表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MP0(ゼロ)の邪神さま!!  作者: カノン♭
【第一章】無貌の神、ニャルラトホテプ
2/24

02【次元の裂け目の間】

(くそっ!!親父め、オレの事何だと思って.....)


ニャルラトホテプは腹立ち紛れに

近くの壁を殴ろうとするも、それは

あまりにも愚かで阿呆くさいものだと

理解したようだ。憎々しげに舌打ちをすると

首を勢いよく振り、彼は目的地へと歩みを

早めるのである。


別名、無貌の神とも呼ばれる彼が

行き着いた先は限りなく白に近い輝きを放つ

『無』の空間。

しかしその空間の中心には何処までも高く

そびえる、巨大な扉が不自然に放置されていた。


彼はこの空間の正しい名前など知らないし、

知ろうともしなかったが、あえてこの場所に

名前をつけるとするならば彼はきっと

こう名付けるであろう。


『次元の裂け目の間』と。


ニャルラトホテプはキョロキョロと辺りを

見回す。彼の探し(ヒト)はここの主なのだから

居ないはずは無いのだ。

.....と、そこで彼の深い紫色の瞳がキラリと光る。

目的の神では無いにしても、それに近い存在を

彼の瞳が認めたのだ。


スタスタとその存在に近づくニャルラトホテプ。

ソレは人間を少し小さくしたような姿を

しており、ローブをまとっていた。


「我が名はニャルラトホテプ。

タウィル・アト=ウムル、貴様の主である

副王、ヨグ=ソトースに面会を願いたい」


その声を受けた忠実なる従者は目の前に

立つのが神々のメッセンジャーである

無貌の神である事を確認した後、恭しく一礼し

しわがれたような、若々しいような、

表現し難い声を絞り出した。


「どうぞ、こちらへ......」


タウィル・アト=ウムルに先導され、

彼は次元の裂け目の間を本の少し後にした。

案内された空間は、人間から見れば異様な

ものだった。


美しい天幕がサラサラと心地よい音を奏でて

いるも、その天幕は空間の狭間から突然顔を

出しているようであり、更には所々空間が

歪んでいるのだから並の人間では普通では

居られなくなるのが落ちである。


「ヨグ=ソトース様。ニャルラトホテプ様が

是非とも貴方様にお目通り願いたいと」


その声を聞き、一番奥の天幕で隠されている

影がピクリと動いた。


「分かった。お前はもう下がっていいぞ」


主のその言葉にローブのソレは再度礼を済ませ、

姿を消す。ニャルラトホテプは何という事でも

ないが、その従者を目線で追っていたその瞬間!


「やあ、久しぶり。ニャルくん」


「.........」


彼のすぐ、目と鼻の先にそれは居た。

ニャルラトホテプは今ではもう、そういった

驚かしには慣れっ子だ。彼は疎ましそうに

眉を寄せて、三歩ほど後ろに下がる。


「そんなに近づくなよ、兄貴」


嫌で嫌で仕方がない!といった声色で

そう言われるとヨグ=ソトースはタジタジと

五歩分下がった。


彼の名はヨグ=ソトース。

時間と空間を操る神であり、ニャルラトホテプの

兄弟である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