02【我が町の奇妙な噂】
邪神ニャルラトホテプとの
出会いと別れ(その期間、驚異の1日である。)を
経て、既に1ヶ月半が経とうとしていた...。
彼から貰った精神安定剤も全て飲み、
順調に回復していった科戸愛結華は
既に高校という社会復帰を済ませていた。
「愛結華、すっかり元気になったね!」
「うん、心配かけてごめんね。
もう大丈夫!」
そんな学友との平和な一時を
過ごす彼女。
ほんの1ヶ月半前に起きた奇怪な出来事など、
もうただの悪い夢としか考えなくなってきていた。
そんな昼下がりの出来事、廊下で他愛ない会話を
している彼女の耳に、ある噂話が飛び込んで来た。
「__ねえねえ知ってる?
最近噂になってる《地下トンネルの怪談》の事」
「あ、この前先輩に聞いたよ!
なんでも《地下トンネルがでっかい蛇の巣に
なってる》とかいう話でしょ?」
「どうせ噂話だろうけどさぁ、気になるよねぇー!」
...上靴の色を見る限り、同学年の女子たちが
キャッキャッとお喋りに花を咲かせながら、
愛結華と学友の隣を歩き去っていった。
「《地下トンネルの怪談》?」
愛結華の、その言葉に学友は苦笑で返す。
「あぁ、愛結華には話してなかったよね。
学校の先生から、”今の愛結華には刺激が
強過ぎるから根拠の無い怪談話は極力しないように!”
て、釘を刺されてたんだ」
だが、きちんと精神病を克服した愛結華には、
もう話してもいいだろう。と友人は思い、口を開く。
「あのね、最近この加美風町で
変な噂が流れてるの」
この学友が言うには、
①空飛ぶ巨大な蛇を見た。
②その蛇は地下トンネルで目撃される。
③噂を確かめに見に行った野次馬精神の人達が、
殆ど頭が可笑しくなって病院に運ばれた。
④目撃者(と言っても精神異常者)が言うには
「突然空が赤紫に染まったかと思うとヤツが
出てきた!」と証言しているらしい。
「ねっ!ちょっと怖い話でしょ?
......あれ、愛結華?」
「.........っあ。え?ご、ごめん...大丈夫」
「ほんと?顔色悪いよ......?」
「いや、ほんと...大丈夫だから......」
愛結華は背筋が寒くなった。
巨大な蛇については、よく分からなかったが
空が赤紫に染まり、異形の生物が現れるという
現象に心当たりがありすぎたのだ。
(...まさか、ニャルがいなくなったって
言うのに、まだそんな化け物がうろついてるの?
...じ、冗談じゃない!!)
宇宙の_それもごく一部だが_恐ろしい鱗片を
知ってしまった愛結華にとって、
それは耐え難い現実であった。
...もう何も知らない平凡な人間には戻れない。
いつ、自分が邪な神々の玩具にされるか。
それに怯えながら生きるしかない。その事を
嫌でも実感した時だった__。
自分を心配する友人に、愛想笑いをして
覚束無い足で教室へと戻る。
これから午後の授業なのに、これでは
何一つ集中できそうに無いな。と静かに
息を吐く。
キーンコーンカーンコーン...♪
昼休みの終わりを知らせるチャイムが、
やけに明るく響き渡った。
休日バンザイ!
作品書けるのがとても幸せだ...!!




