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世界終演の鐘の音、もしくは聖女の懺悔

作者: 水虫と油虫

少し、ほんの少し性的なニュアンスを含みます苦手な方はお気をつけを


地名人名はそこまで重要でないので流し流しで理解出来ると思います

 その時、人類の中で始めに事態を察したのは、帝都グレディアナにある覇王メドラスの側に控えていた、一人の男であった


「がっ……!?」

突如呻き声をあげた男を


「どうした?」

と平時と何ら変わらず玉座に座る覇王メドラスは、側仕えの男を一瞥した

男は右の瞳から流血していたが息を一度整えると、反対側の瞳に決意をみなぎらせ言った


「邪神王の結界が破られた」

「ッ!」

覇王メドラスは顔を側仕えの男に向け驚愕する、そしてこちらも一度息をつくと席を立ち


「では、私の役目は一時凍結ですね陛下」

と、側仕えであった男に恭しく席を譲る


それを当然の事と側仕えの男、いや本当の覇王メドラス・アーディフオン・ブルジアナ・グレディアナは深く玉座に身を納める、同時に闇精を元にした黒く赤い光が渦を巻き始める、覇王は右目の魔眼を疼かせながら


「まずは、魔族の動向を探れ!イカれ聖者や黒腐竜、倉篭りの所在も調べあげろ!」

魔族との闘いを想いその口許をニィっとつり上げたのであった




所は変わりヘルメリーゼ王国の祈りの間で、いまだ十六の少女である王女セリエラ・リーシュビッツ・ヘルメリーゼもまた、今までの人生で一度も体感したことの無い悪寒に襲われ、両の手を地に着けていた

「!……!?」

声にならない恐怖の中、必死に光の精霊に呼び掛けなんとか心を強く保つ魔法を放つ

「あっ……かっ……、……はっ……」

光の精霊が周囲を飛び回り、なんとか息を整えたセリエラは最悪の事態が起きたのだとその身を震わせる

「お姉さま」

聖女ハルセーナ、王女である自身の血の繋がった姉、封印の守り手

「早く知らせないと」


そう自身を奮い立たせるため声をだし、自身の姉とお揃いの、象牙で出来た御守りを握りしめながら祈りの間から出ようとした時


ふいに


ドスン、と祈りの間の中心から音がした、他に人などいない場所に響いた音とともに

「きゃっ」と「あいた」と二人分の声がする


「え?どこ、ここ」

部屋の中央に尻餅を着いていた光沢のある、不思議な服を着たこの地方に珍しい、黒髪黒目の少年は、そう呟いたのだった




「ばばさま~?どうしちゃったすか?お迎えでも来たっすか~?」

南の僻地ヤントレアここでもまた異変を察知した者がいた、魔女レペラペ、百を優に越える老女でありながら、その占星術は衰えるそぶりもみせることはない

レペラペは真っ直ぐ地平線を見つめたまま、失礼な弟子の頭に杖を落とす

「~っ!ってぇすよ!ばばさま!てかなんすか、北の大地?、ってか聖域の方?はぁ?見えてんの?ばばさますげぇじゃん、それが?んんっ?邪神王?なにそれ、……へ~、ええっ!やべぇじゃん、ばばさま!やべぇすよ!」


一人芝居を始めた弟子を見ながらやれやれとため息をつきながら金貨を一枚と手紙を取り出した

「大体のことは理解したね、お前はこれから王都に行きな」

「へぁ?王都って?聖域じゃないんすか?むむっ……えっ?勇者?きてんの!?」

「ああ、そう言うことかい、王都にお前を必要とする人がいるその子にこの手紙を渡しな」


弟子の呟きに自身の占いに納得がいったのかレペラペは金貨と手紙を投げる

「っと、わっ金貨じゃねえっすか!ばばさま太っ腹、王都!王都!」

「遊びに行くんじゃないよ!」

「わかってるっすよ~……ん~?、聖域事態は壊れてないの?……む~吟遊詩人?、ああっ退屈しのぎか、これは違うかな?聖女の結界ってさ、……!は~、気に食わないなぁ」


百面相をしながら幾分か真面目な顔をした弟子に

「ほら、魔力を抑えな半人前」

周囲の大地が弟子の魔力でめくり上がるのをたしなめる

「わわっ、申し訳ねえっす」

「それじゃあ頑張っといで」


そうして出来上がった魔法を弟子の足元に展開する

「えっ?あたし一人?てかなんすかこの魔……えっ」


瞬間、まるで噴火したかのように足下から風の精霊が舞い上がりまさしく王都へ一直線に

『賢者』ミミレルナ・フェルテンツェは旅……飛び立っていったのだ


「ふん、しっかりおし……ミミレルナ」

レペラペは精霊に聞かれていると知りながら弟子の名前を初めて呼んでみたのだった




死都アプナス、邪神王の封印の地に程近い不毛の大地、そこでは一つの悪意が産声を上げていた


グオオオオオォォォォッッッ!!


