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03

07◆迷い        シーンプレイヤー:淵野辺あざみ


GM: というわけで、次はあざみのシーンだよ!

あざみ: 登場します。(ダイスを振る)10だ。

GM: はい。淵野辺あざみが、帰りたくないと駄々をこねているシーンです。(一同笑)

円: じゃあ自動的に登場ですね。(ダイスを振る)2。

GM: 由奈は退場してても登場してもいいよ。

由奈: この二人の会話が面白そうなので退場しています(笑)。

GM: というか、さっきのシーンで退場したまま、出てこないって感じかな。

円: じゃあ――――別にいいけど……みたいな感じで。何だコイツ図々しい(笑)。

あざみ: 円は背が高いので無理やり肩をガッて組んで耳元で、迎えに来たら困るだろ? お前一人じゃ。って言う。

円: 馴れ馴れしい……。ぐいっと引きはがそうとする。

あざみ: ぐぎぎぎぎ(←離れまいとしてる)。

GM: 脅威の15センチ差(笑)。

円: ……好きにしたらいいじゃんか。ぐいぐいと、はがしつつ。

GM: 寝るところはソファ?

あざみ: 畳でもいいよ!

円: タオルケットをぽいっと投げて、……床でよければ。(一同笑)

あざみ: それを受け取る。

円: 一人暮らしだし、ベッドがあって床があって、くらいの感じかと。

あざみ: んじゃ、受け取ったそれに、頭からくるまる。(と、ほっかむりする仕草)

GM: 使い方間違っとる!!(一同笑)

円: なんだこいつ、と思いながらも……コーヒーとか、飲む?

あざみ: マジで? 気ィきくじゃん!

GM: なついてきた(笑)。

円: インスタントコーヒーを用意します。

GM: <知識:家政>で判定を(笑)!

円: わかった。(ダイスを振る)9。

あざみ: おおー! うめー!! お前プロか!? 喫茶店とか出来んじゃね?

円: いや……それほどでも。(←照れてる)

あざみ: お、照れてる照れてる(にやにや)。

円: ここで、あざみにロイスを取ります。

GM: どうぞどうぞ。

あざみ: こっちもとろう。不信感とかでー(笑)。

GM: なんとなく和んでますけど、シーンを切ってもいいの?

あざみ: 何もないなら、それでいいですー。

薫: 情報収集すれば?

あざみ: そっか。じゃあ、雑談しつつ調べるかな?

円: 俺は俄然がぜんパソコンを見てるよ。

あざみ: 画面をコーヒー片手に覗き込みます。

円: じゃあまた<情報:ウェブ>で、優日のご両親のこととか調べます。

GM: はい。

円: (ダイスを振る)ああ、全然駄目だ。10。

GM: では、父親の事件に関しては、事件の切抜きがスクラップブックみたいになってるのを確認できた。


 更に円は、優日の母親についての資料も見つけた。

優日の母親は、ひき逃げ事件の被害者ということだったが、検死の結果、本人から多量のアルコールが検出されたため、本人の不注意もあるのでは、という見方もあるようだ。

ひき逃げの犯人については見つかっていないらしい。

ネットで事件を追うのは、ここまでが限界らしかった。


GM: 因みに母親が死んでるのは、優日が中学二年の頃だね。

あざみ: じゃあ後ろから――――何? それ調べてーの?

円: うん。彼女が今までどうしてたのかなって……。

あざみ: じゃあ、ちょっと保護者に電話してくる! って言って支部長に連絡を取ります。

GM: こいつ、薫をシーンに出すつもりだ!(薫に)いいのか?

薫: (無言でダイスを振る)

あざみ: だから「いいですか?」って聞こうかと……って、もう出てるし(笑)。

GM: 侵蝕率高いのに……。

薫: はい、私です。(一同笑)

GM: ちょっとほろ酔いの薫だ(笑)。

あざみ: 調べて欲しいことをかくしかで伝えます。彼女の足取りを調べて欲しいんですけど……。

薫: なるほど。え? つまり今、彼女がどんな足をしているかですね?

