7話:勇者への復讐Ⅱ
残ったイレーナは、ゆっくりと近づくフェイドを警戒する。
近づくフェイドを見てアゼッタが止めに入る。
「何故わざわざ敵の懐に行くのですか!」
「何故? 復讐をするからだ。お前は黙ってそこで見ていろ」
それだけ告げると、フェイドは残った軍船に降り立つと多くの兵士が取り囲んで剣先を向けた。
指令だろう男が繰りを開いた。
「人類の反逆者、フェイドだな? 身柄を拘束させてもらう」
「へぇ……」
フェイドは取り囲む兵士を見渡して笑みを浮かべた。
「この程度で俺を捕まえられると思っているのか?」
「ふん。こちらには勇者殿もいるのだ。覚悟することだな」
男の発言にフェイドは可笑しそうに笑う。笑うフェイドを見て訝しむ視線を向ける。
「お前は余裕そうだが、期待している勇者はそうではないみたいだが?」
「なに?」
男がイレーナを見るといつもの余裕な態度が消えており、とても険しい表情になっていた。
「イレーナ殿、いかがなさいましたか? あの反逆者を殺すいい機会です!」
何もわかってない男の発言にイレーナは内心で舌打ちをした。
(なんで分からないのよ⁉ 見てわかるでしょ! フェイドが化け物みたいに強いって!)
イレーナはフェイドを見ていると気配もそうだが、それ以上に不気味でならなかった。
勇者であるイレーナから見ても、フェイドの力の底が見えないからだった。
どうやって逃げようかを考えるも。
(逃がしてはくれないようね……)
フェイドの目を見てそれを確信して覚悟を決めた。
「俺の目を見て覚悟ができたようだな」
「ええ。ここで倒して魔族を滅ぼさせてもらうわ」
「別に魔族が滅びようと俺はどうもしない」
「なんですって? 味方なのでしょう?」
フェイドの発言にピクリと眉を動かして問う。
「別に魔族が滅びようと、俺は俺の復讐を成すのみだ。勇者を殺し、信頼を裏切った王国を潰すのみ」
フェイドの回答に誰も何も言えなかった。否。フェイドの圧がそれをさせなかったのだ。
「あなた。囲まれているのですよ?」
「雑魚をいくら集めても結果は変わらない」
雑魚呼ばわりに、周囲を囲んでいた兵士達から殺気が放たれる。
この軍船に乗っているのは精鋭揃いであり、それを雑魚呼ばわりしたのだ。
「我が軍の精鋭を雑魚呼ばわりだと⁉ ドラゴンがいなければ威張れないお前が雑魚と言うか! やれ!」
「ちょっと待ちな――ッ⁉」
嫌な予感がしたイレーナが思わず止めに入ろうとしたが、フェイドの魔法によって遮られた。
襲い掛かった兵士の足元から影の棘が伸び、心臓を的確に突き刺したからであった。
数十人もの兵士が一つの魔法で死んだ。その事実に誰もが動きを止めてしまう。
そして、その後に死んだ兵士は闇へと飲み込まれて消えるという異様な光景に言葉を飲んだ。
「――出て来い」
するとフェイドの足元から闇が広がっていき、漆黒の鎧に身を包んだ兵士達が現れた。
「な、なんなのだ、その力は! その祝福は!」
指令が異様な力を目の当たりにして叫んだ。
それほどまでに異様な光景だった。
「自分で考えることだな」
フェイドは闇の軍勢に命令を下す。
「――殺せ」
そして、闇の軍勢は周囲の兵士達へと襲い掛かり戦闘が始まった。
次々と倒されていくのだが、問題はそこではなかった。一人の兵士が、倒したはずの兵士の蘇るのを見て後ずさりした。
「な、なんでだ。どうして倒したのに蘇るんだ……」
イレーナも魔法で応戦するのだが倒しても倒しても蘇る漆黒の兵士を見て、イレーナは苦い表情をする。
「これだとキリがないわね……」
周囲を見ると、兵士は疲弊し次々と倒されては闇へと引きずり込まれ、新たな漆黒の兵士が生まれる。
軍船ゆえに逃げ場はなく、戦う以外の選択肢はない。海に飛び込んで逃げようとした者は、海面に落ちる直前にドラゴンの放つ火球で焼き殺されていた。
そして気付けば二百はいた兵士が、残り数十人までと減っていた。
フェイド攻撃していた闇の軍勢の動きを止めて下がらせると、イレーナ達の前に歩み出た。
「今がチャンスだ! 殺れ!」
フェイドを囲んだ兵士達も千載一遇のチャンスと思い襲い掛かった。
その光景を見ながらフェイドは徐に足をトンッと鳴らすと、襲い掛かってきた兵士達の足元から漆黒の棘が現れ、一瞬で命を奪い取った。
そして、指令である男と勇者であるイレーナの二人のみが残った。
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