第四十一話 森へ移動
講習を行った部屋から出たら、途中から参加するメンバーが待っていた。
「ビアンカお姉ちゃん!」
「リンお姉ちゃんもいるよ」
シロとミケは、ビアンカ殿下とリンさんにダイブしていた。
ビアンカ殿下は、シロの事を抱き締めつつ俺に講習の事を聞いてきた。
「最初の座学はどうじゃったか?」
「いやあ、昨日の新人向け講習は何だったかって思うくらい為になりました」
「ははは、それは良かったのう」
ビアンカ殿下も、うむと頷いていた。
すると、俺の後ろからガンドフさんがやってきて、ちょっとしたネタバラシをしてくれた。
「あの爺さんの講習は分かりやすいのもあるけど、実はあの爺さんは薬草採取の名人でもあるがポーション作りの名人でもあるのだ」
「あ、成程。採取された薬草が増えれば、ポーション作りもはかどる訳ですね」
「そういう事だ。まあ、詐欺でもないし実際に教え方は上手いから全く問題ないな」
ギルドとしてもポーションが沢山あった方が助かる冒険者も増える訳だし、ありがたい話という訳だ。
あのおじいさん、中々やるな。
さて、せっかくだから売店で薬草辞典を買っておこう。
そう思って売店の方に歩いていったら、ビアンカ殿下から助言が入った。
「サトー、もしかしたらシロとミケが大量に薬草を見つけるかもしれん。薬草をまとめる紐を多く買っておく事じゃ」
「そういえば、既に薬草の匂いを嗅ぎ分けていましたね。分かりました」
俺は薬草辞典と共に、薬草をまとめる紐を大量に買い付けた。
ザシャとクレア用に薬草採取セットも買っておこう。
ビアンカ殿下とリンさん達は薬草採取セットを持っているそうなので、紐だけ買う様だ。
因みにビアンカ殿下やリンさんの様に薬草採取だけ参加する人は他にもいて、最終的に薬草採取に森に行く人はかなりの数になった。
「さて、それでは森に行くぞ」
「「おー!」」
時間になったので、シロとミケの掛け声を合図に皆で森に移動します。
森に行くには一旦街から出ないといけないので、防壁の守備兵に個人カードを見せて手続きをします。
「「はい」」
「いいですよ。気をつけて行ってくださいね」
「「はーい」」
シロとミケは初めて個人カードを使って街の外に出るので、ワクワクしながら守備兵に個人カードを見せていた。
二人はウキウキしながら、街の外に出て行きます。
「薬草採取に適した森は、街から歩いて十分で着く。なので、何かあっても街に戻りやすいぞ」
たまたまというべきなのか、今回薬草採取をする森は街の近くにあった。
これなら直ぐに街に戻る事も可能だ。




