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MP0(ゼロ)の邪神さま!!  作者: カノン♭
【第二章】魔王子様、魔力を無くす
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01【症状、気絶。】

眩い輝きに目を細めながら

ニャルラトホテプは先へ進む。

歩いた時間は数分だったかもしれないし、

たった数秒だったかもしれない。

そもそも空間と次元を捻じ曲げるこの呪術に

時間なんてものは存在するのか?


そういった事をぼんやり考えていると、

気付けば彼は『そこ』に立っていた。

彼の視界に広がる『そこ』は勿論

見慣れたアルデバラン星

__で、なければならないはずであった...。


そこに広がるはそれなりの広さを持った

人間式の小部屋であり、窓から見える外には

車が数台、走り去って行った。


(......なるほど)


ニャルラトホテプはその尋常ならざる知識を

フル回転させ、結論に達した。


(兄貴め...、覚えてやがれ...っ!)


体がおぼつかない。

ふらふらと空間が歪んで見える。

頭がどんどん真っ白に染まっていき、

意識が完全に途絶える寸前、ガチャリと背後から

ドアが開く音がして...


「さーて!宿題も終わったし何しようか、な...

..........は?」


背後に若い女の声を聞いたのを最後に

ニャルラトホテプは顔面からバタンッ!と

床に倒れ、そして、ピクリとも動かなくなった。


「...は?ちょ、はああぁぁぁぁ!!!???」


後には不幸な少女の絶叫が残されるだけだった。

(待って待って、なにこれ、は?どういうこと??謎すぎ、笑えないんだけど??)


少女は絶句した。

先程一階の茶の間で面倒な宿題をようやっと

終わらせて、さーて自由だー!となった瞬間、

自分の部屋に頭から倒れ込んだ謎の男が

そこにいたのだ。


(ま、ちょ...待って......。そもそもこの人

どこから入って来たん??だってここ二階...

い、いやそれより大丈夫?生きてる??)


この不審人物に聞きたい事は山ほどある。

それなのに当人は完全に気絶しているのか

か細い息の音しか聞こえない。


「......マジ意味分かんない...っ」


色々沸き立つ文句や疑問やその他諸々を

何とか一言にまとめると少女はわしゃわしゃっと

髪を掻き乱す。

そしてポケットに入れておいたスマートフォンを

手に取ると一心不乱に画面をタップして

『人間 気絶 対処法』と検索を掛ける。

そして検索結果に従いながら、ぎこち無く

謎の男を介抱するのであった。

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