一同: ちげーよ!!(笑)


 プレイヤーは素面の筈だが……?


薫: あれ?(笑)……えと、彼女がシンガポールの事件から行方不明だという話は知っていますね?

あざみ: うん。

GM: (薫に)父親の事件に関して、追加で情報収集していいよ。

薫: お、じゃあ<情報:警察>で。(ダイスを振る)お、クリティカルして、18!

GM: えー……すると、根掘り葉掘り分かっちゃうんですが。優日が、ドメスティックバイオレンスの関連機関に訴えにいった記録とかが引っ張ってこれちゃいますね。


 優日の弟は、小学校高学年頃から素行の悪い連中と付き合い始め、父親はヤクザと繋がりがあり、後ろ暗いことにも手を出していた。母親は、再婚した頃から徐々にヤクザ組織と関係するようになっていったという。


GM: 円の記憶と照らし合わせると、丁度円が引っ越す直前のあの頃が、一番不安定で、変化が起きていた時期だったんだろうということが分かるよ。

円: なるほど。


 そんな中、彼女が中学二年、弟が小学校六年の頃に、母親がアルコールを摂取した挙句に死亡するという事故があった。事故の関係資料には母親の育児能力にも問題があったのではないかということが書かれている。

更に、父親が酒を飲んで暴力を振るうということを優日自身が訴えに行ったが、父親に巧いことはぐらかされたり、踏み込みすぎるとヤクザが出てきかねない状態だということもあり、公的機関も手が出せず、事実上放置された状態だったようだ。

状況の改善が見られないまましばらくして、優日からの連絡が途絶えたため、この件にはこれ以上関われない――――。


GM: というところで資料は止まってるね。で、警察関係の資料の中には、優日の母親の事故が、ヤクザ絡みのトラブルで「殺された」んじゃないかという憶測があった。

円: 憶測ね。

GM: 元々、優日の母親は酒をたしなむ程度だったらしくて、ストレスも溜まっていただろうから暴飲してもおかしくはないんだけど、これは事件性があるんじゃないか、と言っている人も居た。

円: ふぅん……。

GM: 優日が高校にあがった頃には、弟は中学生なんですね。非行はますますエスカレートしてる感じで、優日は修学旅行で行方不明。父親はその半年後にヤクザ絡みの事件で死亡し、弟はその前後に失踪している。と、いうところかな。

薫: というのが、貴千優日さんの軌跡です。

あざみ: なるほどねー。

薫: その後、彼女は……(GMに)彼女自身について調べます。

GM: ほう! シンガポールで何があったかまで調べちゃうんですね!? それは大変な難易度ですね!!

薫: マジすか……。

GM: はい(笑)。何で調べる?

薫: <情報:FH>(ダイスを振る)うーん、8。

GM: ……とはいえ、憶測といえないくらいに状況証拠が固まってるからなぁ……。優日かどうかは判らない。けど、“BUG’sBUZZ”と一緒にニューフェイスが来ているらしいよ。

薫: おおー!

GM: コードネームがかろうじて判る。“ブラッディ・マフィン”。

あざみ: おいしそう。

円: そのマフィンじゃないんじゃないかな?

GM: 日本語訳は“血塗れの焼き菓子”と言います。(一同笑)

薫: なるほどー。優日が“ブラッディ・マフィン”なんじゃないかな? というところまで憶測がついた。ちなみにその“BUG’sBUZZ”というのは……調べます。

GM: 追加で判定ね。どうぞ。

薫: よし、いける!!(ダイスを振る)出た! 11!!

GM: はい。彼は、コードネームの元になった技を、持っているんだけれど普段あまり使いたがらないらしい。

あざみ: うん?

