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木曜ばんびいの  作者: 雛 ソウスケ
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第三話 苦手なこと その一

 私も人の子、もとい、犬の子であるから、苦手なこともある。その際たるのが、散歩なのだ。

 何故、苦手なのか?

 第一に、あのハーネスである。首輪を使用する御仁もおられるが、私の場合チワワの中でも小さい方なので、最も小さい首輪でも頭からスッポリと抜けてしまい、首輪の用途を果たさなく、単なる輪に成り下がってしまうので、仕方なくハーネスを付けられる羽目になったのである。

 ところが、ところがである。

 生まれながらにして、自由と博愛をモットーとし、世界の如何なるものにも束縛されることを嫌う私にとって、ハーネスなるモノは首輪以上に体を拘束されてしまい、窮屈この上ないのである。その上、服などを着せられようものなら、私の嫌悪感は頂点に達するのである。服など着なくても、私にはウール100%ならぬ、艶やかな漆黒の犬毛を纏っているのであるから不要なのである。

 なのに、ご主人ときたら私に、お台場のテレビ局が放送していたドラマ『踊る大◯◯◯』の青◯刑事が着ていた、緑色のコートにそっくりな服を着せたことがある。あれには殊更閉口した。いくら私が犬族で足が速いとはいえ、犯人を逮捕することなんて出来ないし、レインボーブリッジを閉鎖することなんてもっと出来ないのである。

 第二に、我々犬族は常に裸足であるから、夏の散歩は耐えられないのである。特に大都会東京は道のほとんどがアスファルトであるからして火傷しそうだ。人間の皆さんも一度真夏のアスファルトを裸足で歩いてみるといい。犬の苦労が理解出来るであろう。

 第三に、散歩に出掛けるテンションじゃない時に連れ出されることである。家でノンビリ寝転んで、煎餅でもかじりながらテレビでもなどと思っている時などに散歩なんて迷惑極まりないのである。役者を生業としているくせに、散歩時の主役である私を脇から支えないなんてアンビリーバボーだ。

 しかし、しかしである。

 散歩に出掛けることは悪いことばかりでもない。

 運がよければ、散歩中に私好みの可愛らしい犬に会うこともあるし、通りすがりの人間たちから「可愛い!」と褒められたりすることもあるのだ。

 もっと運が良ければ素敵な女性に撫でられたり、時には抱かれたりすることもあり、この時ばかりは散歩も悪くないかと思うのである。

 が、やはり散歩は苦手である。

 ただ苦手なことは他にもあるので、それはまた追々。

 

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