第百二十七話 処分と叙爵
「先に処罰の方から報告を行う」
「では、今回の事件での処罰を皆に言い渡す」
おや?
先に俺達の表彰からだと思ったけど、処罰の方が先なんだ。
もしかしたら、面倒くさい貴族を黙らせる為かもしれないぞ。
陛下からバトンタッチを受けた宰相が、貴族の処罰を言い渡した。
「バルガス公爵家並びに王都で闇組織と加担して犯罪を行っていたオーカス子爵並びにオーカス男爵は断絶とし、全ての資産を没収する。関係者には厳しい沙汰となるだろう。これは、複数の貴族への襲撃計画も明らかになった為である」
宰相の報告を聞いた貴族から、大きなどよめきが起こった。
恐らく宰相が言った厳しい沙汰という言葉だろう。
暗に死刑を適用すると言っている様なものだからなあ。
一体オーカス子爵とオーカス男爵は、複数の貴族を襲撃して何をやりたかったのだろうか。
「そして、バスク子爵領で保護された子どもの違法な売買に加担した貴族には、総資産の二割を罰金とする。更には、当面の間役職に割当も行わないとする」
例の人身売買に加担した貴族にも、かなりの罰が与えられた。
恐らく捜査の段階で、他にも罪が分かったんだろうなあ。
ちらっと左右を見渡すと、貴族の中には悔しそうな顔をしている者もいる。
恐らく罰金を納める事になった貴族だろう。
同情の余地はないけどね。
「では、引き続き報奨を言い渡す」
おっと、今度は俺達の出番だ。
気を引き締めないと。
「今回の闇組織ブラッククロウへの対応に加えて、王都での犯罪組織壊滅の功績を称えて、サトーにはライズ姓と共に法衣子爵を、シロにはリンドウ姓、ミケにはダンデライオン姓と共に法衣男爵に叙する」
「謹んでお受けいたします」
「「ありがとうございます」」
事前に話を聞いていた通り、俺は法衣子爵でシロとミケには法衣男爵が叙された。
「バスク子爵家令嬢リンには名誉子爵を、侍従のオリガとマリリには名誉男爵を叙する」
「「「承りました」」」
リンさん達の名誉爵位も予想通りだ。
オリガさんとマリリさんは勲章だけかと思った様だけど、十分に功績を上げているから全く問題ないよね。
そして、ここで予想外の事が起きた。
「また、幼年の身でありながら王都の犯罪組織壊滅と屋敷の捜索を行なった功績は大きいと判断した。よって、フェアとレイアには名誉男爵を叙する」
「「ありがとうございます」」
あの、フェアとレイアは勲章じゃなかったっけ?
これには、リンさん達も驚いていたぞ。
他の貴族もこの事には驚いていて、少しざわめいていたよ。
「静かに。フェアとレイアがオーカス男爵家より発見した書類から、複数の貴族への襲撃計画と別の犯罪組織の存在が明らかになった。既に別の犯罪組織は制圧してある」
あっ、成程。
フェアとレイアの発見した証拠品から、更に犯罪組織を潰す事ができたんだ。
それならかなりの功績になるし、他の貴族もそれならと納得していた。
「今回は多くの若い才能を見出す事ができた。他の者も、研鑽に励むのだ」
「「「はっ」」」
最後に陛下からの締めの言葉で、今回の謁見は終了です。
僕達はコタローがいる応接室に戻ります。