GM: 普段は支援をして、他のオーヴァードを強化する戦い方をするらしい。

薫: まるで私だな。

由奈: 能力的にも似てるね。

薫: ということで、今回の事件はその“ブラッディ・マフィン”と“BUG’sBUZZ”の二人がこの街に来て、事件を起こし、倉木円をターゲットにしているのではないかと思う。

GM: あ、ちょっと言い忘れた。“BUG’sBUZZ”が今回日本に来たのが、誰かの指示なのか、自分で動いているのかはわからない。

薫: なるほどね。で、FHは倉木円を引き込もうとしている、というのが私の予測だ。今現在FHの動向について……調べるって言っていい?

GM: いいよ。

薫: やった! どういう作戦目的でここに来ているのか調べたい!

GM: FH全体の動きを見て、探るということでいいのかな?

薫: そうですね。オーヴァードを増やして戦力強化を狙ってるとか、この辺りで大規模な実験を行ってるとか、そういったことを把握したいです。

GM: 彼らがどうしてやってるのか、にたどり着きたいのね。

薫: (ダイスを振る)13! 財産ポイント使って14にする意味ある?

GM: (にやりと笑って)ある。

薫: じゃあ財産ポイント使って、14!!

GM: はい。最近のFHの動向について。コードウェル博士がFH側に回っていたり、都築京香が離反したことにより、FHは今、各セルの動きが活発になっています。最近のFHの流行は、『自由気ままに好き放題』。(一同笑)

円: わー、迷惑!

GM: 確かにオーヴァード事件自体が増えてるんで、UGNにも人員が増えている。同じようにあちらにも人員は増えているだろう。

薫: で、今回の事件もその一環じゃないかってことだね?

GM: ニューフェイスを伴って、それなりに名のあるエージェントがやってきた。そのエージェントは普段、支援を得意としている。ということはニューフェイスに一仕事させようとしているんじゃないか、と思われる。

薫: と、いうような状況だと。

あざみ: この話は倉木君にしちゃってもいいのかな?

薫: いや、まだ彼自身がどう結論を出しているか分からない。だから――――。

GM: 同じ部屋にいるんだし、耳そばだててたら聞こえてるんじゃない?

円: そりゃあ、そばだててるよね。

GM: では<知覚>同士で対決してください。

薫: (ダイスを振る)ふふーん。12!

あざみ: (ダイスを振る)7。

円: (ダイスを振る)6。全然駄目だ。

薫: じゃあ続き。――――私に連絡をくれるか、あなたに協力したいという旨を伝えてくれれば、情報を共有することに問題はないですが、倉木君はまだ結論を出していない。そして彼が結論を出すときに、私は彼に聞きたいことがあります。その返答如何によって、倉木君を受け入れるかどうかを決めます。

GM: なんか、凄い教授っぽかった、今。

あざみ: ――って思いながら聞いてる(笑)。

円: 聞き耳を立ててみたんですが、結局聞こえないので、「ファルスハーツ」という単語を入れて、検索してみます。FHが今までどんなことをしてきたのかを調べたい。

由奈: ネットで得られる情報だと、都市伝説になりそう(笑)。

GM: はい、はっきり言って都市伝説です。そんなテロ組織があるんだ、っていうことから、こんなことしてるんだぜっていうのから、ファンクラブから……。

円: ふぁんくらぶ……(笑)。ざらーっと流し読みしてみて、どんな印象を受けますか?

GM: うん、都市伝説だと思うね。『そんなテロ組織は存在しない』『いやいや、ホントにあるんだよ』っていう、どこか不気味な感じ。真実めいた都市伝説。

あざみ: だって俺聞いたもん! っていう意見とか。

GM: たまに見過ごせないくらい鬼気迫る感じの書き込みがあったりする。

薫: なんかある度に『本人乙ー。』って書いてある。で、そういうのを全部情報規制してるのが、UGNです。

GM: 『俺らファルスハーツなんだけど、何か質問ある?』とかな。(一同爆笑)

薫: 『規模は?』『いやー俺らも全部把握してなくてさー。ただ、今セル単位で動いてるんだー』(一同爆笑)

GM: 具体的だー!!

