07【邪神からのプレゼント】
未だ息が荒い愛結華は
口で息を飲み込みながら、見るからに
暗いオーラを放っている正体不明の男を
見やった。
そして充分に息を整えると彼女はようやく
言葉を発する。
「あんたっ、な、何者なの...っ!!」
言葉を投げ掛けられたニャルラトホテプは
ダガーを裏ポケットにしまうと酷く冷めた瞳で
愛結華を見つめた。やがてニヤリと
有り得ないほど口角を上げ......
「何者だって?さっきも言ったじゃねぇか」
彼はその細身の体を二本の足で支えると
これ以上のものは無いという程、自慢げに、
そして誇らしげに唱えた。
「オレは天下のニャルラトホテプ。
数多の神々に使え、そしてその神々でさえも
己の下僕とする事が許された魔王アザトースの
寵児、ニャルラトホテプ様さ!!!」
「ニャルラト、ホテプ......」
先程までなら笑って済ませられたその言葉。
だが、このたった数分の出来事のせいで
愛結華はこの男が人間ではなく、
生物そのものすらも凌駕する、バケモノだと
いうことに気が付いてしまった!
人間風情が立ち入ってはならない一線を、
彼女は越えてしまったのだ...!!
ガタガタと震え出すか弱い人間に、この邪な神は
少女の二の腕を強引に掴み、立ち上がらせると
恐ろしいほど深い紫の瞳で彼女を張り付けた。
「おっと、この程度の宇宙の鱗片を
知ったぐらいで壊れないでくれよ?
この出会いは偶然だが、きっと奇跡さ。
オレ達の出会いにアザトース様も祝福して下さるだろう。
これはちょっとした、オレからのプレゼントさ!
遠慮せずに受けとんな!!」
二の腕を掴んでいた右手を離すと、今度は
遠慮無く頭部を鷲掴みにした。
そして、彼の五本の指を形作っているソレは
だんだん細く、長く、そして深い黒の触手へと
変貌し、彼女の耳へと侵入していく...。
「あっ、あぁ...っ!!??」
「暴れんな、暴れんな。よく言うだろう?
痛いのは始めだけってさ...!」
異物が入り込む、背筋が凍る程の気色悪さに
愛結華はジタバタと暴れ始めるも、
バケモノによって呆気なく動きを封じられた。
愛結華の耳に、何かが囁く声が聞こえた。
一瞬、それはこのニャルラトホテプから発せられたようにも思えたが、正しくは違った。
子供のような、老人のような、青年のような...
名状し難い声が彼の『体』から発せられていたのだ!!
そしてそれが分かった瞬間、彼女の脳内に
見たことも無い、不気味で、冒涜的な内容が
流し込まれる。主に三本足の、のっぺらぼうな
バケモノが集中して現れた。
「......お疲れさん、アユカ」
耳に詰められた物がようやく取り払われ、
少女はぐったりとアスファルトに倒れ込む。
彼女の息は先程よりも酷く荒れていた。
「はあっ、はあっ...っう、げほっ!ごほっ!!」
「まだ意識はあるか?
おぉっと、そう睨むなよ。
こちとら善意の塊でやってやったんだ、
感謝してもらいたいぐらいだな」
ニャルラトホテプは悪びれた様子も見せず、
嘲るような微笑みを眼下にいる人間に
向けていた。
更新に空きが出てしまいました(汗)
ネタはあるんですけどねぇ
なかなか時間が取れないものです(苦笑)
あぁ、それと!
遅くなりましたがブックマーク4件!
有難うございます(∩´∀`)∩ワーイ
作者カノン♭、これからも頑張らせていただきます!!




