第百九十六話 新しい仲間の実力は?
翌朝、改めて仲間になったドラコとミミの能力の確認をすることになった。
全員着替えてから、屋敷の庭に集まった。
ちなみに、フェアとレイアも訓練に参加しているが、まだ赤ちゃんのコタローはバハムートと一緒に遊んでいた。
「ふむ、ドラコは普段は格闘系じゃな。ミミは、純粋な魔法使いタイプか。それなら、ドラコはサトーとミケとシロのところに行き、ミミは妾たちが面倒を見よう」
ビアンカ殿下がササッと役割分担を決めたが、どうやらミミはルキアさんとマリリさんが面倒を見てくれることになった。
最初に、ドラコの魔力循環を確認することに。
ドラコと同じ年のミミとシロが、仲良く手を繋いだ。
ところが、ここでいきなり問題が起きてしまった。
「うーん、ドラコは上手く魔力循環出来ていないよ」
「なんだかね、大雑把って感じだよ」
「がーん……」
なんというか、いきなり二人がダメ出しをしていた。
ドラコは膝をつくほどガックリと落ち込んでいたが、誤魔化すよりも敢えてはっきりと言ってやった方がいいな。
ドラゴンだけあって魔力は膨大らしいので、魔力暴走を冒さないためにもしっかりと魔力循環の基礎を教えないとならない。
幸いにしてミケとシロは魔力循環が上手だし、今もドラコに親切丁寧に教えていた。
続いて実戦訓練だが、こちらも問題があった。
「とう、やあ!」
「うーん、なんというか一撃は重いけど力任せだな……」
今度は俺がドラコの相手をしたが、ドラコは力任せに拳や蹴りを繰り出しているだけだった。
そして、何よりも回避行動も上手くない。
うん、何となく理由が分かった。
「ドラコ、もしかしてドラゴンの特性を生かした攻撃しかできないのか?」
「うん、本当は武術が上手いお母さんに教わりたかったけど、お母さんはいつも仕事で忙しいからお父さんに教わっていたんだ……」
どよーんとドラコは落ち込んでしまったが、どうやらドラコに色々教えた父親が不器用みたいだな。
しかし、素質が有るのは間違いないし、キチンと教えれば問題無さそうだ。
「ドラコは、暫くキチンと基礎固めを行う。魔力循環と打撃の型の練習だ。この辺はミケとシロが上手いから、二人についていけるように頑張らないと」
「う、うん。僕も頑張るよ」
取り敢えず、ドラコの方針は決まった。
さっそくミケとシロが色々と教えているし、長い目で見ることにしよう。
一方、ミミの方は中々凄いことになっていた。
シュイン、ドーン。
「できた」
「わあ、ミミちゃん凄いわ」
「ほほう、中々秀才じゃのう。天才型じゃな。この分なら、今日の奉仕活動から治療をさせられるのう」
ミミは、あっという間に聖魔法のホーリーバレットをマスターしていた。
ルキアさんとビアンカ殿下がかなり驚いていたが、教えることをどんどんと吸収していくという。
恐らく、地頭がかなり良いのだろう。
相当凄い逸材を見つけてしまったのかもしれない。
「ふむ。では、ドラコは引き続きミケとシロの側に置いて、ミミはサトーの治療班に加えよう」
「そうですね。ミミの無表情も、人と接する機会が加われば段々と良くなるかもしれません」
「流石は聖女様だな。感情面にも気を配るとは」
俺の横でミミの訓練風景を眺めていたアルス殿下が、微妙に失礼なことを言ってきた。
とはいえ、ミミは会話は普通にできるし、特に問題ないと思うけどなあ。
そんな中、お寝坊さんがようやく屋敷の庭に姿を現した。
「ふわあ、眠い……」
エステル殿下が眠い目をこすりながらやってきて、庭にいる全員がエステル殿下に集中した。
レポートは一昨日終えたはずだし、寝坊する理由はないはずだ。
なので、この方が自らエステル殿下の相手をすることになった。
「エステル、もう訓練が終わる時間だぞ……」
シャキン。
「お、お、お兄ちゃん、真剣を抜いているよ! ごめん、ごめんだってば!」
エステル殿下も、諦めてお兄さんのシゴキを受け入れて下さいな。
こうして、暫くの間屋敷の庭ではエステル殿下の悲鳴が上がっていたのだった。




