失敗と秘密
心配して居るであろうあの夫婦の事を考えて、まず帰ってきたときにシトリンの報告をしようとしたが少しの間、シトリンと葛藤したが心配していることを伝えなんとか説得して取り敢えず一段落ついた。
そしてシトリンが見つかった事を報告しようと家電からかけると切羽詰まったようなユキノの声が第一に聞こえた。
『シトリンは見つかった!?』
「あぁ、今俺の家に居る」
『良かった…分かってると思うけど普通に接してあげて』
「分かった」
『後、落ち着いたらでいいからいつでも帰ってきなさいって言っといて』
「おう」
さっきまで人の声がしていたなんて思えないほど無機質なツーと言う音が聞こえたので受話器を置く、家電の近くに置いてある使うことの無い古ぼけた電話帳が視界に入り、後で捨てようと決心する。きっと忘れると思うがと言う考えは今は置いといて、シトリンを見る必死にパンとサラダを頬張り無言で食べ続ける姿に苦笑いを浮かべた。
「そんなに早く食べなくても誰もとらないぞ」
「やってられない」
「…もっと可愛げあること言えないのか?」
「むりむり」
パンにかぶりつき必死に食べ進めるのを見ていると自分の食事は良いかと思い、ソファーに身を任せる、新聞を読み進めていると嫌に視線が刺さる気がする事に段々集中が切れていく、それも当然だシトリンがこちらをずっと見ている、見世物じゃないんだけどな…と思いチラッと見る、シトリンがこちらを見てくるので目を合わすとそらされる。
「…シルバーは、どうだったかとか聞かなくて良いの?」
「別に…言いたくなれば言えば良いだろ?」
「落ちた」
少しの間があいて自傷気味に呟かれた声に新聞からもう一度目を離して見る。正直言って、これに関してはしょうが無い所がある。今、モリージェリー王国への世間からの評判は簡単に言ってしまえば野蛮な国で定着されてる。それにシトリンの履歴書の元奴隷もそれを強めることになってしまう、インパクトの強すぎる履歴書もあまり良くないと痛感された。
「そうか」
「…なんかこう…もっとないの?残念だったね~とか」
「言ってほしいのか?」
「いや?」
何なんだよと呟きながら見ていた新聞を折り曲げてゴミ箱に入れる、勿体ないと横目で見ながら呟くシトリンの頭を軽く叩く。
「早く寝るぞ」
「何時間寝なきゃ満足できないのシルバーは」
「煩い、うじうじしてないで寝るぞ、消灯時間だ」
「まだ十時」
「良いんだよ」
そう言って追い詰めるように俺はシトリンの食器を全て台所に置き、そのまま電気を消してソファーに寝っ転がった。
シトリンは気になるのか食器を洗おうと台所の小さい電気をつける。
ソファーから少しだけ見える捨てた新聞が気になりすぎてあまり寝付けない。無駄に大きい文字で書かれたその言葉に溜息が溢れた。
「溜息吐きたいの私なんだけど…」
「煩い」
″モリージェリー王国の反革命派の王女ともに革命過激派のリーダーが処刑″
俺はそっとバレないようにゴミ箱にある新聞を破り捨てた。