円: 誰か本物が書き込んでるぞ。

あざみ: あんまりだ……。


 ネット掲示板ネタで盛り上がりすぎです(笑)。


GM: っていうのを立てて保守してるのがUGN。(一同爆笑)

薫: 立ててんのかよ!?

円: バカだ……(笑)。

あざみ: えと、じゃあこそこそしつつも教えてやる気満々だったので、………ほーい、みたいなテンションになります。

薫: では、引き続き調査をお願いします。

あざみ: あ、今、倉木円が後ろに居るんですが……。

薫: そうですか。もう接触を取っていたんですね。

あざみ: ええ、帰り道に偶然。(一同笑)

由奈: 偶然なのか? アレ(笑)。

薫: それで?

あざみ: (GMに)えと、円の幼馴染のことも話したいんだけど、それも別途隠す判定居るかな?

GM: いや、一緒の判定でいいよ。

あざみ: 幼馴染に接触して、かくかくしかじかなこと言われてたよ。……由奈たんから聞いてるかもしれないけど。

薫: 彼らの行動は既に予測済みです。その上で、円くんに一つ、質問したいことがあります。

あざみ: じゃあ、代わりますか?

薫: いえ、彼の携帯番号から電話がかかってくるのを楽しみにしていますよ。

あざみ: わかりましたー。じゃ、ありがとうございましたー。ぷちっ。

薫: つー、つー、つー。

あざみ: 切って、はぁーって溜め息をついて。お前が協力してくんなきゃ教えらんないってさ。で? どうすんの?

由奈: 半分脅迫だ!?(笑)

あざみ: そろそろ決まったよなーと思って聞きます。

円: うーん……と、さっきの掲示板を見ながら悩んでる。

あざみ: そ、それは見ないほうがいいんじゃないかな!?(一同笑)

円: 船舶事故のサイトをもう一回開いて。……これもFHの仕業なの?

あざみ: ――って、話らしいけどね。

円: 悪い奴なんだよね?

あざみ: と、言われてるよ。

円: こんなこと、自然現象であり得るわけがないと判断します。……んー、どうしようかな。

薫: 私に電話してくるかい? 私は一度このシーンに出たから大丈夫だと思うよ?

GM: いや、一度シーンに出て、退場したから、次のシーンにならないと出て来れない。

薫: なんだって!?

あざみ: 人が好きなら、悪い奴ってことになるんじゃねーの?

円: …………どうしようかなー。まだ吹っ切れない気もするしなー…

GM: あざみ、<知覚>で判定して。

あざみ: (ダイスを振る)8!

GM: 傍らの少年が、なにやら吹っ切れない顔をしている。

薫: 後ろからドンって押してあげるんだ!(一同笑)

あざみ: それは判ったんですが、基本的に無理やりにでも仲間に引き入れたいというわけでもなく、こいつはどうするのかな? ってのを見たいんで、見守ります。

GM: では、そこでシーンを切りたいと思います。


08◆女の戦い      シーンプレイヤー:佐々木由奈


 倉木円宅からの帰り道。

人気のない夜の路地を、由奈は一人、歩いていた――――。


GM: 次のシーンは、さっきのシーン出てなかった由奈にしようか。

由奈: (ダイスを振る)はーい。

GM: 一人でお家まで帰るよ。帰り道だよ。

由奈: じゃあ、帰りつつまだ出てない情報を――――。

GM: まあ待て。その前に、君には固定イベントがあるんだ。

由奈: お。なんだろうか?

GM: もう真っ暗になってるワケですよ。来るときはカレーの材料とかをしこたま持ってきたんで重かったけど、なんだか身も軽いよ。なんとなく頼りなさを感じながらとぽとぽ歩いていると……向かう先の電灯の下に、女の子が立っている。

あざみ: やべぇっ!!

由奈: こっちきたー!! ……それを確認して、立ち止まる。顔はまだ見えないよね?

