狂人
何かが可笑しいと思っていたのだ、いやここでは懐かしいと言う言葉を選んだ方が正しい気がする。
さっきと言い何もかもがまるで''あの時を見たような"言動をしている、普通ならアウラのあの無理難題なお願いを聞くほど仲の良さもなければ利点も無いはずなのにあの女_シトリンはその首を縦に振ったのだ。
普通なら有り得ない、俺達からあの事はあのシルバーなんちゃらってやつとシトリンに言ってないからあの時のことは俺もアウラも話さないと決めているから、そしたらもうひとつの可能性しかなくなる、そしてなにより確実な根拠もある。
「シトリン、少し話がある」
「ルチル?」
体力を無くさないように地雷地区ではない森の中で走り込みをするシトリンに声をかける、あいつらいわく科学的魔法と言われる力元いい神事旧型第4部を使い痛みに対する感度を高くする、そうしながらシトリンに近づき肩に布……旧友が言うには手ぬぐいというものをかけてやりながらなるべく自然に接触する。
バチッ!!!
「え、いいの?ありがとう」
「…1つ聞きたいことがある」
神事旧型第4部を解除する。やはりこの女は他の人よりも最小粒子が乱れやすい性質を持っているのだ、いくら感度を上げたからと言ってあそこまで強い静電気は珍しい。
「?なに?」
「お前の得意な……科学的魔法?は電気エネルギー系統か?」
「そうだよ?」
そこまで聞いて仮説が結論に繋がる。
やはりそうだったのだ、こいつはアウラのこめかみに触れた時静電気を起こしてそれがアウラが見ていた夢の電気信号と噛み合ってしまったのだ。
「お前、なんらかの理由でアウラの海馬付近…こめかみに触れたか?」
「え?」
そう言えばシトリンは顔を真っ青にさせて下を俯きながら首を縦に振る、やはりそういう事だったあの時のあいつと同じではないか。
「あれは……アウラの?」
「俺はお前が何を見たか知らないが、何となく今日の朝お前がアウラを庇った時点でいくつか候補が出てる」
「…」
どれも見られていいものでは無いが、一応アウラの友人だすぐに口止めをするのは後々不味いことになる。
「誰にもお前が見たものを言うな、特にアウラの前で」
「…うん」
シトリンの言動でだいたいどこを見たかわかった、それでいて1番隠しておきたい物がバレていないことも確認できた。
まだ大丈夫、あいつは普通の少女として生きれる、自由にそして幸せに、そのためならなんだってする。
『ねぇ、ルチル!私やっと…… 』
木々が風に揺れる中、記憶の中のアウラは目だけしか見えないがその瞳は希望に満ち溢れていた。
『くぅっうっうひくっ』
それから時間が経つにつれ会う時間が無くなり森林の中を歩き回るっている時期に久しぶりに会った彼女は涙を流しながら酷く傷つき自信を奪われていた。
結局その時は何でもなかったように振る舞うアウラに押し負けすぐにそれを後悔することになった、アウラの友人が俺に全てを話した時は正直、手遅れだと思った。
『…ル‥チル?どうして?これじゃ、貴方が』
『どうして俺が作った訳じゃないルールを俺が守らなきゃいけない』
…
家に帰ってくれば必死に背伸びをしながら物干し竿に布団をかけるアウラの姿があった、人数も増えたせいか少し大変そうに見える。
「あ!ルチルいい所に!!手伝って!!」
「わかった、今行く」
まだ間に合う。
最小粒子=原子です。




