08【慣れと狂気】
「ぜ、ぜんい......っ?!」
未だにぐったりとしている少女と
目線を合わせるため、折角かっこよく
決めていたポーズを彼は解き、どっかりと
かがみ込んだ。
「おうとも、善意さ。
今見たもの、ちゃんと覚えてるか?」
「......っ、思い出したくもないバケモノ
ばっかりだったわよ...!」
目線を逸らし、すっかり顔から生気が無くなって
しまった愛結華は、ふるふると震える。
「ま、そーだろうな。
お前が見たヤツらは全部オレの従者共でな、
必要になったら思い出せるようにしてやった。
喜びな!」
「っな!?な、なんでそんなこと...!!!」
そんな一言にニャルラトホテプは至極当たり前の
顔で、
「一々SANチェックとか面倒だろ、正直。」
愛結華には何がなんだか
さっぱりな一言をしれっと呟くと
ふわぁ、と緩慢な欠伸を零し
「帰んぞアユカ。ショゴスも抹殺しといたし、
空も地球の夜空に戻ってきた、
もうあぁいう奴らは出てこないだろうよ」
「そ、空...!?」
バッと空を見上げると、そこにはぼんやりとだが
黒と鮮やかな赤紫のグラデーションが彼女の
上空を彩っていた。
「...い、意味が、...分からない......っ」
「んあー。コイツらがこうやって人前に
現れる時、異なる時空からやって来ている事が
多いんだ。そういう時、大なり小なり時空が
歪むもんだから、そういった一種の反応って
奴かな?」
ふと、少女を見ると、
やはりまだ分かっていないらしく
困惑の表情を浮かべていた。
「......簡単に言うと、『時空の一時的な歪みの色』ってこと。おわかり??」
「......あっ!あー...分かった。...なんとなく」
「まあいいや、お前さっさと帰るぞ
それともまだここにいたいか?」
「!!いや!あのね、帰りたいのは山々だけど
腰抜けてんの!何とかしてよ!!」
「......アユカ分かってんのか?
お前の目の前にいるこの超絶美男子は
魔王子様だぞ?そんな奴に助けろと?
馬鹿なのか??」
そう言うも、彼女の精神は既にボロボロで
こんな強気な態度も自分が壊れないように
するための防波堤のようなものなのだろうと、
聡明なニャルラトホテプ様は頷きました。
「......ったく。これだから人間ってのは...」
自称、超絶美男子ニャルラトホテプは
少々雑に愛結華をおんぶして
スタスタと進んでいく
「家はあの家でいいんだよな?」
「...そうよ」
もはや愛結華には
初対面の男に強引におんぶされても
文句を言う力も残っていない。
ただ、黙って彼の背に揺られているだけだ。
それでも彼女は疲れきった口を動かし、
気になったことを聞いてみる。
「......ねえ、あんたが流し込んだあの映像で
何かと三本足ののっぺらぼうが出てきたけど、
アレも、従者って奴なの...?」
それを聞いたニャルラトホテプは
楽しげに「にひひ」と笑みをこぼし、
「アレは違うぜ。アレはな、従者共を
まとめる御主人様だ」
「.....え?だってあの従者ってのは
あんたの従者だってさっき......。!!」
「お?気づいたか?
にゃはは!流石の愚鈍な種族も
気付くだろうな!」
愛結華は驚愕の表情で金髪の男を
見やった。だってその言葉から導き出せる
正解なんて一つしかないのだから!
「じゃあ、じゃあアレはあんたなの?
それならこの姿は何なの??
あぁ、もうよく分からない
意味が分からない、ねえ教えてよ!!」
「.........」
ニャルラトホテプはそんな少女の
裏返った声を聞き、暫し視線を落とす
(流石にいじめすぎたか
こりゃあ、詮索症にかかってんな...?)
フッ、と小さく彼は鼻で笑う。
「そうさ、アレは本来のオレの姿だ。
__さあ、今日はここまでだ。家が見えてきたぞ。
とりあえずお前は休んで眠っとけ、
そしたら少しは色々回復すんだろ」
まだ何か聞きたそうな愛結華を
強引に黙らせると、彼は早足で
科戸家に向かうのであった。
あぁ、もっと沢山書きたいのに
何故か進まない...
何故だ、もう13話だぞ...(苦笑)
今日もお読み下さりありがとうございます!
よければコメントも下さると、更新ペースも
上がるかも......?( ˇωˇ )(笑)




