第四十二話 妖精の森
街を出てから歩いて十分、本日薬草採取をする森に到着です。
すると、おじいさんが森の入り口で早速薬草を幾つか採取した。
皆で、おじいさんの周りに集まって薬草を採取する様子を眺めていた。
「この様に、同じ種類の薬草を十枚一つで束にするのじゃ。そして、腰に付けたカゴに入れるのじゃよ」
「「「はい」」」
皆は、おじいさんの説明に返事をしていた。
しかし、俺は別の事に気がついていた。
「うん? なに?」
「あんた達、誰だ?」
「妖精よ」
「だろうな」
そう、何故か羽のついた小さい生き物が俺達やおじいさんの周りを飛んでいた。
まんま、昔見た絵本とかに載っていた妖精そのものだった。
「おじいちゃん」
「この森は何ていうの?」
「この森は妖精の森じゃ。これだけ沢山の妖精がいるのは久しぶりじゃな。捕まえる事はするなよ」
「「はーい」」
おお、まさかのファンシーな森だとは思わなかったぞ。
そりゃ、薬草も沢山生えているだろうな。
という事で、妖精の事は気にせずに皆で薬草採取を始めます。
「おお、こっちにもあったよ」
「いっぱいあるよ」
早速、シロとミケの鼻が効果を発揮して、沢山の薬草を発見。
皆で薬草を摘み取って紐でまとめていきます。
「おお、こっちにもあった」
「凄いね、沢山あるよ」
シロとミケがどんどんと薬草を見つけるので、沢山買っていたはずの紐がなくなっていく。
薬草自体は、カゴに入れて俺のアイテムボックスに入れれば良いので問題はない。
薬草をまとめる紐が足りないのだ。
「ビアンカ殿下、シロとミケの鼻の良さを甘く見ていました」
「妾もじゃ。これは、お昼になったら買い足さないとならんのう」
シロとミケの鼻の良さは、ビアンカ殿下すら予想外だったか。
ここは素直に紐を買い足した方が良さそうだ。
という事で、少し早めにお昼休憩にします。
「お兄ちゃん、お料理作って」
「お兄ちゃんの料理が食べたいよ」
「分かった分かった。作ってやるからな」
「「わーい」」
一度街道に戻ってきてお昼ご飯をどうしようかなと思っていたら、シロとミケからリクエストがあった。
この間市場で買ったものもあるし、今日は簡単なスープとサラダとパンにしよう。
メニューはそれで良い。
問題はシロとミケと一緒にいるものだ。
「シロ、ミケ、紫のスライムっていたか?」
「さっき仲間になったの」
「ブドウちゃんだよ」
食事で喜んでいるカラースライム達にしれっと一色追加されていたので、目の錯覚かと思った。
まあ、小さいスライムだし、今更一匹増えても問題はないと思った。
「で、シロとミケの肩に乗っているのは何だ?」
「えっとね、蜘蛛さんがタラちゃんだよ」
「ネズミさんがホワイトだよ」
「蜘蛛というか、それ小さいけどアルケニーだよな」
シロの肩の上には、ちょこんと小さい生き物が乗っていた。
下半身は蜘蛛だけど、上半身は赤い髪の女性の体をしている。
因みに胸はチューブトップみたいなものをつけていた。
ミケの肩には、これまた小さいネズミが乗っていた。
突然変異なのか、真っ白な体をしている。
「それに、ビアンカお姉ちゃんも蜘蛛さんと仲良くなっていたよ」
「えっと、フランソワって言っていたよ」
「本当だ、妖精の森はマジで何でもありだな」
アルケニーも、一種の妖精だと思えば良い。
ここは様々な生き物が暮らす森なのか。
そんな事を考えながら、俺は料理を作った。
因みに、マリリさんは手伝ってくれたけど、それ以外の人はただ待っているだけだった。
妖精共も集まって、まだーコールはやめて欲しい。




