第百三十五話 婚約者候補と引っ越し完了
「一つはバルガス公爵領から王都までの旅よ。サトー以外は全て女子って状況で、ほぼ全員がサトーを信頼していたわ。旅の間、一切不埒な行動をしなかったのも良い評価ね。勿論、赤ちゃんのコタローは除くわ」
「そりゃ、コタローはまだ赤ちゃんですから。それに、俺も相手が王女や貴族令嬢だったので、相当気を使いましたよ」
そりゃ女性ばっかりなので、本当に旅の間は気をつけましたよ。
全員が美少女なので、本当に大変だったんです。
「二つ目はエステルを怒れる存在だという事ね。これってとても大切な事よ。エステルの同年代の男子は、何だかんだいってエステルの事を腫れ物扱いするわ。本音を言い合うのも、とても大切な事よ」
「俺、エステル殿下にツッコミを入れる事の方が多いですよ」
「良いのよ。ツッコミを入れるだけでも実は凄い事よ」
でも、これは何となく分かるなあ。
天真爛漫といいつつ、王女様だから強くものを言えない。
特に同年代だとその傾向が強いかもなあ。
「まあ、後は爵位の問題だな。伯爵以上じゃないと降嫁させられないと騒ぐ馬鹿がおるぞ。サトーはさっさと功績を溜めて伯爵になる事だな」
「陛下、それってかなり高いハードルですよ」
もぐもぐとお菓子を食べながら陛下が言うけど、爵位の問題が一番大変ですよ。
これから学園生活も始まるのだし、そうそう事件なんて解決できませんよ。
「エステルも、サトーの事は嫌いじゃないないでしょ?」
「嫌いじゃないよ。サトーとリンちゃんと、後はフローレンスちゃんと一緒ならもっと楽しいよね。ヘレーネちゃんは婚約者がいるし」
エステル殿下、さり気なくリンさんとフローレンスさんを指折り数えていませんか?
流石にリンさんもたははって感じで、エステル殿下を見ているぞ。
「まあ、暫くは学園生活を送ってお互いを良く知る事だな。流石に娘が悲しむ様な婚姻は許可できんぞ」
「そうね。あの馬鹿の動きもきになるし、ちょっと注意が必要ね」
フローラ様が言ったあの馬鹿って、間違いなくダインの事だろうな。
そっか、あのぽっちゃり君も同学年になるのか。
それを考えると頭が痛いな。
そして、陛下とフローラ様は王城に帰っていきました。
リンさんからの引っ越し祝いのお菓子は、全て陛下によって食べられてしまいました。
「因みに、エステル殿下とビアンカ殿下の今後の予定は?」
「私はここに泊まっていくよ」
「妾も泊まるぞ」
「初日からいきなりですか!」
エステル殿下とビアンカ殿下は、当たり前だといった感じで屋敷に泊まっていきました。
とりあえず、初日から中々大変だったぞ。




