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天涯記  作者: 浅黄 東子
第1章 術士と自由の革命
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強きは

科学的魔法とはその昔、錬金術とも呼ばれある意味架空の魔法のような物と考えられていた。

何もないところから氷を作り出したり炎を出したり、神から授けられたや悪魔の力などだと言われたりそれはもう言いたい放題だった。


しかし1560年、ベーレ国…現ファームバース帝国の化学者イオニアス・ドゥンケン物理学者モーゼン・ハイネン、その業績からのちに科学的魔法の父と呼ばれた2人が見つけた科学的魔法の原則によって多くの規制や実験が行われるようになった。


よく言えば今後の世界のため悪く言えば人体実験、勿論2人はそんなことの為に研究をしていたわけではない飢餓で苦しむ多くの村を救うために神からの恩恵と呼ばれていた科学的魔法の可能性を調べていたのだ。


しかしそれはいつしか宗教との対立を迎え国との戦争への武器に使われ彼等が所有していた研究の書類を狙って各国から目をつけられてしまった。


化学者のイオニアスはそれに耐えることも出来ず37歳と言う若さで自殺、モーゼンは自分の研究成果と共に行方不明になった。


その後も神を中心として考える宗教の少数派は科学的魔法を忌み嫌っている、少なからず宗教との拗れは360年間変わっていない。


今でこそ科学的″魔法″とついているのは、まだ解明が追いついていないからである。

つまり何が言いたいかと言うと科学的と付いているので察している者は居ると思うがただ氷を作れるとか言うレベルではないのだ。


この国ではそこまで知られていないのかお遊戯のように手を抜き科学的魔法の可能性を恐れていないために油断をしているから負けているのだ。


執事も騎士団副団長も決して弱くない、しかし自分の力を過信していることがそもそもの理由でこれが戦争となれば俺達が負けているかも知れない。


それにコロシアムだからこそこんな小技を使うことが出来る、そこで一つ宣言しよう偏見かもしれないが東洋人はいろんな分野で器用さを得意としている、やれスポーツだやれ勉強だやれ科学的魔法や…緻密な計算力と緻密な作戦、そこを買われたユキノにとってこの勝負は絶好の場所なのだ。


乱入やら複数の動きを計算する必要も無ければ1人で油断しきっている相手だしかも、

「ここから一歩も動きませんよ?」

とまで言っている。独壇場になるには遅くない舞台だ。


「貴方達は油断しきっているから負けているのにまだ学習しないのかしら?」

「いやいや、これは油断ではない。女性の貴方にかける慈悲だ」

「…あら、そう」


開始された中で勿論、騎士団団長は動かないそれは彼なりの女性の接し方なのだと思う。

ユキノは勿論だが勝負事に手抜きはしない、それが東洋人の誇りと言っていた現に冷たい銃口は騎士団団長に向いている。


「どうぞ?動きませんから」

「あら?そう?じゃあ遠慮無く」


渇いた音が鳴り響くしかし、それは騎士団団長の体を貫く事は無くどこからか植物の茎のような物が彼を守った、科学的魔法〈生命〉だ。それを何度も繰り返す。


「一応言っときますよ?動かないと言いましたが科学的魔法を使わないとは言ってませんよ?」

「そんなのはなっから知ってるわよ?」

そう言って銃身をひと撫でし銃口をもう一度向ける。

「無駄な事を」

「そう思うならどうぞ?」


俺は咄嗟にシトリンの耳を両手で塞いだ、シトリンはいきなりのことで肩を数ミリ浮かせる、意図がわかったのかウィンも自らの耳を塞いだ。

渇いた音が3発鳴る、撃ち込まれた銃弾は圧力がかかり…


バン!!バン!!バン!!


騎士団団長の居た場所は黒色の煙に包まれた。

科学的魔法第三部〈爆発〉戦争で活躍した科学的魔法部隊がよく使った者で対戦車用の科学的魔法だ、久々に見るそれに顔が引き攣り威力の落ちていないその科学的魔法に流石とさえ感じた。


「おやおやおや、乱暴ですね」

「あら?そうかしら?」


黒色の煙の中から編み込まれたような絡み方をしている植物が騎士団団長を覆い、所々焦げたような所が見える。


「貴方もまさか動かないつもりですか?」

「ふふ、そうしたい所だけどつまらないと言われそうだからやめとくわ」


そう言ってユキノは右手を右下から左上に振り上げ科学的魔法〈氷塊〉発動。酸素と水素を刺激し氷を作り出しそこに科学的魔法〈突風〉を発動振り上げた勢いを活用して空気の流れを作り出し〈氷塊〉をより速いスピードで飛ばす。

しかし騎士団団長は科学的魔法〈重増〉で自分の前にある地面を浮かして盾にする。


それを読み取ったようにユキノは科学的魔法〈無力〉で宙を浮きながら科学的魔法〈突風〉で空気の流れに自身を乗せながら背中に背負っていた騎兵銃型の歩兵銃を構えながら空を飛び回る、空から発砲、渇いた音と共にもう一度飛び回る。

それらを何度も防ぎ騎士団団長は科学的魔法〈水晶〉を発動。200気圧がかかった水滴は太陽の光を反射し水晶のように見えるそれは弾丸のように飛びユキノに迫るが、ユキノは不規則な動きを空中でとりながら避ける。


「もう一度言うわよ?動かなくて良いの?」

「何を言っている?当たり前だ」

「……そう…わかったわ」


ユキノは上に向かって手を振り上げる、騎士団団長は険しい顔つきになるがユキノの行動に嗤うがその顔が別の意味で険しくなる。


「何をした」

「あら、わからないの?」


意味がわからない、何が発動したのかもわからない中2人はにらみ合っている。


「科学的魔法〈振動〉原子や分子を刺激し液体を固体に固体を液体にする科学的魔法…そして科学的魔法〈弱化〉筋肉の力を弱める、どちらとも対象が動かない時にしか使えない物、そして今貴方の血液と心臓にかけた科学的魔法よ」


騎士団団長の皮膚が白くなっていく、痺れなどに蝕まれているのか膝をついた。

それは騎士団団長の敗北を示しシトリンの自由を示したのだ。







「約束通り同盟会議の出席とシトリンの自由を貰うわ」


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