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6話:最強×最強

 エリシアはフェイドの問いである、魔族の目的を答えた。


「魔族領は元々豊かではなく、恵みある土地、食料を求めて人間と交渉した。だが、あろうことか人間は我々魔族のことを『人類の敵』などと言い、滅ぼそうと一方的な侵攻を開始した。フェイドも知っているだろうが、一時は私達魔族が優勢だった」


 人類の敵である魔族を倒そうとした連合軍は侵攻を開始した。

 だが、魔族は魔法や身体能力が人間よりも優れていることから、劣勢へと追いやられていたが、戦局が変わったのはある存在が現れたからだった。

 その存在とは、誰もが知る――……


「七人の勇者が現れたことで、数多くの同胞が殺された」


 勇者は魔族や魔物を次々と倒して奪われた領土を奪還して魔族領へと攻め入った。

 勢いは止まることを知らず、気付けば魔族領も連合軍へと制圧されたのだ。

 それでも魔族は、連合軍の侵攻を止めようと必死に対抗し続けていた。

 現在は魔族領の三分の二が奪われている状況となっており、連合軍が魔王城のある王都まで侵攻してくるのは時間の問題といえた。

 尚も、魔族は生き残ろうと、未来へと繋ぐために必死に戦っていた。

 エリシアも未来を守るため、同胞を守るために必死に戦っている一人であった。


「我らはただ生きるための、子孫を未来に繋ぐための恵みが欲しかっただけなのだ……」


 エリシアは悔しさのあまり、拳を強く握りしめた。

 この人類と魔族による戦争は『人魔大戦』と呼ばれており、両者ともに大きな被害が出ているが、現状では魔族の被害の方が大きい。


「神は我ら魔族にこんなにも過酷な試練を与えるというのか……」


 エリシアの呟きは、これまで魔族が辿ってきた道のりの過酷さが込められていた。

 ただ、エリシアは勘違いをしていた。


「神は与えるだけの存在でしかない」

「だが、同胞は苦しんでいるのだ! 少しの恵みさえあってもいいではないか!」


 魂の叫びともいえるエリシアの訴えにフェイドは無慈悲とばかりと切り捨てた。


「神に期待するだけ無駄であり、信じるだけ無駄だ」


 フェイドは「それに」と言葉を続ける。


「神は人類に勇者の力を与えている。神が力を与えた存在が、多くの魔族を殺しているんだ。魔族だけではない。勇者は同族である人間すらも殺している。そんな者に力を与える神なんて碌な存在じゃないのは明確だ。だから魔王であるエリシアに問おう」


 言葉を区切ったフェイドは問う。


「それでも神に恵みを与えてほしいと願うのか? 神は絶望を与えるだけで、恵みなどくれやしない」

「神は魔族を救ってはくれないのだな……?」

「その通りだ。神など期待するな。使えるものは使い、自分だけを信じろ。それが生きるために必要なものだ」

「使えるものは使って自分だけを、か」


 エリシアは顔を俯かせた。

 少しして顔を上げると、先ほどまでのエリシアではなくなっており、右手をフェイドへと差し出して再び提案した。


「――私と手を組まないか?」


 エリシアの提案にフェイドは思わず笑みを零した。

 当初は『仲間にならないか』と言っていたのが、『手を組まないか』という言い回しに代わっていたのだから。

 フェイドはその言い回しの真意に気付いたことで、つい笑ってしまったのだ。


「私、可笑しいことを言った?」


 フェイドは「違うさ」と言って、笑った理由について答えた。


「当初は『仲間にならないか』と言っていたのが、まさか俺を駒の一つとして利用するとはと思ってついな」

「魔王である私よりも強く、同じ敵を持つ者同士で利害も一致している。利用するのが当然であろう。それに、使えるものは使えと言ったのはどこの誰かな?」


 悪戯っぽい笑みを浮かべるエリシアにフェイドは苦笑いを浮かべた。

 フェイドにはこの提案を断る理由はなく、エリシアの差し出された右手を取った。


「俺が断る理由はないな」

「うむ! よろしく頼むぞ」


 こうして『黒の支配者』と『魔王』という最強のコンビが手を組み、人類へと反撃に出るのだった。


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