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姫と従士の思い出旅行 《メモリーズ・トラベラー》  作者: 月城 裕也
1章 時計塔の街 ルルシャルナ
14/15

13-⦅追憶編⦆


 勇者様が召喚されてから二ヶ月ほど経ちました。

 魔法が存在しない世界から来たとおっしゃられていたせいか、いまだに魔法を上手く使えず苦労しているようです。その代わりに身気の扱い方が城の誰よりも群を抜いています。

 ですが我々の国は魔法大国。魔法を使えない者を決して認めることはない。


 一流の魔法使いと名高い賢者様方が何度も勇者様と魔力渡しをしようとしましたが、勇者様に賢者様の魔力が触れた瞬間バチンと大きな音を立てて賢者様のお手が弾かれてしまいます。

 ……気のせいでしょうか、それはまるで勇者様が他の方を拒絶したとも見えてしまうのは。

 一か月後には勇者様とこの国の騎士団との模擬戦がありますが、そこで勇者様が勝てないと新たな勇者様を呼ぶ手筈になっています。私としては、気兼ねなく話をしてもらえる勇者様と一緒にいるのは楽しいので是非頑張って頂きたいです。


 明日は隣国の王子が訪問しに来るということで、今日は少し早いですが寝ることにいたしましょう。次はどんなお話を聞かせていただけるのでしょうか、楽しみで寝付くのに時間がかかりそうです。


<    の日記 とある1ページより>



――――――――――



「Bレートの魔物『ヤクサル』。こいつが元凶だったよ」


 ナキの言葉に二人の表情は対照的だった。

 納得のいかいなそうなソヤンダルと、何かを思い出そうとしているナキ。最初に口を開いたのはソヤンダルだった。


「ヤクサルじゃと? 確かにあやつはBレートで知性を得ているが基本的に武闘派。こんなに策略を巡らせて街を落とすなんて芸当はしないはずじゃが……」

「ごめん、ヤクサルってどんな魔物だっけ?」


 勇者が頭に疑問符を浮かべているが、勇者はヤクサルという魔物がBレートだということしか知らないので近接戦闘が得意だということや、頭の巡りがそこまでよくないということを知らない。

 そのことを把握していたナキは面倒ながらも勇者に説明をした。


 Bレートの魔物『ヤクサル』。

 体型は2メートルほどの人型だが、体のあちこちが腐りかけておりその腐食を抑えるために人を好んで食べる肉食型の魔物。特徴的なのは背中を突き破って飛び出ている肋骨と、眼球以外が白骨化した頭部だ。ヤクサルの腐肉には毒が含まれており、その身は毒で形成されているといっても過言ではない。


 ギルドの図鑑に載っていることをざっと説明したところで、ナキはソヤンダルの質問に答える。


「街の外れにある民家、そこを見つけたのは偶然だったんだが……。魔識眼(・・・)でその家を監視してたらヤクサルと数匹の魔物が姿を現してな。そのまま監視してたらあら不思議、家の中にいた魔物が変身魔法をかけられて人になっているではないですか」

「そこがそもそもおかしいではないか。ヤクサルは変身魔法を使えんし、そいつの体は腐っている。それこそ鼻の曲がる腐臭が付近には立ち込めているはずじゃがそういった報告も受けていない」


