第三十二話 長い買い物
俺のアイテムボックスを使って荷物を運んだのもあってか、予定よりもかなり早く引越し作業が完了した。
なので、折角だから商会の品を見せてもらう事に。
「冒険者活動に必要な道具も売っているな。ポーションや毒消しポーションも買っておこう」
ポーションとか毒消しポーションの他にも麻痺治しなどもあったので、少し多めに購入していく。
すると、シロとミケが不思議そうに俺の事を見ていた。
「怪我なら、お兄ちゃんの魔法で治るよ」
「おもちちゃんでも治せるよ」
成程、シロとミケにとって病気や怪我は俺やおもちの魔法で治すものだと思っているのか。
「これは予備のためだよ。俺やおもちも、魔力がなくなったら魔法は使えないからね」
「「おおー、そっか!」」
俺の説明に、シロとミケは納得した様だ。
併せて、水筒とかも購入していく。
そして、ここからが本題です。
「リンさん、すみませんが二人の冒険者の服を何着か選んでくれませんか。普通の服も出来ればお願いします」
「そのくらいでしたら、お安い御用です。お任せ下さい」
ここは女性陣に二人の服を選んで貰った方が良いだろう。
リンさんだけでなく、他の女性陣もあーだこーだとシロとミケの服を選び始めた。
「シロちゃんとミケちゃんは、どんな服が良いかな?」
「「動きやすいの!」」
「二人は良く動きますからね」
「それなら、妾も選んでやろう」
うーん、これはシロとミケの服を選ぶのに時間がかかりそうだ。
俺は先にポーションとかの会計を済ませてから、会長へ引越し完了の報告をしにいった。
「本当に色々とありがとうございました。お陰様で、全て引っ越す事が出来ました」
「おばあさんは、この後どうするのですか?」
「商売はできませんが、魔導具作りはすると言っております。元々、生涯現役を公言していましたから」
「それは凄いですね。では、魔導具作りが再開できるように、治療をしっかりとしないといけませんね」
いやあ、職人魂というか商売人魂というか、元気なおばあさんだ。
息子である会長も、思わず苦笑していたぞ。
すると、会長はバッグを俺に渡してきた。
これはマジックバッグだな。
「母が皆様にお礼という事で、特製の魔導具が入っております。使い方は中に説明書を入れているそうです」
「わざわざ済みません。ありがたく頂戴いたします」
折角のおばあさんからのご好意なので、ここはありがたく貰おう。
会長との話はこれで終わりなので、俺は店舗に戻った。
「うーん、こっちの方がシロちゃんに似合うよ」
「やっぱり、ミケちゃんにはさっきの服の方が良いよ」
店舗では、未だに女性陣によるシロとミケの服選びがつづいていた。
余りにも服選びに時間がかかっているので、スライム達も俺の所に避難してきた。
女性の買い物に時間がかかるのは、どの世界でも共通の事なんだな。
俺は商会の横にある喫茶店で時間を潰す事にしたのだが、シロとミケの服が決まったのは喫茶店に入ってから一時間後の事だった。




