第百五十三話 今日は軍の施設を見学
シロ達は、たまに軍と一緒に街の巡回をしています。
タラちゃんやホワイトにスライム軍団も一緒なので、段々と街の人もシロとミケの事を認知し始めていました。
そして、今日はうちのクラスが王都駐留軍の施設見学に行くことになり、バッチリとシロ達と鉢合わせをしました。
とととと。
「あっ、お兄ちゃんがいるよ!」
「お姉ちゃん達も一緒だね!」
街の巡回を終えて駐屯地に戻ってきていたらしく、軍服に身を包んだシロとミケが他の従魔と一緒に俺達のところに虎走でやってきた。
何だか、今日のシロとミケは従魔と共にやりきったって表情だぞ。
「シロ、ミケ、今日はどんな成果だったか?」
「うーんとね、盗賊団のアジトを奇襲したよ!」
「商店街の空き店舗を根城にしていたの。全員捕まえたよ!」
うーん、またもや盗賊団を一つ壊滅させたのか。
今やシロとミケと従魔達が一緒の巡回隊は、必ず何かしらの成果を上げているみたいだ。
と、ここでシロとミケがうちのクラスにいる元気のない人に気がついた。
「およ? エステルお姉ちゃん、また元気ないね」
「お兄ちゃん、何かあったの?」
「ああ、エステル殿下はフローラ様に怒られただけだよ。宿題忘れたらしいぞ」
「「なーんだ、それならしょうがないね」」
朝からブルーな雰囲気を隠さないエステル殿下だったけど、自業自得なのでクラスメイトも特に気にしていません。
リーフも回復魔法をかけることすらしていません。
すると、あまり軍服姿を見ることのないこの方も姿を現しました。
「おや、サトーではないか。施設見学かえ?」
「ええ、その通りです。ビアンカ殿下は、シロとミケと共に巡回ですか?」
「うむ、その通りじゃ。民の暮らしを守る為、できることはせんとな」
うん、ビアンカ殿下の爪の垢を煎じてエステル殿下に飲ませてやりたい。
半分同じ血なのに、どうしてこうも違ってくるのだろうか。
そんな姉妹のことを見比べていたら、更に大物がやってきました。
「おっ、今日のサトーは学園生か。とはいっても、既に来たことのあるところだから目新しいものはないだろうな」
「軍務卿、お疲れ様です。まあ、シロとミケのお迎えでも来たことありますし、軍の病院にも行ったことありますので」
現れたのは部下を引き連れた軍務卿で、俺に話しかけると直ぐに別の場所に向かった。
本当にたまたま会っただけみたいだ。
「サトーさんは、偉い人と全く臆することなく話しますね」
「流石にもう慣れたよ。陛下と王妃様達とも良く話すし、閣僚とも話すからね」
「だからこそ、サトーさんの長期研修先が凄いことになっているんですね」
うう、リンさん嫌な事を思い出さないでくれ。
この前王城に呼び出されたら、宰相が嬉々として色々な事が書かれたリストを見せてきたよ。
そんなブルーな気持ちになっていたら、俺にクラスメイトが話しかけてきた。
「サトー、確かあの獣人はリンドウ男爵とダンデライオン男爵だよな? 今日も手柄を立てたのか」
「うわあ、二人ともとっても可愛いわ。私達と入れ替わりで入園してくるのが、ちょっと悔しいわ」
「「わわわ!」」
シロとミケは結構な有名人らしく、あっという間にクラスメイトに揉みくちゃにされていた。
とはいえ、悪意のある接し方ではないし、特に問題ないだろう。
と、ここでビアンカ殿下が俺にこっそりと話しかけてきた。
「サトー、隣のクラスにエステルお姉様にちょっかいを出すダインってのがおるじゃろう」
「あっ、はい。あのぽっちゃり君ですね。何故か、俺にも喧嘩を売ってきますが」
「そのダインじゃがな、あまり良くない情報を得た。近い内に、父上がサトーの事を呼ぶと言っておったぞ」
おやおや、これはかなりきな臭い話だぞ。
元よりダインは王家に喧嘩を売るようなちょっとおかしな存在だったけど、更に良くない情報とは。
少し波乱な要素が出てきたぞ。
因みに軍の施設見学は無事に終わり、シロとミケは揉みくちゃにされながらも何とか俺のクラスメイトから解放されていました。