 ヤクサルの使える魔法は基本的に水魔法。相手の状態を変えることに特化している闇魔法は習得していない。

 そもそも闇魔法を扱うためには絶対条件(・・・・)があるのだが、ここでは触れないでおこう。


「それについては一つ訂正しないといけないな。あいつの家の周りに小さな小さな結界が張ってあった。それも魔力眼じゃ見抜けない極めて高度な結界魔法がな」

「ちょっと待て、魔力眼じゃ見抜けない高度な結界法じゃと? ナキ、まさかお主――」

「使うわけねぇだろ、それをした瞬間のデメリットが大きすぎるし、『グゥ……』何より・・・?」


 唐突に聞こえてきた音の正体に目を向けると、勇者が器用にも立ったまま寝ていた。


「立ったまま寝るとは呆れて物も言えぬな」


 寝てしまった勇者を起こそうとソヤンダルが手を伸ばすが、その手をナキが掴む。


「こんなに早いのは俺も想定外だが寧ろ助かった。こいつにまだ魔眼のことを詳しく話したくなかったしこれ以上はグレーゾーンだ。すでに勇者の実力が聞いていたものより1年以上先を行っている。修行もそうだが、……これ以上は危険だな」

「ナキ…いったい何を知っている? いや、それよりも1年以上先を行っている? いったいそれは……」

「お前には関係のないことだよソヤンダル。お前が知っていいのは俺の目的のみ、それ以外のことに関しては一切教える義理もなければ義務もない」


 ナキがソヤンダルの手を放して先ほどの話の続きをする。


「話を戻すぞ? 俺が使ったのは魔識眼まで、そこから先は大地で使うのは禁忌に触れるんだろう? 俺としてはどうでもいいことなんだが、それはそれで遠回りになるから仕方ない」


 そしてナキが首元にぶら下げている指輪をソヤンダルに見せる。


「これを使って結界の一部を無効化して中を覗いていたんだよ。俺がまだ魔力眼しか使えなかったときに貰った『光魔の指輪』、名前ぐらいは聞いたことあるだろ?」


 歴史で幾度か出て来る古代の道具。そして、失われた古代魔法を封じている禁忌指定道具だ。

 高値で取引され、どんなに低く見積もっても城一つを買ったところでお釣りが返ってくるほど。そんな伝説級なアイテムを狙わない邪な輩がいないはずもなく、各地でよく盗難事件が起こる。

 それを避けるためナキも普段は指輪を服の下に入れて勇者やラシアたちにも気付かれていない。


「それは一部の魔法以外の魔法を無効化する秘宝中の秘宝だぞ……、それを貰ったじゃと? 四大秘宝の一つをそんなほいほいと渡すとは何を考えておるんじゃ、そいつは…」


 値段などつけようもない秘宝の指輪、もし冒険者ギルドの連中がその所在を知ったらどんな手を使ってもそれを確保しようとするだろう。それこそ、その当人を殺してでも奪おうとする輩が無数にいる魔窟なのだから。

 もちろん冒険者ギルドだけでもなく魔法ギルドにも同じことは言える。しかし、ソヤンダルの管轄であるルルシャルナの魔法ギルドにはそういった者は存在しない(・・・・・)

 いる、いないでもなく確実に存在はしてないと断言できる。その理由の一つとしては先ほどまでここにいたカントだ。

 自分の治める土地の出身者、かつ幼少より知っている者がそのようなことをしないのはよく知っている。


「それで結界の一部を無効化した瞬間、その穴から漏れ出た匂いで周囲にあった草木は一瞬で枯れるときたもんだ。正直言って驚愕したわ、知識と実物は全然違う。久しぶりの吐き気を覚えるとは思わなかったよ」


