8話:畏怖
なんとか、更新!
土日の二話更新は、もしかしたら厳しいかもです!
中央はハウザーに任せ、魔王城へと一足先に帰還したフェイドとアゼッタは、魔王城の一室にいた。
正面にはエリシアが、静かにお茶を飲んでいた。
「フェイドとアゼッタも飲むか?」
「もらおう」
「それでは頂戴します」
側にいたメイドは言われるよりも前に動き、スッとフェイドとアゼッタの前にお茶の注がれたティーカップが出てくる。
フェイドは手に取り口元へと持っていき飲む。
「美味しいな」
「そうだろう! これは北部の麓で育てられたお茶だ」
「ほう。香りと味も悪くないな。人間領にこれほどのお茶はなかった」
「そうなのか」
エリシアとフェイドは談笑しているが、アゼッタは思い詰めた表情を浮かべていた。
そのことには気付いており、エリシアがカップを置いた音が部屋に響く。
「アゼッタ。どうした? 戦いに勝ったのだから、もっと喜んだらどうだ?」
「その通りなのですが、魔王様はこの戦いの惨状を聞いておりますか?」
アゼッタの質問にエリシアは頷き聞いていた報告通り答えた。
「海上からの軍船はフェイドによって殲滅。その後、中央戦線の増援に向かいフェイドの力によってほぼ壊滅。勇者レイはハウザーとアゼッタが倒し、もう一人の勇者であるグレイはヴェントという者によって倒し切れなかったと」
「その通りです」
「何か問題があるのか?」
「それは、フェイドがほぼ一人で連合軍を相手したという事実であり、それもほとんど一方的でした」
アゼッタはフェイドの戦い方を非難しているわけではない。それは部下である魔王軍を心配してだ。
あまりに一方的すぎる戦いに、非難が寄せられていた。
「知っている。それがどうした? フェイドと私は手を組んでおり、敵対しなければ危害は加えないと言っている」
エリシアがフェイドに、確認の意味を込めて顔を向けるので、静かに頷き飲んでいたカップを置いて口を開いた。
「エリシアの言う通りだ。危害もなしにエリシアの配下を殺すわけはない」
つまりは、危害を加えれば殺すと言っているのと同じ。だがエリシアは何も言わない。
「私に非難の声が届いています。『あんなのは戦いではない』と。これに関してはどうお考えですか?」
エリシアはフンッと鼻で笑い飛ばした。
「魔族とは実力がすべてだ。この魔王の席さえも。文句があれば実力で証明しろ。フェイドに救われた身で好きかって言いうものだ」
「……仰る通りかと」
「ふむ。不満げだな?」
「いえ! その……」
「フェイドは何もしない。いいか?」
「勝手にしてくれ」
「とのことだ。アゼッタ、本音で話せ。配下のことを知るのも王としての役目だ」
アゼッタがフェイドを見るが興味なさげに優雅にお茶を飲み、用意されているお菓子を食べている。
本当に何も言わないのかと疑問に思いながらも、エリシアに言われてアゼッタは本音を語った。
「中央戦線に駐留するいくつもの部隊から『これは戦いではない。一方的な虐殺だ』と声が上がっております。私も思うところはありますが、フェイドのお陰で勝てた戦いだというのは理解しています。それでも、やり過ぎだと敵味方から反感を買います。少しは慎んでいただきたい。私達の面目も立ちません。私が言いたいのは以上です」
「ふむ。ではフェイドいなければ海上からの奇襲に対処はできず、中央も押されており背後から襲われ壊滅していた。それについてはどう思う?」
フェイドがいなければ魔王軍は大きく戦力を減らし、一気に追い込まれることになっていた。
フェイドからの情報があっても、海上を使って進行してくる連合軍を食い止めるのは難しく、苦戦を強いられていた。
つまるところ、フェイドのお陰ということになる。そのことをアゼッタは理解していた。
「フェイドがいなければ負けていたでしょう。こちらの戦力は減らず、連合軍の戦力が大きく削ぐことができました」
「うむ。わかっているならよい。では改めて全体に伝えろ。フェイドは人間ではあるがこちらの味方であると。いいな?」
「はっ!」
「では少しゆっくりするとしよう。アゼッタも疲れただろう。休むといい」
「はい。ありがとうございます」
翌日、魔族領全体にフェイドが味方であると伝わるのだった。
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