第百十話 嫉妬するエステル殿下?
紅茶を一口飲みながら、お互い改めて自己紹介をする事に。
しかしながら、この紅茶は美味しいなあ。
流石は王族が飲む紅茶だ。
「では改めて自己紹介ね。私はエリザベス、王妃でもあるわ。王太子のジョージとアルスの母親で、ウィリアムのおばあちゃんね」
「ご丁寧にありがとうございます。私はサトーと申します」
うん、改めて王妃様を見るととても若々しい。
とてもウィリアムちゃんのおばあちゃんとは思えないぞ。
「紅茶のおかわりは如何ですか?」
「えっと、お願いします」
「畏まりました」
そして、王妃様付きの侍従が紅茶のお代わりを入れてくれた。
黒に近いおかっぱで、背は小さめだ。
だけどルキアさんに近い巨乳の持ち主で、エステル殿下あたりは全く相手にならないだろう。
俺が侍従を見ていると、王妃様が侍従の秘密を教えてくれた。
「サトー、この娘はフローレンスといってバーツ男爵家の令嬢よ。そして、学園でサトーの同級生になるわ。いわゆる研修の一環で、私の侍従をしてもらっているのよ」
「改めて自己紹介を、フローレンスと申します。宜しくお願いします」
「いえ、こちらこそ。サトーといいます、宜しくお願いします」
フローレンスさんは、エステル殿下とリンさんと同じく同じく学園での同級生になるのか。
今の所知り合った同級生が女性ばっかりだけど、知り合いが誰もいないよりかはまだマシだろう。
というか、王妃様の侍従をするなんて、フローレンスさんはきっと成績優秀なんだろうな。
と、ここで新たに応接室に入ってくる人が。
「あー! サトーがフローレンスちゃんを見てデレデレしている!」
「エステル様、落ち着いて下さい」
薄いオレンジ色のドレスを着てティアラをつけてたエステル殿下が、ぷんぷんしながら俺の事を指さしていた。
というか、エステル殿下は何を勘違いしているのだろうか。
そんなエステル殿下を宥めている少女が。
青いロングヘアで、今日は薄いグリーンのドレスを身に着けている。
ひと目見て貴族の令嬢だと分かる出で立ちだ。
俺がエステル殿下を宥めている少女を見ていると、またもやエステル殿下がヒートアップしていた。
「あー! 今度はヘレーネちゃんを見てデレデレしているよ!」
「「「はあ……」」」
エステル殿下はまたもや勘違いをしている様だ。
そんなエステル殿下を見た僕とリンさんに王妃様達は、盛大に溜息を漏らしていた。
エステル殿下もせっかく薄く化粧までしているのに、態度のせいで全てが台無しになっている。
「エステル、いい加減にしなさい。さっさとこちらに来なさい!」
「はーい」
流石にフローラ様が少し怒りながらエステル殿下に話すと、エステル殿下も少し不貞腐れながらもヘレーネさんを引き連れてこちらにやってきた。
うん、何時になったらお茶会が始まるのだろうか。




