第四十話 薬草採取講習
翌日は薬草採取講習を受けるので、俺達は冒険者ギルドに向かいます。
ザシャとクレアの服も無事に修繕できたので、今日はメイド服は着ていません。
因みに、昨日着ていたメイド服は二人にプレゼントされるそうです。
「サトー様、ゴブリンとオークの討伐代金が確定しましたので、個人カードを更新しておきます」
「あ、はい。よろしくお願いします」
薬草採取講習の受付をしていたら、襲撃事件で倒した魔物の売却代金が確定したという。
更新された個人カードを見てびっくり。
何だか、とんでもない金額が記載されているのですが。
「すみません、この金額はあっていますか?」
「はい、問題ございません。魔物討伐もそうですが、要人の救出も御座いましたので。また、国より別途報奨金が出るそうです」
「そ、そうですか。わかりました」
一生遊んで暮らせるだけの金額が個人カードに記載されているが、とても怖くて使えないぞ。
前世でも、こんな金額のお金を手にした事はなかった。
この個人カードは、絶対に落とせないな。
因みに、シロとミケの個人カードにも適当な金額を振り込んでおいた。
お小遣いとしては大きい額だけど、シロとミケは無駄使いする事はないだろう。
受付で色々とあったけど、無事に薬草採取講習の受付が完了。
講習が行われるという部屋に、皆で移動します。
「あ、机の上に何か置かれているよ」
「これが薬草なのかな?」
部屋のテーブルの上に、サンプルと思われる薬草が幾つか置かれていた。
各自席について、薬草を手に取って色々な角度から眺めていた。
「なんか匂いがするね」
「種類によって、匂いが違うね」
シロとミケの言う通り、薬草によって微妙に匂いが違ってくる。
でも、よもぎみたいな匂いで細かい違いまで分からないぞ。
「ほほほ、お嬢ちゃん良い鼻をしておるのう」
と、ここで講師と思われるおじいさんが部屋の中に入ってきた。
「薬草は種類によって匂いが違うのじゃ。まあ、獣人でないと嗅ぎ分ける事は無理じゃな」
「「えへへ」」
そりゃ、人間が獣人に嗅覚で勝つのは無理ですよ。
そんな事を言いながら、おじいさんはシロとミケの頭を撫でていた。
参加者も集まってきたので、薬草採取講習が始まります。
もしかしたら薬草採取講習の参加者は少ないかなと思っていたけど、女性や若い人を中心に大盛況だった。
やはり、冒険者活動でも薬草採取は初心者に人気なんだな。
「では、講習を始めよう。最初に薬草について話をして、その後実際に森に移動するぞ」
「「はーい」」
おじいさんは講習に慣れているのか、淀みなく説明をしている。
昨日の新人向け講習が、まるでおままごとの様に見えるぞ。
「薬草は実は普通に栽培する事もできる。しかし、普通に栽培しただけでは何故か効力が弱いのじゃ。これは、森の中の魔力を吸収しているからじゃと言われておる」
「「へえ、そうなんだ」」
「勿論、森と同じ環境にして栽培する実験は行われておる。しかし、まだ実験段階じゃ。なので、当分の間は冒険者への薬草採取依頼は無くなる事はないじゃろう」
学術的な事も話してくれるから、意外と面白い。
普通に栽培しても効力が薄いのは、俺としても興味深いな。
「薬草は様々な種類があり、地方によって採れる薬草が異なる。このバルガス公爵領では、ポーションと毒消しポーションの材料になる薬草が数多く採れる。ポーションと毒消しポーションは需要が高いので、いくらでも薬草を採っても需要に足りないのじゃ」
「「そうなんだ」」
「ギルドの売店で薬草辞典が売っておる。薬草の事は勿論、薬草の採り方や地域で採れる薬草が載っておる。薬草採取を専門に行いたい人にとっては必需品じゃ」
お、良い事を聞いたぞ。
せっかくだから、後で薬草辞典を購入しておこう。
「それでは、実際に薬草を採取する方法を話そう。薬草の種類によっては根を採取するものもあるが、バルガス公爵領で採れる薬草は全て葉を採るものじゃ。この時注意するのは、茎から葉を採る様にして根は必ず残す事じゃ」
「「何で根を残すの?」」
「根があれば、一週間もすれば葉が再生する。しかし、根まで採ってしまえばもう葉が採れなくなってしまうのじゃ」
「「そうなんだ」」
地下茎が生きていれば、幾らでも葉が再生するのか。
しかし一週間で葉が再生するなんて、とんでもない早さだな。
「あと、場所によっては魔物が生息している森もある。幸いにしてバルガス公爵領の森は比較的安全だが、いつでも魔物を倒す準備をする事じゃ」
「「はーい」」
これも意外と忘れがちだ。
薬草採取は簡単かもしれないけど、周りは魔物だらけかもしれない。
今日も十分警戒しておこう。
「うむ、もう時間じゃな。それでは、三十分後に受付に集合して森に向かうぞ」
「「はーい」」
このおじいさんは話が上手いな。
注意点もしっかりと話すし、良い講習だった。
ビルゴに薬草採取講習の話を聞いてもらいたいと、本気で思ったのだった。




