第百六十八話 重要な情報をゲット
みんなと歩きながら、無事にバスク子爵家の御用商会であるオース商会に到着しました。
俺たちが商会に行くことは、既にバスク子爵家から伝わっているという。
ちょうど店先に会長がいたので、リンさんがこっそりと話しかけた。
「会長、変装した姿で失礼します。バスク子爵家のリンです、お話を伺いに来ました」
「これはこれは、リン様も変装中でございますか。それでは、応接室にご案内いたします」
会長も、さり気ない対応で俺たちを店内に案内してくれた。
というか、いまリンさんは変装道具に加えて女装用の道具も会長に頼まなかった?
会長は、一瞬だけ俺のことを見て直ぐに店員に指示を出していた。
うん、何だか嫌な予感がするのだけど。
そんなことを思いながら、俺たちは応接室に入った。
「いやいや、事前に聞いていなければサトー様の女装は見破れなかったです。これほど完璧な女装は、久々に拝見いたしました」
「それはどうも……」
会長が妙にハイテンションで答えていたけど、俺はというと返答に困ってしまった。
なんというか、早く普通の姿で過ごせるようになりたいものだ。
時間もないので、さっそく話を聞くことにしました。
「ブルーノ侯爵領の領都には、オース商会の支所がございます。話を聞く限り、今は平穏だそうです」
「今は? それはどういうことじゃ?」
「どうも、夏以降税金を上げるようだとまことしやかに言われております。更に、各商会に対して上納金を納めないとならないとまで言われております」
これは、あまり良くない情報だ。
どのくらい税金が上がるかによるけど、間違いなく市民生活を圧迫することになる。
ビアンカ殿下だけでなく、俺とリンさんも思わず考え込んでしまった。
そして、もっと大変な情報が入った。
「これは、ランドルフ伯爵家令嬢様が押しかけ的に嫁入りをしようとしたことにより起きた模様です。もちろん、領民はブルーノ侯爵様が再婚されるような話は聞いておりません。私も、昨日たまたまブルーノ侯爵家のお屋敷にお邪魔した際に耳に挟んで知ることができました」
これで、事件の背景が何となく分かった。
間違いなく、人神教の連中が絡んでいる。
恐らく、ルキアさんがお父さんと連絡が取れなくなったタイミングと一緒だろう。
決定的な情報を得て、俺はビアンカ殿下に頷いた。
ビアンカ殿下は、直ぐに関係各所に連絡を入れた。
間違いなく、王城からの斥候にも指示が下るはずだ。
「会長、色々と情報提供頂き感謝いたします。私たちも、直ぐに動くことができそうです」
「リン様、我々もブルーノ侯爵領の未来を憂いております。ブルーノ侯爵領に行かれた際には、商会の支所を拠点としてご利用下さいませ」
かなり有益な話を聞くことが出来た。
これなら、明日にでも現地に向かうことになるだろう。
会長が支所宛の手紙を書いている間に、リンさんが頼んだ品物が応接室に運び込まれた。
えーっと、これは……
「先ずは、普通の人の服です。私たちが持っているのは、上等な服ですので。後は、シュンさんの変装セットの予備です」
「若干どころか、半分以上俺用なんですが……」
何だか、俺のはひらひらのワンピースとかの可愛らしい服ばかりだった。
思わずクラクラしちゃいそうだ。
しかし、リーフなんかもこれが似合うとかとリンさんと話をしていた。
「サトー、これも必要経費じゃ。アイテムボックスを持っているのだから、荷物が多くても問題なかろう」
ビアンカ殿下、そういう話ではないんですよ。
うう、できることならアイテムボックスに死蔵しておきたい……
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