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木曜ばんびいの  作者: 雛 ソウスケ
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第五話 ◯◯は突然に!

 とは言っても「か〜んち!」の台詞で有名なドラマ『東京◯◯◯◯◯◯◯』の話ではない。

 その日はご主人に役者の仕事がたまたまあり、ご主人が不在の夏の日の出来事だった。

 私が鬼の居ぬ間の洗濯を決め込み、エアコンとはいい距離感を保ちながらノンビリしていると、真っ昼間だというのに突然世界が暗闇に覆われ始めたのである。

「ん?終末期の訪れか?」

 そう思った好奇心旺盛な私は何事が起こったのか?と外の様子を伺うために窓に近づいてみたのである。

 すると、その時である。まるでそれを待っていたかのように、突然、空全体が眩いばかりの光に覆われ、それと同時に今まで聞いたことがない音が私の耳をつんざいたのだ。

 そして、豪雨。

 私はそれまでのドッグライフにおいて、空から雨が降ることは知っていたが、眩いばかりの光と鼓膜が破れそうなほどの音を聞いたことがなかったので、その現象に驚いてしまったのである。

 勘のいい御仁なら既にお分かりのことだろう。

 そう、雷!。

 そう、サンダー!。

 そう、雷鳴と電光!。

  (ん?くどい?)

 しかし私にとっては、まさに【晴天の霹靂】だったのだ。晴天の霹靂だけに辟易したなどと、韻を踏んだり、冗談を言っている場合ではない。この状況を何とかしなければと思ったが、いくら利発な私でも自然現象を食い止めることは出来ないのである。自然現象を止められるくらいなら、レインボーブリッジなんて簡単に封鎖出来るだろう。

 しかし、何と言っても初めての経験だったから、恐ろしいことこの上なかったのである。そうなると頭に浮かぶのは、こういう日に限って出掛けてしまったご主人のことである。

 あの時の私は、雷に恐れおののきながら、ご主人を呪い、ありったけの罵詈雑言をご主人に浴びせ倒したのである。

 「アンチクショウ!」

 「なんでこういう日に限っていねぇんだよ!」

 「ボサ男!(ボサボサ頭の怪しい男)」。

 「ふざけんな!」等々。

 お恥ずかしい限りではあるが、この時ばかりは、利発で上品な私には似つかわしくない言葉を連発してしまったのである。

 しかし、しかしである。

 ありったけの憎悪を込めて、ご主人をアンチクショウと呼んだことに、とてつもない喜びを覚えたことも確かであった。

 

 ご主人よ、許せ。

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