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天涯記  作者: 浅黄 東子
第1章 術士と自由の革命
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自己犠牲はほどほどに

日差しがやたらと肌にささる、歓声が聞こえる中俺は目の前で立っている執事の格好を見た、殺し合いをするには軽装な格好に少し肩をすくめる。



俺の軍服の中にある防弾チョッキは心臓や内臓などを守る為。



耳に当ててある耳当ては鼓膜が銃声によって破れないため。




全てには理由があるのだ。


開始の挨拶を仕切るのはやはりあの騎士団団長で余裕のある顔に少しだけイラッとする。


始めと言う言葉がきこえた瞬間えげつないいきよいで間合いを詰めた執事がその持っている剣を水平に力強く振るう、その瞬間、金属音が響く。


持っていた小ぶりのナイフを使い水平に振られた剣を押し返した、科学的魔法〈炎〉を使用、押し返した時の火花が周りに集まった水素により膨張。瞬間、爆発。


俺は最初に張っていた科学的魔法〈強化〉によって体の鉄分が多くなり鉄よりも硬い皮膚のおかげで無傷になる、爆風に吹き飛ばされるが真後ろに跳び下がり威力を消す。

砂埃が晴れると思った瞬間、視界の先で銀色の金属特有の光が反射して輝くのが見える、勢いよく右側にそれるがやはり左頬に浅い切り傷が出来上がる。

右脇に装着している拳銃を素早く取り出し発砲。

拳銃特有の渇いた音があたりに響く、当たったかわからないので何発か打ち込む。


パンっ!!パンっ!!パンっ!!!


音に耳を傾ける、何処から来るかわからない、そう思った瞬間背筋を冷や汗が伝う、やばいと思ったとき反射で左側に転がり込んだ。

執事がそのまま斬り込んでくる、体制を立て直しやっとの事で弾くが段々当たる確率が上がり俺は急いで執事に打ち込む、肩をかすった銃弾を気にもせず執事はこちらを向いている。


「ちょこまかと…」

「おいおい、弱いと思ってたけど強いのかよ」

軽口を叩くがあくまで台本読みで相手を見る。

「貴様っ!!」

執事の怒りが、火花が散った瞬間、科学的魔法〈変化〉を使う。


「ドワーノどうしたの?」


瞬間会場が固まった、いや執事がその瞳を目一杯開かせた。俺は王女の姿に変化している、癖も、喋り方も全てを真似ているのだ、思わず口角が上がりそうになるがすぐに抑える。


「王女の真似事をするな!!」


そう言ってこちらに走ってくる、それを防ぐことも攻撃することもなく悲しげに顔を歪め彼の頬に手を添えようと手を伸ばした。


「ドワーノ…」


剣の先が鼻の前で止まる、執事の瞳は目の前に居る王女と席に居るはずの王女と交互する、最後のひねりに最大火力で科学的魔法〈変化〉に科学的魔法〈強化〉を上乗せする。

今王座に座るのは俺だった、その事に目を見開かせ目の前に居る王女に目を見開かせる、その頬に手を添える。


「私の忠実な執事、そして大切な家族。

貴方が私に抱えていた思いが異性愛ではなければ私は貴方を生かしたのに」


その目が大きく見開かれ王女の姿が映し出される。

執事の腹から赤い血がこぼれ落ち、涙の雫と共にうっすらあいた口から赤い薔薇をこぼれ落ちさせる。

ゆっくりゆっくりその体は後ろに倒れていく。








目を瞑り開けば、その場で″無傷″のまま執事が倒れ込んだ、俺はふっと息を吐き出し嗤った。


「さぁ問題だ、いつからお前は夢の中に居た?」


俺はシトリンに宣言した通り″無傷″で執事との戦いに勝ったのだ、取り敢えず針千本呑まなくていいと言う事に安堵のため息をついた。


「シルバー」


シトリンの瞳に俺が映る、その俺はまるで無いはずの血を沢山被っているように見える姿、そしてさっき化けた王女の姿に少しの怠さと疲れを感じる。科学的魔法〈幻想〉はしばらく使わない方が良いのかも知れない、脳の麻痺と幻覚作用は使用者にも影響する。


取り敢えず少し微笑みながらこちらを見てくるシトリンに軽く手を振り微笑む。


「言っただろ?大丈夫だって」

「うん」


今度こそ満足そうに微笑むシトリンを見て幾分か心が軽くなる、隣にいるユキノは相変わらず眉をひそめウィンも文句ありげにこちらを見てくる。


「シルバー、貴方いい加減に」

「勝ったから良いだろ?」

「…」


シトリンは不思議そうな顔でこちらをのぞき見ていた。

ぼそぼそとシトリンに何かを呟くユキノは少し舌を出し会場の出口を指さした。


「早く、観客席に戻りなさい」

「…おう」


勤勉な真面目で優秀な働き者のユキノはいつも前に立つリーダーとして指示をしていた、それが国民を助ける場面の時や銃弾と砲弾が飛ぶ戦場でも率先として導いている。

何故、この話を今したかと言うと戦場で指示をしているときと同じ簡略的に言うと冷え切った目で指示をするユキノに少量の恐怖感と困惑が出て来る。

重い足取りで観客席に向かった。

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