第六話 異世界での初めての戦闘
「「ふんふんふーん」」
シロとミケが、楽しそうに鼻歌を歌いながら歩いている。
二人は仲良く手を繋いで、俺の少し先を歩いていた。
少し風は冷たいけど、歩くとちょうど良いくらいの天気で心地よい。
「「こんにちは!」」
「はい、こんにちは」
時折すれ違う人や馬車に向かって、シロとミケは元気よく挨拶をしている。
挨拶された人も、ニコニコとしたシロとミケにつられて笑顔で返事をしていた。
そんな感じで街道を歩く事、一時間。
ガサガサ、ガサガサ。
「あ、何かがやってくるよ!」
「ミケ達を狙っているよ」
先頭を歩くシロとミケが突然立ち止まったかと思ったら、武器をマジックバックから取り出した。
異世界で初めての戦闘になりそうで、俺も刀をアイテムボックスから取り出した。
ガサガサ、ガサガサ。
「「「ガルルル!」」」
「あれはオオカミか? もしくはウルフか」
街道沿いの森から、五頭のオオカミが飛び出してきた。
唸り声を上げてこちらに飛びかからんとしている辺り、オオカミは俺達の敵で間違いないだろう。
ざっ。
「「ガルルル!」」
あ、二頭のオオカミがこちらに突っ込んできた。
俺は刀を構えて、突っ込んできたオオカミを迎撃をしようとした時だった。
「「とー!」」
バキン、カキーン!
ガントレットを手にはめたシロはオオカミをぶん殴って、ミケもバトルハンマーでオオカミを吹き飛ばしていた。
二人の一撃を受けたオオカミは、森の中へ吹き飛んでいった。
二人の攻撃をみたオオカミは、明らかにこちらを警戒する様になった。
うん、この様子だと二人が戦う事に問題はなさそうだ。
「シロ、ミケ。オオカミを森に吹き飛ばすと素材が取れないから、吹き飛ばさない様にね」
「「はーい」」
俺の声掛けに、シロとミケが俺の方を向いて返事をしていた。
その間も、オオカミはこちらを警戒していて攻撃してこなかった。
「じゃあ、今度はこちらから攻撃しよう」
「「おー!」」
オオカミを倒すのにあまり時間をかけてはいられないので、今度はこちらから攻撃を仕掛けた。
「せい!」
「とー」
「やー」
オオカミはこちらを撃退しようと身構えるが、こちらの方が速く攻撃した。
特に慌てる事もなく、オオカミを撃退する事ができた。
「ふう、何とか倒せた。意外と慌てなかったな」
オオカミから思いっきり血が出ているけど、俺は冷静になっていた。
この世界に、精神的にも適応しているのかもしれない。
先ずは、オオカミを生活魔法で綺麗にしてみよう。
「おお、毛皮も血も綺麗になった。これは凄いなあ」
生活魔法でピカピカになったオオカミを見て、思わずびっくりした。
生活魔法って、本当に便利だな。
綺麗になったオオカミは、俺のアイテムボックスに格納する。
これでオオカミとの戦闘はひと段落だ。
「シロ、ミケ、武器を綺麗にするからこっちにきて」
「「はーい」」
シロとミケの武器と服を、俺の生活魔法で綺麗にしていく。
うーん。
この分だと、暫くは生活魔法をメインで使いそうだ。
ここは、魔法の練習になるからと割り切っていこう。




