第十話 まさかの連戦
一息ついた所で、騎士に色々と聞いてみよう。
「道中オオカミくらいしか現れなかったのですが、こんなにもゴブリンが現れるものなんですか?」
「それはないな。街道は安全に通行出来る様に、訓練も兼ねて定期的に担当領地の騎士が魔物や動物を討伐している。しかも、この辺は一週間前に魔物や動物の討伐をしたばかりだ」
「となると、このゴブリンの量は異常ですね」
シロとミケも沢山のゴブリンを討伐している。
全体では百体を超えるゴブリンが現れたのだろう。
道中の街道の様子が、普通なんだろう。
確かに、この状況は普通じゃないよな。
ぞく。
「うん? 何かが動いた気配がしたぞ」
「お兄ちゃん、何かが現れるよ」
「お兄ちゃん、気をつけて」
その時、俺は何かが動いた気配を感じた。
もしかして、魔法か何かか発動した?
シロもミケも、周囲を警戒をしていぞ。
「まだ戦闘は終わったわけではない。気を抜くな」
「「「はっ」」」
騎士も何かを感じた様で、直ぐに戦闘体勢をとった。
そして、森から何かが現れた。
「「「ブヒー!」」」
「あれは豚さん?」
「おっきい豚さんだ」
森から姿を現したのは、豚の顔をした魔物だった。
シロとミケの指摘のまんまの姿だ。
あの魔物も漫画で見た事があるぞ。
「オークだ、オークが現れたぞ」
「十頭もいやがる。馬車を囲む様に陣形を立て直せ」
騎士もオークを確認して、改めて陣形を立て直している。
しかし、ゴブリンからのオークとの連戦になるので、騎士の疲労は強そうだ。
「とー」
「やー」
「「「ブヒ!」」」
それに対して、まだまだ元気いっぱいのシロとミケがオークの集団に突っ込んでいった。
オークも棍棒などを振り回すが、素早い動きをするシロとミケを捉えられていない。
「せい!」
「ブヒー!」
俺も隙を見せたオークを攻撃していく。
手数をかけたくたないので、出来るだけ急所を狙う様にした。
「ちょやー!」
「えーい!」
シロは器用にオークの頭部を攻撃している。
というか、ぶん殴ってオークを沈黙させていた。
逆にミケは、豪快にバトルハンマーを振り回していた。
流石に遠くまで吹き飛ばす事はできないが、それでもオークにかなりのダメージを与えていた。
「よし、馬車の守りをしつつ、数名は攻撃にまわれ」
「「「はい!」」」
シロとミケの奮闘もあってオークの統率が完全に乱れたので、騎士も好機と見た様だ。
数人がコンビを組みながら、確実にオークを攻撃していった。
ああいった連携プレーは、きっと日頃の訓練の賜物なのだろうな。
そして、オークが現れてから十分後。
「やった! 豚さんを倒したよ」
「イェーイ!」
シロとミケの奮闘もあり、森から現れたオークを全て倒す事ができた。
シロとミケは、お互いにハイタッチをして勝利を喜んでいた。
辺りの気配を伺うけど、他に魔物はいない様だ。
ふう、これで本当にひと段落した様だぞ。




