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MP0(ゼロ)の邪神さま!!  作者: カノン♭
【第二章】魔王子様、魔力を無くす
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04【SAN値減少】

少女は恐怖した。

自分より背の高い、ましてや知らない男に

壁という逃げ場のない道に突然追い詰められたのだから。


(た、助けを呼ばなくちゃ...)


必死に少女は助けを呼ぶ為に口を開いた。

しかし、そこから漏れるのは笑っちゃうほど

お粗末な、音にもならない息だった。


それを見たニャルラトホテプはニヤリと

影のある笑みを浮かべ、そっと顔を近付ける。

少女は涙ぐんだ瞳を力一杯ギュッと瞑る。

それっきり震えて動かないのを見ると、

どうやらそれ以上動かす力が入って

こないのだろうと彼は薄く嘲った。


(ハハハ、人間め。なんて軟弱な存在だ!)


そう心の内で笑うとニャルラトホテプは

耳元に唇を近づけて、ねっとり、優しく、

聴く者をうっとりさせる声でこう囁いた。


「......驚かせてごめんね。

もう怖がらなくていいよ...。ほら、僕を見て...?」


人間の少女はその声に一瞬びくつきながら

そっと目を開く。

少女の黒い瞳に映される青年の、なんて

美しいことか!!

甘い微笑みに、肌蹴た胸元から覗く色気。

彼の存在全てが人間という存在を惑わす為に

造られたかのように、その少女には思えた。


そして彼の顔を改めて見上げた瞬間。

ほだされかけた少女の熱は一気に冷めることになる。


いや、その顔はとてつもなく美しかった。

この世の美というものが凝縮されたかの

ように恐ろしく美しい顔であることには違いない

だろう。

しかし、その欠点の無い美しい顔に少女は

何故か、気色悪い程の『嫌悪』を覚えたのだ。


上手く言い表せないが、この気色悪さは

足の沢山ある大量の虫と、ハエのたかる汚く

不潔なゴミ山を一度に見た時と同じ様に

少女には思えた。

......勿論そんな光景、一度たりとも見たことないし

これからも見たくないと思うのだが...。


そして、そんな嫌悪感を抱いた少女は

最早勝ち誇った顔をした自称神の

ニャルラトホテプに冷たく、こう言い放ったのである。


「汚い顔近付けんな、変質者。」


「...........は、はあ......っ!!?」


これにはニャルラトホテプも、その美しい

完璧な顔を歪ませた。そして一、二歩後退すると

ぺたぺたと自分の顔を触り、やがて少女を

睨みつける。


「き、きたな...汚いだと!?

貴様、もう一度言ってみろっ!この!

この美しい顔をよく見てもう一度言え!!!」


男の圧迫感から逃れる事に成功した少女は

勝ち誇った表情で、両手を腰にやった。

そして深い紫の瞳を、その黒い瞳に映して、

はっきり、しっかり、口を動かす。


「き・た・な・い・!って言ったのよ!!

あんたの顔、有り得ないほど気持ち悪いわ!!」


「ききききもちわる...そ、そんな馬鹿な...!!

この、このオレの顔が......!?嘘だ、そんな...

信じられるものか...っ!あああぁぁ!!

オレの正気度が!正気度がぁぁあああ!!!!」


何故か分からないが少女には、この

ニャルラトホテプの頭上に、とある数字が

見えたような気がした。


【ニャルラトホテプ】SAN値500


そのような数字が一瞬で下がり...

今はこのように表示されている。


【ニャルラトホテプ】SAN値497


(な、何これ......)


思わず口元をヒクヒクさせていると

ニャルラトホテプは更に突拍子も無い行動に

出るのであった。

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