逃亡奴隷制度
モリージェリー王国は昔から絶対王政と呼ばれる身分制度があり上から聖職者、貴族、平民、奴隷と決まっていた、聖職者と貴族は昔から特権身分とされ税金免除などの特権を持ち、平民などに重い税金がのしかかっていた。
しかし、今までは王の計らいでなんとかなっていたが女王に変わった頃から平民の重い税金は重なってきた。
そのせいなのかパンなどの値段も高騰していき昔は140フィナだったパンは920フィナと上がり、一日一回食べていたパンはおよそ1週間に一回の回数に減少していった。
「すみません、パンを一つください」
「はいよ、一個920フィナだ」
「はい」
ちょうど920フィナを出し、パンを受け取るそうして早く戻ろうと思ったときパンやの店主に止められる。
「もしかして、自由の革命で勝った奴隷か?」
「…?はい」
「おお!!そうかそうか!!いや、噂には聞いてたがよかったな!!」
店主は妙に目を見開き驚いたようというには歪な驚き方をする、私は理由も分からない少しの寒気、背中に伝う冷や汗で頭が一杯になる、企んでいるのかこう言う人なのか様々な人付き合いで色々な人々を見てきたからなのかこういう時の直感は大体当たる、そうなってしまったのもきっと私の生まれが奴隷と言う物だからなのだろうか、それはそれで悲しい気もするが仕方の無い事だ。私達人間は生まれてくる場所を選べないのだから。
早く帰ろうと後ろに後退ると誰かにぶつかった。
「すみません!」
「いやいや、大丈夫だよ?君こそ大丈夫かい?」
その人を見て今度は私が目を見開いた、視界に写った黒に一瞬、ユキノかと思ったが男性にしてはやや高い声と短髪、そして茶色がかった黒色の瞳、口に咥えている煙草を見て違うと判断する。
「うん?君は…もしかしてヴァルレオーネ人と唐頂人と一緒に居た子か?」
ヴァルレオーネ人と言えばシルバー達だが果たして唐頂人とは誰のことなのだろうか、しばらく考え頭を傾げる。
そんな私を見てその男は何かを考えるポーズをとりハッとしたようにこちらを向いた。
「すまないね、唐頂人では少し説明不足だった…そうだあの黒髪の女で東洋人の…」
「ユキノ?」
「そう、多分それ、そうか彼女は幸ヶと言うのか…少し詳しく聞かせてくれないかい?彼女と俺の出身国が同じでね」
それを聞き私はハッとして男の髪の色を見て納得する、どうやら同じ出身国…唐頂国と呼ばれる場所から来たそうだ。
でも、どうしてユキノはヴァルレオーネ帝国のシルバー達と一緒に居たのだろう?
「積もる話もあることだし、少し散歩をしながら話そうか」
「え?あ、うん」
「ちょっ今、彼女は俺と喋っていたのだが?」
適当に返事してしまい、取り敢えず男はユキノ達を知っていたから良いかと思ったら店主にまた呼び止められる。
「別に良いじゃないか、なっ?」
そう言って指を鳴らす男に目を見開いた、これは間違えない科学的魔法だ。
何の科学的魔法かわからないが男がそうした瞬間、店主はさっきの焦りが嘘のように静かになる。
「さっ行こっか」
「…科学的魔法使えるの?」
男の手首を掴み頭を傾げる、どうしても知りたい事実に私はとても怯えていた、何故怯えてたかと言うとわからない、だけど見えない恐怖に心が蝕まれていくのが何より一番怖かった。
「…うーん、そうとも言うしそうじゃないとも言う」
「何それ…」
「まぁ、この話は終わりにして君の家に帰ろう」
頭を雑に撫でられる、それから特になんともない話をして歩いた、何故この国に来たのか唐頂国はどんな国なのかどんなことをしているのか…男は最後の質問以外全て答えてくれた。
友達を探すために来た、あんまりあの国はよくない、その事にたいして私は気になって聞く好奇心は止められない、止まるはずが無い。
あんまりあの国はよくないって何処がよくないの?その問いは答えづらいのか少し考え男は答えを出す。
「あそこの国は上がだめなんだ」
何の事かサッパリわからないが取り敢えずだめらしい。
「あっあそこ」
「あそこが君の今ある帰るべき場所なんだね?いいか?あそこまで走るんだ」
「え?どうして?」
「勘違いした逃亡奴隷狩りの狩人が君を捕まえてしまうから」
冗談にしては私の肩は以上に震え体が一瞬で寒くなる、私の応答は無視して思いっきり私の背中を男は押した。
いきなりのことで私はこける勢いで前進する、一度後ろを振り向くが男は居ない。
扉を勢いよくあけ中に入ると新聞を持ったセシリーが涙を浮かべなが抱きついてきた。
「あぁごめんよ!ごめんよ!1048!!大丈夫かい!?」
焦るセシリーに私は理解が追いつかない、セシリーの腕の中で隙間からセシリーが持ってた新聞を見て目を見開いた。
″自由の革命で優勝した少女1048の主人の父親アンソニー= サウスオールは「まだルクアー= サウスオール主人が成人していないことから自由の革命での自由権は法律的に作用しない」とし1048を逃亡奴隷として捕まえた者に賞金100000フィナを授けることを約束し警察部隊が動き出した。″