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異世界転生は苦労がいっぱい 〜いきなり高貴な人の面倒ごとに巻き込まれたけど、仲間と一緒に難題を解決します〜  作者: 藤なごみ


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202/222

第二百二話 作戦スタート

 ピピピピ、ピピピピ。

 カチッ。


 遂に作戦決行の時となった。

 俺は目覚まし時計型の魔導具のアラームを止めて、ベッドからムックリと起き上がった。

 あれだけ大きなアラーム音がしたのに、起きているのは俺だけだ。

 作戦に参戦するシロとミケや従魔たちだけでなく、フェアたちも固まってスヤスヤと寝ていた。

 従魔たちはいつものベッド代わりのバスケットを持っていけばいいが、流石にシロとミケは起こさないとマズイ。


 ゆさゆさ、ゆさゆさ。


「シロ、ミケ、そろそろ起きる時間だぞ」


 ゆさゆさ、ゆさゆさ。


「「うーん……」」


 二人は、眠い目をこすりながら何とか起きた。

 二人を着替えさせると同時に、俺も久々に男の姿になった。

 今日は、最初から武装しておこう。


「「あっ、お姉ちゃんからお兄ちゃんになっている!」」


 ここで、シロとミケが久々に男の姿になった俺のことを見て一気に目を覚ました。

 こういうことでバッチリと覚醒するのかと、ちょっと苦笑してしまったのだった。


「おー、サトーが男になっているよー」


 そして、玄関ホールで他の人たちを待っていると、リーフがしげしげと俺の顔を覗き込んでいた。

 というか、リーフたちに限らず他の人たちも俺の姿を見て目をパチクリとしていた。


「何だか、久々にサトーさんの男性としての姿を見た気がします」

「ふむ、そうじゃのう。最近は、女装しているのが様になっていたからのう」


 あの、ちょっと苦笑しているリンさんはともかくとして、ニヤニヤしながら話をしているビアンカ殿下のその言い方はないです。

 俺は、正真正銘男なのだから。

 そして、指揮官もフル装備で俺たちのところにやってきた。

 アルス殿下、軍務卿、そしてホワイトが井戸端会議的な作戦会議をしていたのだ。


「ふむ、みんな揃って……いないな」


 アルス殿下が俺たちの顔を順に見ていたが、この場に一人だけ姿を現していないものがいた。

 予想通り、エステル殿下は未だに起きていないのだ。

 早く起きるようにいの一番でベッドに入って寝ていたのに、結果は大惨敗だった。

 俺たちも、これには苦笑するしかなかった。


「仕方ない、起こしてくるか」


 アルス殿下は、妹の不甲斐なさに呆れつつビアンカ殿下が寝ている客室に向かった。

 まあ、一応王女様なので、勝手に客室に入るのはマズイのではとの話をしていた。


「……ギャー!」


 暫くすると、客室からエステル殿下の悲鳴というか叫び声が聞こえてきた。

 きっと、アルス殿下が何らかの方法を使ってエステル殿下を起こしたのだろう。

 そして、ため息をついているアルス殿下とショコラとともに、プリプリしているエステル殿下が姿を現した。


「アルスお兄ちゃん、『お母さんが来るぞ』っていう起こし方はないと思うよ!」

「お前が起きないからだろうが! 早く起きるという意気込みは、いったい何だったんだ」


 なんというか、しっかりお兄ちゃんとダメダメ妹というきょうだいのやりとりを見て、俺たちも思わず苦笑してしまった。

 エステル殿下は、プリプリしながらもマジックバッグからパンを取り出してもしゃもしゃと食べていた。

 なんというか、相変わらずマイペースだ。


「では、時間もないのでさっそく動く。ルキア、ブルーノ侯爵領を頼むぞ」

「アルス殿下、お任せ下さいませ」


 ルキアさんも騎士服を着ていて、準備万端っていった感じだ。

 ルキアさんはアルス殿下に臣下の礼を取り、直ぐにブルーノ侯爵領兵に指示を出していた。


「では、我々も出発する。派手に目立つように動くとしよう」

「軍務卿、ご武運を」


 軍務卿は肩にスライムのおもちを乗せて、アルス殿下に挨拶をすると颯爽と屋敷の外に出ていった。

 予定では、ブルーノ侯爵領からランドルフ伯爵領までゆっくりでも三時間あれば着く。

 こっそりと、うちの馬が昨日のうちに街道の害獣駆除をできるだけやっていた。

 だから、道中の安全は確保しているはずだ。

 個人的には、おもちはともかくとしてうちの馬がやりすぎないか非常に不安だった。


「では、改めて今後の作戦をしよう。応接室に行くぞ」

「ふわーい」


 アルス殿下の掛け声に、エステル殿下がパンをもしゃもしゃと食べながら答えていた。

 シロとミケもいつの間にかマジックバッグからパンを取り出して食べていたけど、このくらいなら別に良いだろう。

 俺たちも、パンを食べている三人の後に続いた。


「この後だが、軍務卿が途中のポイントに着いたら連絡をくれる手はずになっている。そうしたら、飛竜に乗ってランドルフ伯爵領に向かう」


 アルス殿下の説明に、全員が頷いた。

 今回は、電光石火で相手を抑え込む作戦だ。

 アルス殿下の飛竜にはエステル殿下とビアンカ殿下、俺とシロとミケ、リンさんとオリガさんとマリリさんで分乗することになった。

 ちなみに、オリガさんとマリリさんは戦力アップの為に同行することに。

 念のために一頭の飛竜がブルーノ侯爵家に残り、何かあったらリンさんが駆けつけることになっていた。

 そして、バハムートが魔獣の入ったバスケットを持ってワース商会に行くことになっている。

 後は、細々した話をして打ち合わせは完了。

 すると、エステル殿下がルキアさんにこんなことを言ってきた。


「よーし、やる気を出すから朝食を作って!」

「「もっと食べたーい!」」

「「「……」」」


 シロとミケも混じっているが、エステル殿下のやる気のバロメーターは美味しい食事をするか否かだった。

 というか、三人はさっきまでパンを食べていなかったっけ?

 俺たちは、腹ペコな三人を見て思わず固まってしまったのだった。

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