とそれは歓喜とも怒りとも不満とも思える身体の底を震え上がらせるような咆哮だ

その姿は、とても巨大だ、ゆうに三十メートルは越える巨体黒い煙の様に三本の細長い三本の線が立ち上る、それは両の翼と長い首を持つ頭、竜であった

黒腐竜、そう呼ばれ一度は滅ぼされたその身はもう一度生まれたことを喜びそして嫌悪する、理不尽に対して理不尽、生きながら死せる竜

そしてもう一度咆哮を上げ邪神王封印の地へ飛び立ったのだ




 そして、聖域ウィンガトゥム、邪神王の封印の地とは丁度星の反対側に位置するその場、ウェヌラと呼ばれる神殿の最奥にその空間はある、ただあるがまま、静かな場所だその空間が広いのか狭いのかそれすらわからない、精霊すらも入ることが出来ない凪の空間に一人の女性が倒れている

意識を失っており髪を乱して地面(材質は分からないが)に伏せていた


「んっ……」

ふと、その顔が苦痛に歪み意識が戻ってくる、寝惚けた眼であるが自身のおかれた状況に少しずつ理解が及んでくる

「痛っ……」

手に持っていたのは綺麗に磨かれた円柱型に加工された20センチ長の象牙の御守り、それが今は聖女が流した血で濡れていた

「そうだ、これが……」

荒い息を付きながらゆっくりと自身の置かれた状況に行きつき視線を近くに浮かぶ鏡を見、首元に視線をやる

「……」

呆然と自身の聖女の証であった刺青のような魔法刻印が無いのを見やり

「仕方なかった……仕方なかったのよ」

とうわ言のように繰り返す

そして両手で顔を覆い、慟哭の涙を…………



「やっちゃったー!!!あー!どうしよーー!」

流さなかった……



聖女ハルセーナは顔を真っ赤に染めゴロゴロと転がりながら思い出す、そうだ、あれは吟遊詩人が悪いのだと


聖女は神から選ばれると前任の聖女と交代となりこの地を離れることは出来ない、しかも空間まで断絶されたこの部屋は、月に一度の開閉しか許されず、ぶっちゃけ暇なのだ、十二の時から聖女となったハルセーナもはじめのうちは本を読み続けていたものの、年齢に合わせたであろう内容に嫌気がさしていたのだ


そこで考えついたのが吟遊詩人に付いている音精霊から聞き出す方法であった、空間が断絶されていない場合精霊はどこからでも出入りが可能で、ハルセーナも音精霊とは会話が出来る、そのため表向きは吟遊詩人に当たり障りの無い唄を歌ってもらいながら、音精霊に吟遊詩人が得たであろう大人向きの話を聞こうと考えたのだ


試しにとやってはみたものの、これが意外に彼女の好みに合致してしまい危険な話や下世話な話、しかも良く来る吟遊詩人は中々に浮き名が広がっており


また、同時期に妹から送られた象牙の御守り、とてもしっくりくる御守り、これがいけなかった


「ごらんのありさまだよ~~!」


気にする人目がない空間で真っ裸で転がり回る聖女様(元)はとても残念だった


そしていきなりガバリと起き上がり

「しかもあれでしょ!?『バカな早すぎる!』っとか『聖女様の身にいったい何が!』『邪神王め、まさか復活するとはな、ククク』みたいなことが世界中で起こってるんじゃ」


長い聖域生活で培ったモノマネ技術をフル活用しながらワナワナと聖女は震える、自分と探知した者が一緒に『なった』のが性癖に要らぬ影響を与えながら


「ヤバい、ヤバいよ~このままじゃ歴史に名を刻んでしまう『性女』ハルセーナ『勢い余って』邪神王を復活させる……」

自身の想像にサッと血の気が引く


「いや、まだ!まだ大丈夫!結界は生きてる、あと二十日は開かない!それまでに考えるのよ私!今まで何のために本を読んで来たと思ってるの!そう、このため」

絶対に違う

「だからでっち上げるのよ、完璧なシナリオを!この場を切り抜ける素晴らしいストーリーを!」


まるで舞台役者のように身振り手振りを加え聖女(元)は高らかに宣言したのであった……


ちなみに、意外に凝り性な彼女が眼を血走らせ徹夜明けでウンウンと唸る様を発見されるのは(服は何とか着ていた)これから五日後であった




そして星の反対側、邪神王封印の間では


「ふぐぅっ……!」

一人の男が顔から地面に突っ伏していた端正な顔であったのは伺えるもののその姿は、細く頼りない、それもそのはず、封印解放のため全力で魔力を放出し続けていたときにいきなりプツンと『何かが』切れたように封印が無くなってしまったのだ、うっかり世界中に自身の魔力大量放出!


「ごらんのありさまだよ!」


何かしっくりと来るセリフを吐きながら邪神王は困り果てる、周囲も何の準備もされてないのがわかり誰もおらずスッカラカン、そしてスッカラカンの自分がいるだけだ


「あれ、我このまま餓死する?」

そんな良くない思いがふとよぎったとき

グオオオオオォォォォッッッ!!

「ひぃ!」

とてつもない咆哮が封印の間を震わせる、悪意の波動は枯れ枝のような邪神王(笑)を弾き飛ばしゴロゴロと封印の間の端に転す


「こ、この鳴き声は」

自身の可愛いペットにして相棒であった黒腐竜の咆哮だ

「そうだあやつがおれば」

しかしその歓喜は続かない

「あ、やだ、痛、イタタタタタタタタタ」

黒腐竜が近づく程に身体に痛みがはしる


今の邪神王のもやしっ子ボディでは黒腐竜の邪気に耐えられない


「え、ちょっと、ちょっと待って!!いやぁ!ポチスケ!ステイ!待って!待って!」

相棒に声は届かず遠くに微かに見える(ポチスケ)の尻尾はブンブンと振られていた

「ひぃぃぃぃッッッ~~!!」




かくて星の両の端でしょうもない事件が起こり世界は激動の時代を迎える(主に勘違いした魔族や覇王によって)

後に性女様はこう語る



「正直、すまんかった」

ってな訳で残念異世界第二段です、四コマギャグ小説みたいなのを目指してるんですが、描写が薄いとタネが割れる、濃いとくどく、ながくなる、ジレンマですね

いつごろ分かったか感想など頂けると狂喜乱舞します(聖女スタイルで)


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