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天涯記  作者: 浅黄 東子
第1章 術士と自由の革命
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軍事ギルド

朝を知らせる目覚ましのけたたましい音が聞こえた、少し目を開けて目覚ましを見ると時刻は六時半を指していてもう少し寝たい気分に陥ったので自分の意思を尊重しようと目覚ましを止めて寝に入る。すると今度は頭にバシッと刺激を感じ嫌々ながら目をもう一度開けた。


「シルバーさん、朝ですよ」

「お前、起きるの早くない?」

「ユキノ達はいつも五時に起きてたけど」

「俺はいつも十時に起きる」



適当な事を言ってもう一度寝ようと布団を直す、するとまた額を叩かれ横目でシトリンを見た。腕を組んでこちらを見てくるのでもう布団を被ってしまおうかと思っていると今度は家電がけたたましく鳴り始めた。はぁと一つ溜息を吐き出しのっそりとベットから立ち上がる。


「もしもし誰っすか」

『私よ、軍事ギルドマスターのイザベル=フォードよ』

「あ?あぁ」

『貴方、まさか寝起きって事無いわよね』

「おう」

『嘘おっしゃい、今日は二ヶ月後の任務の詳細と目的を話す日だから7時には来いって言ったわよね、どうしてまだ家に居るのかなぁ?』

「……」

ガチャン


受話器を無言で置き、軍服に着替えるためにタンスから引っ張り出す。後ろで声が漏れていたのかそれとも察したのか溜息を吐くシトリンが台所の方に向かった。その間に素早く着替えて軍刀と軍支給の銃を懐に入れ戸締まりをする。

するとシトリンが台所から出て来て俺に長方形の物を渡してきた。


「サンドイッチ」

「ありがと」


ユキノに教えられたのかはたまた元々出来ているのか物凄く優秀なシトリンに俺は少しだけ目を見開く。渡されたサンドイッチを入れ物ごと貰おうと右手で掴むと右手首をシトリンに強く握り締められた。


「私も行かせて?」

「え、いや」

「サンドイッチ代、ギルド紹介で良いから」

「あの…シトリンさん?」

「このサンドイッチ1個10万フィナ」

「高ッ!?」


ニコニコと微笑むシトリンに若干と言うか結構引き気味になる、そうだ6個もギルド落ちたら後は軍事ギルドだけだわ。そんな思いが過ぎるが段々と締め付けられる右手首に俺は一度、ユキノとウィンに心の中で謝り首を縦に物凄く振った。


「わかった、わかったから離そう、離そうか」

「やっぱ、シルバーは分かってくれると思ったわ!!」


なにがやっぱりだ、脅迫した癖に…昨日、いつの間にか洗濯し乾かしたであろうスーツをいつの間にか着て高い場所に髪を一つに結ぶ。はぁと溜息を吐き出し科学的魔法〈氷塊〉を発動。酸素と水素を刺激し氷を作り出すが大きさとかにまとまりが無く改めてユキノを尊敬する。それを袋に入れてシトリンの目に押しつけると「うぇい!?」と変な声を出して静になった。


「…ありがと」

「俺が急がなきゃいけないから、行くぞ」


そう言って玄関を開けて小走りになりながらギルドへと向かう大通りを出る、産業革命後の世界の文明を見せつけられるような多くの車が行き交う光景に違和感を持つ者は居ないと言いたいが海に囲まれ文明が少し遅れた国から来たシトリンの目には新しいことばかりでありまだ慣れていないのだろう、どことなく瞳が輝きその奥には不安が垣間見ている。


士官学校を通り過ぎ奥の方に構えている軍事の寮を通り過ぎ国旗がはためく大きな要塞のような建物に入ると仁王立ちしているギルドマスターがニコニコと微笑みながらそこに居た。


「7時2分、はい遅刻」

「別に良いだろう」

「もう、ユキノ達はもう奥の会議室に居るわ…あれ?その子誰?彼女?」

「違うわアホ、モリージェリー王国から来た科学的魔法所有者だ」

「し、シトリンです」


ペコとお辞儀するシトリンにイザベルは目を見開き嬉しそうにシトリンの両手をとった。シトリンは突然の行動に肩を跳ね上げ瞼をパチパチと何度も開閉していた。


「入ってくれるの!?」

「え、いや…まぁあの試験受かったらいいなぁ~見たいな」

「今、履歴書持ってる?」

「あ、はい」


そう言って証明写真の載った履歴書を持っていた鞄の中から出してイザベルに渡す。イザベルは少し確認するとその紙に向かって指を振るうとその紙は命を宿したようにまるで自らの意思で何処かに向かう。科学的魔法〈無力〉と科学的魔法〈重増〉を組み合わせた物だ。


「じゃあ明日、面接をしましょう」

「あ、ありがとうございます」

「科学的魔法所有者は少ないから、来てくれるだけで嬉しいわよ、それじゃシルバー仕事の話をしましょうか」

「お疲れ様でしたー」

「こら」


流れに身を任せ、そのまま帰ろうとするが引き留められる。内心、このくそババアと思うが平常心を保つために無表情を装い遠くの方を見ることにした。大体、俺達に来る依頼は何故か国家重要任務なのだ、やってられるかあんな胃にストレスしかこない依頼なんて…。


「じゃあシトリンちゃん、待合室で待っててね。ここの奥にある部屋よ」

「は、はい」

「くそババア」

「あ″?」


女性とは思えないほどの力で引っ張られ、俺は会議室に連行される事になった。

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