11【居なくなった神】
___ヨグ=ソトースの空間(自室)にて。
「...ふわぁぁ」
幾万もの天幕がサラサラと音を鳴らす。
時空の神は暇そうに、平和そうに、大きな
欠伸をこぼした。
(暇だなぁ...)
蛍光色の球体も、主に倣ってか心無しか
しょんぼりと低空飛行をしている。
...と、そこで彼の頭上で電球が光った。
「そうだっ!シュブちゃんに会いに行こう!
シュブちゃん元気かな〜!!!」
るんるんと元気よくスキップをする、
ヨグ=ソトース。
彼の言う『シュブちゃん』とは、即ち
シュブ=二グラスの事であり、彼の妻。
もっと言えば妻を肩書きに持つ妹である。
「今回はどんな姿で会おうかなー...。
本体でもいいし、人型でもいいし......。
うーん!悩むなぁぁ!!!」
キャッキャッと1人、色んな姿になりながら
遊んでいると外部から慌てた声が聞こえてきた。
『急な面会はニャルラトホテプ様以外、許して
おりません!どうかお引取りを...!!』
『仕方ないでしょう!?緊急事態なのよっ!
緊急事態!!!』
『ですが__!』
どうやら彼の化身の1人であり、門番である
タウィル・アト=ウムルと女の声が何やら
言い争っているようである。
しかもこの声の主は彼の見知った、親密な者の声だ。
ヨグ=ソトースは早足で次元の裂け目の間へと
向かう事にした。
☆
「どうしたんだい、シュブちゃん!
そんなに声を荒らげて...?」
正妻の名前を呼びながら駆け付けると
シュブ=二グラスは、化身に向けていた顔を
本体へと向ける。彼女の整った顔が嬉しそうに
綻んだ。
「ヨグくん!!!化身なんかじゃ話にならないわ!
ねえ聞いてっ!とっても大変なの!!」
ふくよかな胸をフルフルと揺らしながら、
旦那であり兄の男に話し出す。
「何が大変なんだ?シュブちゃん、落ち着いて
話してくれないと分からねぇよ?」
優しく彼女の背中を撫でると、落ち着いた様子で一息吐いた。
「あのね......」
ゴクリと喉を鳴らすと、上目遣いで夫を再度見る。
「...っ、ニャルくんがまだ帰ってきてないらしくて、お父さんの宮殿がてんやわんやなの......!」
「えぇ!?ニャルくんが!!?嘘だろっ?!」
思ってもみない発言に、彼は衝撃を隠すことができない。
ニャルラトホテプという神は傍若無人で、
手に負えない我が儘モンスターなのであるが、
唯一の使命というか鎖のようなものが存在している。
神々の総帥、アザトースのお世話だ。
こればかりはニャルラトホテプも文句は言わず、
せっせと言う事を聞いていたのだが、
それを放棄して居なくなるなんて考えられない
事態なのだ。
飼い犬が突然、縛り付けた鎖と首輪を残して
消えたようなものである。
「早くニャルくんが戻らないと、お父さんったら
不機嫌で今にも目覚めそうよ...!!」
「うっ!それはマズイ...!
めんどくさいことになる......」
「でしょう?!ヨグくん、心当たり無い...!?」
ヨグ=ソトースは、暫く目を閉じて過去を
思い出してみる。
「最後に会ったのはココだよ。
確かハスターの所に行くって言ってて...
...!ちょっとアルデバラン星行って確かめてみる!!」
"その間、親父の世話は任せたぜ!!"
と、半ば強引にシュブ=二グラスに伝えると彼は
一瞬で『門の創造』を行い、姿を消した。
「あぁ!ちょっとヨグくんー...!!」
びっくりして目を丸くするも、彼女は
行き場の無い苛立ちに頭をぶんぶんと振る。
それに合わせてふくよかな胸も、
頭に生えた巻き角も大きく動く。
(お父さんのお世話は構わないけど、
ハスくん今の時期、アルデバラン星にいたかしら...)
シュブ=二グラスは一抹の不安を夫に
抱きながら、急ぎ足で父親の宮殿へと
向かうのだった。
誰だよ
『あと1話で2章終わるー!』とか
言ったヤツ(白目)
ノリで話を膨らませたら長くなって
しまいました...!詐欺師とお呼びください(遠い目)
今度こそ!今度こそ次で終わらす!!!




