外は必死になって馬車のどこかを掴んでいた。


「こ、このままですと、想定よりも、早く、バスク子爵領に、着きそう、です、ね」

「そう、ですね。夕方の、到着を、見込んで、いましたが、お昼過ぎ、には、着きそう、です」


 リンさんとオリガさんが予定到着時間を話していたが、この馬車のスピードなら相当早く着きそうだ。

 今は御者をマリリさんが務めているのだが、マリリさんも馬車から振り落とされない様に必死で手綱を掴んでいた。

 街道もこんなスピードで走る馬車に合わせた舗装になっているはずもないので、御者は特に必死だろうな。


「はあはあはあ、御者をしてこんなに体力を使ったのは初めてです」


 野営ポイントについたので、一旦休憩をとります。

 マリリさんも疲労困憊になっていて、飲み物を飲みながら木に寄りかかっていた。

 マリリさんが疲れているので、皆の休憩用のお茶は俺が準備します。

 因みに、シロとミケ以外は飲み物だけで食べ物は辞退していました。

 

「「ブルル」」

「おお、お馬さん元気だって」

「まだまだ行けるって言ってるよ」


 うん、シロとミケが通訳しなくても、誰の目から見ても馬は物凄く元気だ。

 蹄とかも問題ないし、外傷も全くない。

 俺達に回復魔法は不要だと言わんばかりなので、おもちには女性陣の方に向かって貰った。


「だ、大丈夫ですか?」

「何とか、大丈夫です」


 俺達でさえあの馬車の振動は大変なのだから、旅に慣れていなさそうなエルシーにはかなり応えた様だ。

 エルシーは、おもちから回復魔法をかけて貰って何とか復活した様だ。

 他の女性陣もおもちに回復魔法をかけて貰っていたけど、流石というかもうある程度復活していた。


「「「ぐえ……」」」


 因みに、檻の中に入っていた盗賊達もぐったりとしていた。

 あの馬車の後ろにくっついていたのだから、下手な絶叫マシーンよりも怖かっただろう。

 流石に俺も盗賊の事が可哀想になったので、おもちに回復魔法をかけて貰った。

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