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異世界転生は苦労がいっぱい 〜いきなり高貴な人の面倒ごとに巻き込まれたけど、仲間と一緒に難題を解決します〜  作者: 藤なごみ


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第百五十話 魔法の授業

 入園式の翌週から、通常授業が始まります。

 といっても座学は事前学習もしているので、かなり余裕でついていけます。


「すみません、サトーさんここなんですけど……」

「ああ、ここですね。間違えやすい所です」


 休み時間になると、勤勉なリンさん達から質問を受ける事も。

 たまに他のクラスメイトからも質問を受けるが、このくらいなら全然構わない。


「ぷすぷすぷす……」


 ぴかー。


「ぷすぷすぷす……」

「うーん。ショコラ、駄目だね」

「ピィ」


 隣の席のエステル殿下は、連日の淑女になるためのフルコース訓練も相まって完全にキャパシティオーバーです。

 休み時間になる度に燃え尽きてしまい、リーフが回復魔法をかけても全く効果がありません。

 因みに、リーフが勝手についてきても他の人は何も言わず、リーフもショコラと一緒にいて大人しくしています。

 そんなエステル殿下が復活するタイミングが二つあります。

 一つは昼食時で、最近は定食特盛を頼んでいます。


「よーし、体動かすぞ! ストレス発散だ!」


 そしてもう一つが、実技授業です。

 今日は魔法の授業なのだけど、魔法は全員が使える訳ではないので使えない人は剣技の授業です。

 因みに二クラス合同なのでぽっちゃり君もいるのですが、彼は魔力があるのに魔法が使えないので端で特別訓練を受けています。


「サトー、いくよ!」

「私達もいきます」

「準備オッケーですよ」


 シュイーン、ズドドドドーン!


 今日は魔法障壁についてなのだが、俺の魔法障壁が特別硬いので俺以外全員の魔法を受け止める。

 リーフとショコラも混じっているけど、正直な所全然余裕だ。


「はい、サトー君ありがとうね。この様に攻撃魔法や回復魔法だけを鍛えるのではなく、防御魔法もキチンと学びましょう。防御魔法を鍛える事で、何かあった際の生存率が上がります」

「はあはあはあ。くそー、やっぱりサトーの魔法障壁は硬すぎるよ」

「ふうふうふう。そうですね、サトーさんはまだまだ余裕ですわ」


 魔法授業の先生が解説している側で、魔法を放った俺以外の全員がのびている。

 魔法も色々なものがあるんだよという、良い実践になった様だ。


「すげー、ほぼ全員の魔法を余裕で受け止めているぞ」

「エステル殿下やリンさんの魔法が通用しないなんて……」


 剣の授業組も横にいるので、俺の魔法障壁にかなり驚いていた。

 と、ここで魔法の授業の先生が俺に質問してきた。


「サトー君、他に何か魔法の訓練をしていますか?」

「うーん、そうですね。あっ、これはどうでしょうか?」


 ここで、まだまだ元気なリーフとショコラに声をかけた。


「おーい、いつもの鬼ごっこをやるぞ。今日は十秒だ」

「わかったー」

「ピィ!」


 これは、ただの鬼ごっこではありません。

 身体能力強化を全開にした鬼ごっこです。


 ヒュンヒュンヒュン。


「は、速い。目で追うのが精一杯だ」

「これも良い訓練ですね。ただ身体能力強化を使うのではなく、鬼ごっこという実戦を想定した訓練になっています」


 内容は単純だけど、中身はかなり濃い訓練です。

 まあ、ちびっこ達は遊びの一環でもやっているけどね。

 と、ここでエステル殿下がマジックバッグをゴソゴソとさせていた。

 何をしているかなと思ったら、とんでもない物を取り出した。


 シャキーン。


「サトー、もう一つの訓練をみせないとね。真剣を常に回避する練習を」

「あの、俺無刀なんですけど……」

「問答無用!」


 俺は、半ばエステル殿下のストレス発散につきあわされる事に。

 エステル殿下も真剣で本気で斬り掛かってくるので、避けるのと魔法障壁を使うのを組み合わせていた。


「ゼエゼエゼエ……」

「むー、何でいつも当たらないの!」

「いや、真剣だから当たったら死んじゃいます……」


 一分間に渡る真剣を避ける訓練で、俺は体力をだいぶ使い果たしてしまった。

 魔法障壁を使うほどではなかったけど、これはこれでキツイぞ。


「うーん、この訓練はお勧めできないわね。サトー君の回避能力が異常だからこそ、こうしてできることだわ」

「あのエステル殿下の剣を、全部避けやがったぞ」

「何という見切りをしているのか」


 流石に、この訓練は学校ではお蔵入りになった。

 しかし、いくつかの訓練に加えて基礎訓練も授業で採用される事になった。


「ぐぬぬぬ、俺よりも目立ちやがって……」


 因みにぽっちゃり君は悔しさから歯ぎしりをしていたけど、俺としてはぽっちゃり君は早く魔法を放てる様にするのが先決だと思った。

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