貴方の幸せを祈ります
洞窟から出てしばらく歩く、自然100%のこの島は思った以上に大きくアウラの話によれば少年兵達が身を寄せていた場所らしい、その為かアウラ達が住んでいる小屋の他にも小さな家がありその壁には多くの旧ブレリナ語であったり東洋の方の物だったり絵であったり…多くの落書きが落とされていた。
木々をぬい小さな丘のような所を抜ければアウラ達が拠点としている小屋があり、薬草をバケツに入った水で洗っている先に帰っていたのであろうアウラとシトリンがいた。
「おかえりシルバー、ルチル」
「おう、ただいま」
シトリンの声に片手を振りながら言えば、それを見ていたアウラが悪戯っ子のような微笑みを浮かべた(目が笑ってるからきっと微笑んでる)。
「おかえりルチル」
「…」
「お、か、え、り」
「……」
「…」
「ただいま」
ボソッと小さく溢された言葉にアウラは満足したのか今度は華麗ににこりと微笑みを浮かべた。
それにイラッときたのかそそくさと小屋の中に姿を消し、俺らはそれに苦笑いを浮かべた。
「そういや、アウラ達っていつからここで住んでんだ?どうやらルチルはずっとここに住んでいるようだが…」
「あ、そうだよアウラっていつ頃からここに居たの?」
ふとした疑問をぶつけてみれば、アウラは少し考えるような素振りをして、指を折っていくどうやらここ来たのはつい最近のようだ。
指を折った右手が止まりちょうど五本指全てが折られている、五週間前か五日前ぐらいなのだろう。
「えっとね…五年前?」
「はっ?」
「えっ!?五年間片思い!?」
「はっ!?」
二回、驚いてしまう。
5年も前からここに居ることの驚きとまさかの五年間の片思い、と言うかシトリンお前ここにルチルが居なかったから良い物の…。
「シトリン!?」
「あ、ごめんアウラ」
「あー、大丈夫だぞアウラ察してた」
「察してたの!?あー結局私が恥ずかしいだけじゃん…」
きっとルチルもそうだぞ、とは口が滑ってでも言えないきっと殺される。少し身震いをして思考を停止させた、もしルチルも五年前からアウラのことが好きならこの2人は我慢大会でもしているのだろうか。
「…あーアウラ、告白すれば?」
「だめ」
即答の答えに俺とシトリンは思わず「はっ!?」と驚く。
「アウラはルチルのこと好きなんでしょ?」
「そうだけど…きっとルチルは私のこと好きって思ってないし…何より私みたいな子より可愛いくって優しい子の方がいいよ」
「いやいや、アウラ自信持て」
自虐ネタの暴露に俺とシトリンはただあわあわと混乱することしか出来ず、頭が真っ白になっていく。
「それにさ、好きな人には‥ルチルには幸せになって欲しいから」
「アウラ‥」
シトリンがアウラの名前を悲しそうに呼ぶ、悲しそうな瞳が俺とシトリンを映して笑う。
「だから良いんだ、会えただけで十分幸せ」
そう言ってアウラはそそくさと薬草の入ったかごをもって小屋に入る、取り残された俺達は少し目を合わせて苦笑いをしあった。
「ルチルは、アウラのこと好きなのかな」
「普通に考えて好きだろう」
「だよね、ねぇシルバー」
「あ?」
俺の前でひるかえりシトリンはじっと俺の瞳を見た、昔のワンピースでひるかえるシトリンと軍服をきてひるかえるシルバーが重なる。
少し伸びた背と一つに纏めてある髪、全て変わってしまったようで何一つ変わってはいなかった。
「あの二人を応援しよう」
無邪気に笑うその顔はあの時と一切変わらなかった。




