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MP0(ゼロ)の邪神さま!!  作者: カノン♭
【第一章】無貌の神、ニャルラトホテプ
3/24

03【オレと兄貴とタピオカと】

ニャルラトホテプの兄ということもあり、

彼_つまりヨグ=ソトース_は

良く似ている兄弟であった。

癖の強い金髪も、鋭い紫の瞳も

とても良く似ていたが彼の纏う優しげな

ヴェールはニャルラトホテプのソレとは

一線を画していた。


弟から言わせて貰えば、兄は

(ヒト)が良すぎる』性格なのだ。


「久々に訪ねて来てくれたと思ったら......

どうしたんだい、そんなにやつれて...」


ふわふわとヨグ=ソトースの辺りを浮かぶ

蛍光色の玉も主に倣ってか、ニャルラトホテプの

周りを浮かび始めた。


「親父がオレをボロ雑巾みたいに扱うから

ゆっくり休む暇も...あーっ!このタピオカ

みたいなやつ邪魔くせぇな!!!」


彼は怒りに任せてエネルギー体の一つを

平手打ちで床に叩きつける


ペチィンッ!!という鋭い音を立てると

まるでスーパーボールのように兄の

エネルギー体はポンポンポンッ!!と

四方八方に弾け飛んだ。


「ひぃぃいい!!何すんだよニャルくんっ!!

俺のアイデンティティがぁー!!!」


あわわ...!とヨグ=ソトースは口元に

手を寄せて顔を真っ青にする。しかし

そんなもの意に介さずな弟は近寄ってくる

鮮やかなピンクのエネルギー体をギュッギュッと

握り締めながら話を続けた。


「おかけでヘトヘトだ。

やれフルートが聞きたい、だの

やれこの楽器は嫌だ、だの

やれもっと面白い玩具を持ってこい、だの

オレは天下のニャルラトホテプ様だぞ!!

このまま親父にこき使われて一生を終えるのかよ!!」


「ニャ、ニャルくんそんなに乱暴に

俺のアイデンティティを扱わないで......」


その直後、パァッン!という風船が割れる音に

近い音が鳴り響く。

ニャルラトホテプは邪神に相応しい怪力で

手に持ったエネルギー体を握り潰したようだ。


「ごはぁっ!!やりやがったなっ

ニャルくんホント勘弁してッ!!!」


「くっそ、もう潰れやがって。

脆さは人間といい勝負だな、このタピオカめ...」


ドロドロと溢れ出す気色の悪い蛍光色の液体が

手のひらから零れ落ちるのを少し見送る。

そしてつまらなさそうに液体を舐め始めるのだ。

彼の真っ赤な舌は名状し難い蛍光色の液体を

ぬるりとすくい取り、口内へと運ぶ...。


「俺のアイデンティティを散々に扱った

挙句、人間と同じ防御力とか俺なんかした!?

その言葉の撤回を求めるぜ!?!」


短いポニーテールがヨグ=ソトースの

怒りに合わせてピョンッピョンッと跳ねている。


怒られた当人は液体を舐め終わり、自分の

上着で手のひらを拭うとケロッとした顔で


「だからさ、ちょっと疲れたから外出

したいんだよね。『門の創造』してくんない?」


「謝罪の!言葉を!求める!!!」


「はいはいゴメンネー。

兄貴、門の創造してくれよー」


「ぐぬぬ......!

...っはあ...もういいや、分かったよ」


わしゃわしゃ、と濃い金髪を自分の手で乱すと

短いため息を吐いて弟を『次元の裂け目の間』へ

連れて行く。そんな兄の姿を見て、弟は


(やっぱり優しすぎるよなー)


なんて、呑気に思うのである。

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