第五十三話 無我夢中での討伐
「エステル、ビアンカ、俺達はビルゴをやるぞ。サトー、そっちは任せた」
「分かりました。オリガさんを先頭にしてリンさんとシロとミケが前線に、バルガス様とマリリさんとザシャとクレアは後衛に」
「「「了解!」」」
アルス殿下の掛け声に合わせて、それぞれ一斉に動き出す。
ビルゴへは、ビアンカ殿下とフランソワが後衛から電撃を放ち隙をみてアルス殿下とエステル殿下が斬り込んでいく。
流石は兄妹というべきか、息の合ったコンビプレイだ。
「く、これでは中々反撃ができませんね」
流石のビルゴもコンビプレイに防戦一方になり、余裕がなくなっている。
しかし、アルス殿下達のビルゴへの攻撃が止む事はなかった。
「グゴア!」
「やらせません!」
ガキン。
一方のバンの方は、バンの振り下ろした拳をオリガさんがガッチリと盾で受け止めていた。
動きを読めれば、バンの攻撃はオリガさんにとってはなんて事はないらしい。
「前衛、パンをオリガさんから引き剥がせ。後衛はバンを引き剥がしたタイミングで魔法の一斉射撃」
「「「はい」」」
俺の指示に、皆が答えてくれる。
早速リンさんがバンに向けて剣で斬り込んだ。
「せぇぇぇい!」
「グシャア」
リンさんに脇腹を切られてバンが怯んだタイミングで、今度はシロとミケが動いた。
「「おりゃ!」」
「グフゥ」
シロとミケの強烈なパンチがバンの鳩尾に直撃し、バンは床を転げながら十メートルは吹っ飛んだ。
バンが吹っ飛んだこのタイミングを見逃さず、マリリさんの掛け声でスライム達とタラちゃんに加えてザシャとクレアも魔法を放った。
「後衛、一斉掃射です」
「「「えーい」」」
ズドドドド。
「グファ!」
流石の魔獣化したバンも、魔法の一斉掃射を受けてかなりのダメージを受けている。
「少年よ、恨みはないがここはやらせてもらうぞ」
バルガス様も、少し複雑な気持ちでバンに向けて魔法を放っていた。
俺は更に指示を続けた。
「おもちは俺と共に状態異常回復魔法を、ぶどうはバンの動きを止める為にグラビティを。リンさんとシロとミケは、バンの背後から攻撃をしてくれ」
「「「分かった」」」
状態異常回復はもう人に戻す効果はないが、バンにダメージを与える事はできる。
更にぶどうのグラビティを使えば、バンは動けなくなるはずだ。
「喰らえ!」
「グファ」
案の定バンの動きは止まり、防御をする事もできずに魔法をモロに受けていた。
すかさずリンさんとシロとミケがバンに急接近し、強力な攻撃を繰り出した。
「「「えーい!」」」
「グギャア!」
バンは前衛の攻撃でかなりのダメージを受けたのか、悲鳴の様な声を上げていた。
「一旦魔法止め」
「「「はい」」」
俺も後衛の魔法攻撃を止めさせて、バンの様子をみた。
バンは全身からプスプスと煙を上げており、四つあった腕は折れ曲がっていた。
もう、バンは満身創痍だろう。
すると、ザシャとクレアは剣を抜いてバンに向かっていった。
「「えーい」」
ドス。
「グゴバァ……」
ザシャとクレアは、全身を使ってバンの胸に剣を突き立てた。
二人の剣はバンの胸に深々と突き刺さり、バンは口から血を吐きながら力無く仰向けに大の字で倒れていった。
「「はあはあはあ、バン……」」
ザシャとクレアは荒い息でバンを見下ろすが、バンはもう動く事はなかった。
こうしてバンは、孤児院で共に育った仲間によって止めを刺されたのだった。
新作の新仕様のゆっくりしたいと捨て子王様もよろしくお願いしますm(_ _)m