 その臭いを思い出したのかナキは口元に手を当ててえづく。よほどの臭気だったのだろう、普段の姿からは想像がつかない雰囲気だ。

 これはいいことを聞い――。


「俺だけがあの臭いを味わうのは勿体ないからな、ここにその臭いを閉じ込めた瓶がある。これをお前にくれて『さて、ここからどうしたものかの?』………」


 ソヤンダルも激臭を嗅ぎたくないのか真面目な顔をして対策を練り始める。

 ナキが小さく舌打ちをすると勇者を浮遊魔法で浮かせて、いつの間にか手元に出現していた空き瓶を消す。


「一先ず、隔絶世界からルルシャルナの街の郊外の森に転移してくれ。それで勇者を起こすことが出来る」

「………ようやく理解した。ナキ、お前が使ったのは認識魔法だな? それも中級、いや上級魔法()の」


 その言葉にナキは笑みを返すだけで口を開こうとしない。


――何も聞くな。


 明確な拒絶を示したその笑みには、先ほどナキが言った教える必要性がないという雰囲気を(かも)し出していた。

 これ以上長く留まるのはルルシャルナの街で何が起きているか把握していない以上あまり得策とは言えないだろう。


 ソヤンダルはため息を一つ吐くと、海辺付近にある扉に向かって歩き始めた。その後を追随するようにナキと空中に浮いたまま眠っている勇者がついていく。

 動物や人が足りないが、三人を枠に入れて切り取ればさしずめハーメルンの笛吹男といったところか。


 少し歩いて扉の前までソヤンダルが来ると、指を鳴らしてから扉を開ける。

 そこに広がっているのは本棚や机が置いてある魔法ギルドの一室ではなく、どんよりと曇った空に周りを埋め尽くす無数の樹々。そして遠くからは煙が空高くまで昇っている。


「街から少し離れた森の中に転移したが……、面白いことになってるみたいじゃの?」

「……嫌だわー、本当に嫌になるわ。二つ、いや三つ? 何この魔力、街からここまで感じ取れる魔力ってもうBレート級じゃん。なんでそんなものがこんなにいるんだよ、おかしいでしょ」


 口でそう言いつつ、大きな水球を作り出すとそのまま勇者の頭にぶっかけた。


「はいはい、そろそろ起きようね勇者。お仕事の時間ですよ?」

「………何で俺びしょ濡れになってんの? 普通に起こしてよ……」


 髪の毛からぽたぽたと雫がしたたらせてジト目をナキに送っていた勇者が、ハッと煙の昇っているルルシャルナの街の方角を見る。


「何この変な圧迫感? 俺がやられて寝てた間(・・・・・・・・)に街で何が起きたの?」


 やられて寝てた間、と勇者は言ったがそれだけではナキが確信に至るまでにはいかない。

 ナキが使ったのはソヤンダルが指摘した認識魔法で間違いはない。しかし、それは上級魔法のくくりから外れた最高位魔法『古代魔法』である。使い手の失われたとされる古代魔法をなぜナキが使えるのか。その説明は本人の口から語られるまでは誰にも分かりはしないだろう。

 抵抗することなく受け入れた勇者に何の効果も及ぼさなかったとは考えづらいが、万が一もある、


「森でクソ爺に電魔法で感電させられていたら、あの黒熊に吹っ飛ばされるんだもんな。こんなに優しくない特訓だなんて聞いてないよ、ナキ」

「――――そんな簡単に強くなれる修行方法があるなら俺が逆に聞きてぇよ。俺が生き残るための力を手に入れるのに何回死の淵を彷徨ったことか……。(…………あれに比べればマシな修行だっての)」


 最後のボソッと呟いた一言は二人に聞こえることはなかったが、少し暗くなった雰囲気を感じ取ったのかそのことに関して二人が聞いてくることはなかった。


 そしてナキがかけた認識魔法も正常に作用したのを確認できたので、これ以上は余計なことを言うつもりもない。

 何かを察したソヤンダルがポケットから小瓶を取り出してその中身を一気に飲み込むと、少しずつ魔力が体から噴き出し始めた。それに呼応するかのように勇者からは身気が漏れ出し始める。


「まずは街を襲っている正体不明の敵を片付けてから落ち着こうではないか。このままでは魔法ギルドも安全とは言えなくなってくるからの」

「それはマズいって、お姫様たちは何が何でも守ってやるって約束したんだ。それを破るなんてポリシーに反する」

「この街はまだ調べ終わってないからな、それの邪魔をするなら敵であれ味方であろうと始末する」


 三人がそれぞれの思いを伝えると一斉に街に向かって走り始める。

 ――いや、正確には二人が走って一人は地面すれすれを飛んでいた。


「一人一つだとしてどれに行く? こういうときってどれかに当たりがあるのは常識なんだけど……」

「嫌なこというなお前。Bレート級がどんだけヤバいか分かってるのか?」

「俺と同じくらいの力なんでしょ? だったら俺に勝てる二人なら問題ないでしょ。寧ろ()()()使()()()()俺がどうやって勝つかだよなぁ。黒熊にも結局勝てなかったし、戦いながら考えるしかないか」