GM: 由奈が立ち止まると、女の子がふっとそっちを見た。街灯に照らされて顔が見える。大変無表情な……。

由奈: ……優日さん。

GM: そう、優日さんです。無表情すぎる顔が、いっそ美しいくらいに機械的な雰囲気で。本当に生きてる人間なのかしら? みたいな感じ。

由奈: 警戒しつつ声をかける。……貴千、優日さん?

GM: 「はい、そうです。」

由奈: 私に用? それとも……ただの偶然、かな?

GM: にこりと笑って。「はい。私は佐々木由奈さんに用事があって参りました。」

薫: (小声で)はぁ~……。(←ドキドキしてる)

GM: つかつかつか……と優日は君の方に歩いてくる。

由奈: あんまり近寄ってこられると、戦闘態勢に入っちゃうよぅ。――――どんな用事? と、近づききられる前に聞く。

GM: すると、そのまま笑いながら近づいてきて、由奈が戦闘態勢に入ったのを見て、ぴたりと止まる。「今は、やる気なんてありませんよ。」と、ちょっとイっちゃってる感じの目で、君を見ている。

由奈: ……今は?

GM: 「ええ、今は。ちょっとお話をしにきただけだから。」

由奈: えんちゃん……倉木くんのこと?

GM: 「(金切り声で)まどかちゃんのことを『えんちゃん』なんて呼ばないで!! あなたが呼んでいい名前じゃないの!! 分かるっ!?」

由奈: ――――っ!?

GM: 優日はつかつかと歩み寄ってきて、胸元に掴みかからんばかりの勢いで下から見上げるように、目をむいてる感じで、「まどかちゃんは私と来るんだから!」

由奈: ……FHに?

GM: 「あははははははは!」と笑い声を上げると、小さな《ワーディング》を張る。「(再び金切り声で)FHなんてどうでもいいのよ!! ただの手段でしかないわ! 私はまどかちゃんと一緒に暮らすの、家族になるの!」

円: (素になって)かわいい……♪

薫: ホントに? ねえ、ホントに!?

あざみ: 中の人がヤンデレ好きなんスよ(一同笑)

薫: あぁ……。

円: PCはひくかも。


 優日の叫びは止まらない。

「ずっと欲しかったの! 本当の家族!! まどかちゃんだと思ってた。思ってたのに――――。でも、一度私の前から消えちゃった……。そしたらどう? 家族も皆消えちゃった。…………いいの。だから来たの。私はまどかちゃんを今度こそ、家族にするの!」


GM: と言って、優日は由奈の襟元をぐいっ、と掴む。何かエフェクトを使ってくるとかそういう気配はないんだけど、凄く鬼気迫る勢いだ。

由奈: じゃあ、その手を握って。……そこに彼の意志はないでしょう? それは貴方がしたいだけじゃない。えん……倉木君は、どう思ってると思うの?

GM: その途中で、優日は<意志>判定をする。

由奈: おお?

GM: (ダイスを振って)お、結構頑張ってる。しかし優日は別に無理やり抑え込むこともないから、ここは効果を適用せずに、ロールプレイで、かな。「(金切り声で)仕方ないじゃない! その気にさせればいいんでしょ!! 私は欲しいの! 家族が!! たった一人の恋人が! 一緒に生きてくれる人が!!」


 優日は続ける。凄く、凄く嬉しそうに。

「……信じられる? 私一度死んだんだよ。でも生き返った。生き返ったらヒトじゃなかった。……まどかちゃんも、ヒトじゃなかった。本当なら私がヒトじゃなくしてあげようと思ってたのに、もう前からとっくに――――。やっぱり私達結ばれてるんだ! そうでしょ!?」


由奈: 思わずぱしっと、優日さんの頬を叩きます。

GM: お。すると、一瞬静かになる。

由奈: ……人間とオーヴァードでも一緒に生きてはいけるし、無理やり人間じゃなくしちゃったら、そのまま死んじゃうかもしれないんだよ?

