第百七十一話 ブルーノ侯爵領へ出発
翌朝、いよいよ俺たちはブルーノ侯爵領に向かうことになった。
そして、潜入捜査を行うので従魔もフル活用することになった。
「ふふふ、なんでも見つけちゃうよー」
「潜入捜査なら、以前にもやっています」
リーフとタラちゃんはもの凄く気合を入れているけど、ホワイトやスライムたちもかなり張り切っていた。
お願いだから、やりすぎない程度にして下さい。
後始末が大変になる事態だけは、何とか避けたい。
「ね、眠い……」
そして、連日レポートに追われていたエステル殿下は、目をしょぼしょぼさせながら準備を進めていた。
馬車内で、寝袋を取り出して爆睡するのは目に見えていた。
バスク子爵領からブルーノ侯爵領まで移動に半日かかるから、存分に寝ていられるでしょう。
それよりも、もっと大変なことが待っていました。
「じゃあ、行ってくるからね。一週間かからずに戻って来られるはずだから」
「「「うん……」」」
フェア、レイア、コタローのちびっ子三人が、僕と暫く会えなくて思いっきりどよーんとしていた。
特に、まだ二歳になっていないコタローの落ち込み具合は半端なかった。
うん、これは早く仕事を終えて戻ってこないと駄目な案件ですね。
サーシャさんが大丈夫だと言ってくれているので、ここはお任せするしかない。
ということで、出発の時間です。
俺たちは、屋敷の玄関に集まって馬車に乗り込んだ。
「「いってきまーす!」」
「「いってらっしゃーい!」」
「しゃーい!」
元気よく手を振る三人とバスク子爵家の面々に見送られながら、俺たちを乗せた馬車は出発した。
ミケたちは、三人の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
「流石にサトーさんも、センチメンタルな気分になりましたね」
「ちょっとね。子どもたちと早く再会するためにも、さっさと仕事を終わらせないと」
「ふふ、そうですね。そのためにも頑張らないとならないですね」
リンさんがくすりとしながら話しかけてきたけど、ビアンカ殿下もルキアさんも他の面々もにこやかに頷いてくれました。
こうなったら、あの人神教の連中をさっさとつぶさないと。
「ぐがー、ぐがー」
「「「ぐー、ぐー」」」
そして、エステル殿下は予想通り自分の寝袋を取り出して寝始めていた。
リーフを始めとする従魔たちも、いつものバスケットの中に入って寝ています。
うん、元々やる気満々の従魔たちはともかくとして、エステル殿下にも是非とも頑張って貰いましょう。
こうして、俺たちのブルーノ侯爵領への旅路が始まったのだった。