 ソヤンダルが何か言いたげだったが、街の壁が見えてきたことにより言葉を呑み込む。


「お姫さんが心配ならその近くにいるのは勇者のだとして、クソ爺。お前どっちがいい?」

「儂は……………南の住宅街に行こうかの。あまり老骨に鞭を打ちたくないのでな、近場にさせてもらうぞ」

「じゃあ残った俺は西のやつか、全部倒し終わったら魔法ギルドで一杯やるからな。食料の調達忘れるなよ」


 敵と戦った後でどうやって食料の調達をするというのか。

 ソヤンダルが疑問符を頭から出していたが、勇者は短く両省の返事をする。そして三人は街に入ると同時に別れて、自身の標的の元へと向かった。

 三者がそれぞれ笑みと呆れ、怒りの表情を作りその場へと急ぐ。


 ルルシャルナの街崩壊まであと2時間。






 勇者が時計塔の広場に辿り着くとずっと感じていた圧迫感が消え、代わりに鼻も曲がるような激臭を嗅ぎ取った。どんなに臭くても美味しい料理があるのを知っているため臭いに耐性があるつもりでいたが、これは耐えられそうにない。

 圧迫感を感じていた方に近付いていくと一層臭気が濃くなる。そして臭いの元に辿り着いたとき思わずため息をついてしまった。


「これって……当たりを引いたのはどう見ても俺だよなぁ。運がいいっては良く言われてたけど……これは嬉しくないな」


 目の前にいるのは貫録を漂わせる金髪の老人、酷い匂いを巻き散らせながら燃える複数の肉の塊。そしてナキから聞いていた通りの頭蓋骨の頭とした巨大な魔物。ヤクサルと金髪の老人が戦闘している最中に勇者は遭遇してしまったらしい。

 二人(?)の視線がこちらに向くと同時に勇者は身気を纏ってヤクサルに突撃していく。突然の乱入に驚いたのか、金髪の老人が後ろに下がりヤクサルは無数に水の(つぶて)を勇者に飛ばしてくる。


「げっ、お前魔法使えんのかよ……。って確かナキがそんなこと言って……たよな、あれ?」


 一瞬何かを思い出しそうになったが、戦いに集中するために意識を切り替えて目の前に迫る水の礫を避ける。

 この程度の攻撃なら相殺させないで躱した方が無駄に力を使わない。ましてや下級魔法程度の力であろうこの礫にわざわざ力を裂くなんて問題外だ。ヤクサルがBレートであるならば俺といい勝負。

 ただ一つだけ不安材料があり、少し離れた位置まで下がった金髪のご老人のことが気になって仕方がない。


 ここで一つ言っていい? あの老人ね、感じられる力が――全然ないの。

 えっ、年寄りだからしょうがないって? 馬鹿を言うんじゃないよ、年寄りでも強い人は強いってのは身に染みてるんだ。事実、お姫さんの父親である国王様には一度も勝てなかったんだから。あの戦闘狂、もとい国王様がやけに修行じゃとか言って戦いの『た』の字も知らない俺を痣だらけにしたときは殺意を覚えたよ。これ内緒ね。

 話が逸れちゃったけど、何が言いたいかというとそんな戦闘狂でも言い知れぬ恐怖を感じる気配があったってこと。後で聞いたら戦闘狂は元ランクAの冒険者だったっていうじゃん。よく死ななかったよ、俺。