GM: そう言うと優日は、「ふふっ。」とにやりとした笑みを浮かべて「何言ってるの? ちゃんと上手に出来るように練習したもの。」

薫: (苦い顔で)練習、かぁ……。

GM: 「たくさんしたよ? この街に来てからもしたもの。大丈夫。今の私は完璧よ。」

円: (素になって)かわいい……♪

GM: 「まどかちゃんを迎える為に頑張ったの。」と凄いうっとりした表情で言う。

由奈: ふぅ、と息をついて。……どうも貴方とは話が出来そうにないわね。

GM: 「そうね。私もそう思うわ。だからもう……まどかちゃんに近づかないでくれる?」

由奈: (即答)断るわ。

GM: 由奈の目つきが変わった!(一同笑)

薫: 女の熱い戦い(笑)。

GM: 「――――なんで?」

由奈: 私にとっても、えんちゃんは大事な人だもの。

GM: 「(再び金切り声で)そんな名前で呼ぶなッ!! ………なら、全部なくしてあげるわ。」

由奈: …………。

GM: 「まどかちゃんの周りにあるもの全て。そうすれば、まどかちゃんだって、私しか居なくなる。」

由奈: させないわ。

GM: 「ふふふっ。出来るかな? 出来るかな? 出来るのかしら? 貴方は今までどれだけ辛い思いをしてきたの?」

由奈: ……貴方には分からない。

GM: 「ええそうよ。分からないわ。あなたの周りにはヒトが居るもの。……分からない。分からない! お前なんかには絶対分からないッッ!!」と叫ぶと、くるっと踵を返して《ワーディング》の中を駆けて去っていく。《ワーディング》はやがて解かれるよ。

由奈: ここで、貴千優日にロイスを結びます。そして、ちょっと佇んだ後に、踵を返して、えんちゃんの家に戻ります。

GM: うす。

円: (しみじみと)男冥利に尽きるねぇ……。

GM: なんかこのPC1ヤバいんだけど。(一同笑)

由奈: 同情/■敵愾心でー。

GM: では、ここでシーンを切って次に参りたいと思うのですが……そろそろ出尽くしてきた感があるんだよね。

あざみ: 情報が?

GM: 固定イベントもほぼ出た。ひとつこなせていないイベントがあるとすれば、円の意思表示だ。どうしたらその辺が割り切れると思う?

円: 優日に対しては、後悔の念みたいなものばかりが残っている気がする。なんだけど、UGNっていう人たちに加担するほどのインパクトをもらっていない、というか『この子をなんとかしなきゃいけない』というインパクトが薄い。

GM: そうだね。

円: だからもし、由奈さんのさっきのシーンの情報をそのまま見聞きしたとしたら、ちょっと大きなインパクトになるんじゃないかなと思う。

GM: ……では、控えておいたイベントを発生させようかな。


09◆万端         Master Scene


 地下に続く階段を降りたところにある、とあるクラブ。

その店内に血のにおいが立ちこめている。

立ち尽くす一つの人影。

そこにスーツの男がやってきて、人影に声をかける。

「いやに荒れているな。」

「……ちょっとね。頭に来ることがあって。ねぇ……早くしましょう?」

人影の正体は、貴千優日だった。優日の言葉を受けて、男―――“BUG’sBUZZ”は声をあげる。

「ふむ。これで頭数も揃ったか。」

彼の声に答えるように、倒れていた幾人かがゆらりと立ち上がった。

全身から血を噴き出し、その身体には、人にはない器官が生えている。


薫: これはヤバい……!

由奈: ジャームか……。


  “BUG’sBUZZ”は闇の中、再び声をあげた。

「そろそろ本当の挨拶にいくか。」


10◆敵の目的          シーンプレイヤー:花咲薫


 その頃、UGN支部には次々と情報が入ってきていた。

その情報を統合して――――薫は苦々しい顔になる。


GM: さて次のシーンなんですが、支部の執務室です。

薫: はいはい(ダイスを振る)8! レネゲイドが騒ぐ!!(一同笑)もう76%だ……(しょんぼり)。

GM: 深夜。次から次へと情報が飛び込んでくる。今までどうやって隠蔽されていたのか分からないけれど、良くない人たちの溜まり場が次々に、悲惨な状態で全滅している。

薫: なんだって!? くそ、FHの動向について色々調べた筈なのに……なんてことだ!

