03【どう考えても】
案の定、午後からの授業は殆ど耳には
入って来なかった。
気づけば授業終了のチャイムが鳴り、
板書用のノートは真っ白、
配布されたプリントも驚きの白さ。
(これは酷い。酷すぎる...!)
思わず当人も頭を抱えてしまう始末であった。
帰りのホームルームの時間になり、
こうなりゃもう、さっさと帰って寝よう!と
担任の話しを聞きながら、鞄に教材を詰め込んで
いると、最後に担任からプリントを配られた。
(...おっ、なんのプリントだー?)
自分も薄っぺらい紙を受け取り、後ろの
クラスメイトに渡す。そしてゆっくりと
プリントの題名を読むと、太文字で
《不審者情報》
と書かれてあった。
(うわ、なんだ。つまんないヤツじゃん)
一瞥しただけで紙をファイルへと仕舞う。
家に帰ったら、即ゴミ箱入りにしよう。と
愛結華が思っていると、担任から
プリントの説明が有難い事に行われた。
「最近報告されるようになったんだが、
女性が1人で歩いていると、見知らぬ男が
しつこく話しかけて来るそうだ」
(うっは、声かけ事案だわ)
「更に、一人暮らしの女性の家に
『今晩泊めてくれないか』と玄関に押しかけて
来るらしい。お前達、絶対に入れるなよー。
最近物騒だからなぁ」
そんな言葉にクラスメイト達はザワザワと
騒ぎ始める。
「知らない男の人が話しかけてくるとか
キモすぎでしょ」
「ないわぁー!絶対入れるわけないじゃん!」
なんて、主に女の子の声が聞こえてきた。
思わず愛結華も気になって、先程ファイルに入れた
紙を出すと、そこには《不審者》の特徴が
書かれてあった。
...どうやら同一人物らしい。
------------
《服装》
・特徴的な革の上着
・ダメージTシャツ
・スパッツ
・水色のサンダル
《外見》
・金髪(天然の色から、外人だと思われる)
・整った顔立ち
・流暢な日本語を話す
以上の特徴に当てはまる、不審人物を
見かけた場合には身を守る事を優先し、
その後、学校の先生や親などに相談しましょう。
-----------
「!!??」
ガタタンッ!!!
それを読み終わった愛結華は、見覚えのある
特徴に思わず体が一瞬跳ねて、机に強く太ももを
ぶつけてしまった。
「科戸、どうしたー?大丈夫か?」
そんな担任の言葉に、彼女は一気に顔が熱くなった。
カアァッ!と熱いものが顔に上っていき、
耳まで赤くなっているのが容易に想像できた。
「だ、大丈夫です」
何とか言葉を絞り出し、自分を注目している
クラスメイトにもハハハ、と苦笑を見せる。
ようやっと、手で顔を扇ぎながらプリントを
読むも、何度読んでも《あの男》しか
思い浮かばない。
愛結華は苦々しげに、その名を心で呟く。
(ニャルラトホテプ...、あんた何やってんの...)
邪神と言えど神は神。
そんな存在が人間に《不審者》として
扱われているだなんて!
こんな事、あのナルシスト野郎が知ったら
どんな反応をするのだろう......。
とか、そんな事を思うも、いや大事なのは
そこではない!!
と、自分に突っ込む。
(なんであいつ、まだここにいるの?!
神様なら神様の世界的な所に戻りなよ!!
これ絶対、噂になってる《地下トンネルの怪談》の
黒幕だろ!!?)
自分でも無意識に、深く重たいため息を吐くと
愛結華は机に突っ伏す。
(また変な化物に会うのも御免だわ...。
どうせ《地下トンネル》にいるんだろうから、
休日にでも直接会って、さっさと帰るように
言ってこようかな...)
痛くなった頭を抑えつつ、ホームルームが
無事終わった教室から、家路に着く愛結華だった。
どう考えても黒幕はアイツです。
有難う御座いました。(遠い目)
さあ、愛結華さん。
そして読者様、黒幕を見つけに地下トンネルへ
行きましょう...!!