 ちょっと昔を思い出していたら水の礫が目の前に迫っていた。

 油断大敵、油断大敵。

 身気を左手に纏って水の礫を握りつぶす。


 魔力と身気は言い換えてしまえば光と闇。

 魔法を打ち消すのに魔力が最適だが、身気でも打ち消せないこともない。逆もまた然り。

 ただしランク差がある場合はそのランクを埋め合わせるほどの力を出さなければ完全に相殺することが出来ない。


 ヤクサルに向かっていた足が止まり、地を蹴って一度後退する。左手を見ると指先と手の平が切れていた。

 さっきの魔法はこの世界に来たときの王城にいた魔法使いが使っていたので知っている。


中級魔法『ウォーター・スプレッド』


 無数の水の礫を前方に飛ばして敵を攻撃する魔法。

魔法を説明してもらう過程で見せてもらったが、演習場に設置してあった木の的を壊す程度だった。

 しかし、少し先の石壁に着弾した魔法は綺麗に貫通して地面に穴をあけていた。


 指先の傷を舐めて一つ考える。魔法の打ち消しに必要な身気は足りていたと思っていた(・・・・・)。だが現状はどうだ? 相殺には足りず、こちらの手を傷つけてきた魔力。


「お爺さん、貴方は俺の敵ですか? それとも味方ですか?」


 声を大にして金髪の老人に声をかけると、老人が空中に火の玉を浮かべてヤクサルに放った。


「獲物を横取りするとはとんだ盗人野郎……と言いてぇところだが、丁度いい。身気を使えるならこいつの討伐に手を貸せ小僧」


 老人のファイヤーボールを水魔法で打ち消し、ヤクサルは老人に殺気を集中させる。

それは見る者が見れば一つの結果だと判別がつくだろう。


 力の格付け。


 勇者は三人と別れる前にこう話していた。ヤクサルは自分と同じくらいの力だろ、と。

 確かにランクで言えば今の勇者はBレートに位置する。それは隔絶世界でメートロを食べてた時にナキに言われたことだ。勇者本人に自覚はないが身気量だけで言えばAレート並だがそれ以外がまだ未熟なためせいぜいがBレートだと。

 ヤクサルはギルドランクでBレートに指定されている。しかしレートが同じだからと強さが同じとは限らない。勇者がBレートだとしてもせいぜいが下位程度。殻を破ったばかりのひよこと一緒なのに対して、目の前にいるのはBレート中位。ましてや知性さえ持ち合わせているとなればこう考えただろう。


 強力な一撃さえもらわなければ敵足りえない、と。


 レート、そして階級。

 この二つが意味すること。レートは次元を、階級はランクとして世間に知れ渡っている。

 次元が異なる相手には何をしようと勝てる要素はない。その身に絶望的な差を覆す何かを秘めない限り。

 ランクが違う相手なら一つ一つの魔法や技に優劣が生まれてしまう。すべてに普段以上の力を込めなければ抗いようもないほどに。


 勇者からすればこの世界に来てから何度も受けていた嘲り。

 自分とは戦う価値がないと、見逃してやるからこの場から消えろと。

 久しくそういう態度を取られてなかったが、何度感じても思わないところがないわけではない。


 身気を体に纏いヤクサルに突撃する。

 老人と魔法戦を繰り広げていたヤクサルがこちらを見ないままにウォータースプレッドを再び放ってきた。

 あの腐った肉体のどこにそんな魔力を宿しているか気になってしょうがないが、今はただヤクサルを倒す。それを実行するために余計な思考はすべてカット。


 俺は弱者だ、この世界のことを何も知らない無知蒙昧(むちもうまい)だ。

 本当に退屈のしない世界、腐っていたあの頃に比べて自分が生き生きしてるのが分かる。

 ああ、この世界は本当に楽しい。

 楽しくてしょうがないから――。


「お前を殺して早く旅の続きをさせてもらうぞ、格上ベディ!」


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