表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

みずなみ係

水波市。水波(みずなみ)人口10万人の大平洋に浮かぶ、水上都市。政府が 実験都市設置法を施行し、完全な自給自足を目指す水上都市を作った。しかし政府が目指した〈完全な自給自足〉をはじめとし、水波市には問題が山積みだった。


水上都市、水波市の中心部に位置する水波市役所、五階の廊下を黒髪の男と茶髪の男が歩いていた。

「今思うんですけどね、〈水波〉って安直じゃないっすか?もっとカッコいい名前になんないんすかね。ズカさん。」

汗をハンカチで拭いながら、茶髪の男はそう言った。

ズカさんと呼ばれた、黒髪の男は若干あきれながらも、答えた。

「しょうがないだろ、役所が考えるものなんて、そんなもんだろ。格好良さなんて、求めちゃだめだよ」

二人は水波市役所の職員で、市長部みずなみ係に所属していた。黒髪の男は犬塚圭介、みずなみ係の係長。茶髪の男は九条新也、犬塚の部下だ。みずなみ係は市長部秘書課の係だったが、秘書の仕事ではなく、〈水波市の発展の為に活動する〉という名目で設置されたが具体的な仕事はなく、今は秘書課の雑用をさせられていた。あくまで水波市は〈実験都市〉なのでそういう特殊なことも多々ある。

「まぁ、そうっすよね。それにしても暑いなぁ。」

「仕方がない、夏なんだから……。」

二人はそう話ながら歩き、第二会議室にやってきた。定例の市長部会議に参加するためだ。

「めんどー臭いなぁ。こんな暑いのに」

「月に一回なんだから我慢しろよ。一時間もありゃ終わるだろうから。」

〈みずなみ係〉と書かれたプレートが机に置いてあり、そこの椅子に二人は座った。会議室の後ろのほうだったが、そこまで大きくはないので、前の方までしっかり見えた。

「ズカさん、上野部長が来ましたよ。そういえば、あの人若いっすね。」

「34だったかな、あの歳で部長ってバケモンかもな。」

実験都市である水波市は職員が全体的に若いというのもあるが、それでも〈34歳の部長〉というのはインパクトがある。

「それでは定例の市長部、部内会議をはじめます。」

前にいる男がマイクを通して、そう呼び掛けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