第三十九話 助っ人を要請する事に
早速屋敷に移動するという事なので、俺達はギルドを後にします。
「皆様、どうぞお乗り下さい」
「「わわっ」」
ビアンカ殿下がいるので、当然の如く馬車がギルドの前で待っていた。
ザシャとクレアは、まさか自分が豪華な馬車に乗れるとは思っていなかったらしく、戸惑い気味に馬車に乗り込んだ。
「「ふわぁ」」
そして屋敷に着くと、ザシャとクレアは今度は屋敷の大きさにあんぐりとしていた。
二人の気持ちは俺もよく分かる。
俺も初めて屋敷を見た時に、かなり驚いたもんな。
そして玄関に入ると、マリー様が待っていてくれた。
「ザシャさんとクレアさんですね。大変な事に巻き込まれましたわね。先ずは食事にしましょうね」
「「は、はい」」
この分だと、ザシャとクレアはちゃんとした食事をしていないだろう。
昼食の時間だし、食事をして休んで貰った方が良いだろうな。
「「す、凄い」」
「ごめんね、急いで作ったから有り合わせのもので」
そして食堂で皆で昼食です。
確かに公爵家としては有り合わせの料理なのだが、それでも一般市民にとっては豪華な食事で、ましては孤児院出身のザシャとクレアにとっては高級料理なのだろう。
二人は、恐る恐る料理を食べていた。
「シロ、ミケ、二人の様子はどうだ?」
「寝ちゃったよ」
「疲れていたんだね」
昼食を食べた後、ザシャとクレアは案内された部屋で寝てしまった様だ。
シロとミケに様子を見に行ってもらったが、すやすやと眠っているそうだ。
色々あって疲れているのだろう、暫くゆっくり寝させてあげよう。
シロとミケは部屋でスライム達と遊んでいるそうなので、俺はバルガス様とビアンカ殿下と共に話をする事になった。
「サトーからの報告で、色々進展があったぞ」
「問題の冒険者の滞在先に、屋敷の者が出入りしていた。今は尾行をつけて、何をしているか追っている所だ」
「となると、もう少しすれば証拠も抑えられそうですね」
屋敷の者が領内の宿に出入りしても特に問題はないが、それが怪しい人物の滞在する宿に出入りしているとなると問題になる。
事件の全貌も、少しずつ見えてきた訳だ。
「ビルゴはあと四日間新人教育を行う様ですが、その間に動きがあるかどうかですね」
「意外と数日の内に動く可能性はある。と言うことで、王都から助っ人が来るそうじゃ」
「調査隊とは別にですか?」
「うむ、明日の夕方に飛竜に乗って来るそうじゃ」
流石は王族だ。
飛竜に乗って助っ人が来るとは、一般人とはスケールが違いすぎる。
助っ人って、どんな人が来るのだろうか。
こちらの予想を超える、とんでもない人が来る可能性が高そうだな。
「お姉ちゃん、どうだった?」
「ゆっくり休めた?」
「ベッドって、あんなに柔らかいのね」
「初めての感触でびっくりしたよ」
シロとミケは、ザシャとクレアとだいぶ仲良くなった様だ。
夕食時も楽しそうに話をしていた。
ちなみに、ザシャとクレアは今は何故かメイド服を着ている。
服の予備がないので代わりらしいが、普通の服はなかったのだろうか?
着ていた服はルキアさんが生活魔法で綺麗にしたのだが、ほつれている所があるので直しているそうだ。
「お姉ちゃん、明日はどうするの?」
「ミケ達は、薬草採取の講習を受けるんだ」
「そうね、私達も受けようかな?」
「せっかくだから、色々と覚えたいわ」
うんうん、ザシャとクレアは色々あったけど気持ちを切り替える様だ。
新しい事にチャレンジするのは、とても良いことだ。
「では、妾も薬草採取の所に参加しようかのう。午前中はリンの所に行くので、タイミングも丁度良い」
「「やったー」」
何故かビアンカ殿下も薬草採取に参加すると言うので、シロとミケは大喜びだ。
明日は何気に忙しいかもしれないな。