GM: 三日くらい前から、大量虐殺事件が繰り返されていたらしい。

薫: これは……。くっ!

GM: 導き出される情報は……! 何かで判定して。

薫: はーい。<情報:オーヴァード犯罪学>!!

GM: ……どうぞ(笑)。

薫: (ダイスを振る)よし! 14!!

GM: おそらくジャームの量産の為だ。使われたエフェクトはブラム=ストーカーの《抱擁》。自らの血液を流し込むことによって、高確率でオーヴァードとして覚醒させる。

薫: ああ、「いっぱい練習」したんだ……。

GM: 殺され方なんだけど、鋭い鉤爪で引き裂かれている感じだね。そしておびただしい量の血が流れているのが印象的。

薫: うわぁ……。


 死体はボロボロだったり、中にはジャーム化した挙句、制御が利かなくなって弾け飛んでいるものもある。そのうち幾つかは、起き上がって何処かへ行ったのだろうと思われた。

 しかし、ジャームが歩き回っている事件はない。つまり、そのジャームは完全に何者かの制御下に置かれている。

これらのジャームが一体何をするのか?

薫が導き出す答えはただ一つ。……これだけの兵力を必要とする作戦。恐らくは――――UGNの支部潰しだ。


薫: 苦虫を噛み潰したような顔になりながら。……彼の今後の為にも自分で決めて欲しかったが、仕方ない。結論を急いでもらおう。そしてこの支部に戦力を集中させよう。

GM: といって薫が受話器を取った。円にコールをした。が、出ない!! ……というところでシーンが変わる!


11◆襲撃           シーンプレイヤー:倉木円


 一方。

薫が円に電話を掛ける直前。

円とあざみがまんじりともせず座っていると、そこに由奈が飛び込んできた。


GM: さて、こちらなんですが、今部屋にいるのはあざみと円でいいのかな?深夜なんですが。因みに、さっきのシーンのちょっと前ね。

円: 由奈さんは戻ってきてるのかな?

GM: はい、由奈が戻ってくるところからです(にやり)。まあ、深夜と言っても11時くらいだと思いねぇ。

円: はーい。

あざみ: 携帯をぷちぷちいじりながら、由奈たんにメールを……。

由奈: マジか!? それに返信してる暇はないよ。今、走って戻ってる。

あざみ: だから、返信返ってこないなーと思いながら。

GM: じゃあそこでガチャっとドアが開いた感じだね。

円: 佐々木さんでいいのかな? すぐ分かる?

GM: うん。

由奈: (ダイスを振って)お、今64%だ。

薫: もうお前ら攻撃くらいまくって《リザレクト》しまくれよ! 私は隠れてるよ!!(一同笑)

由奈: では、ドアを開けて、登場しました。

円: どうしたの? 佐々木さん……。

由奈: 息を切らしつつ、……よかった! えんちゃん、無事だった!!

円: 何のこと? と、首を傾げる。

由奈: ちょっと迷ってから、さっき優日さんに会ったことを告げます。……彼女は、えんちゃんと家族になりたがってる。

円: (戸惑って)家族……。

由奈: 彼女は、自分の目的の為に――――。

GM: といったところで、ヒュゴーン! と凄い音が聞こえる。

円: !?

由奈: 何!?

GM: と、窓の方を見るとバリーン!! と窓をかち割って化け物が入ってきます。

あざみ: ぎゃー!!

円: うわああああっ!?

由奈: えんちゃん下がって! と言って、その化け物と対峙します。

あざみ: お前はこっちだ!! と、円の腕を掴む!

GM: 三体の血塗れの肉塊といった風情のモノが来てるんですが。

円: ああ、部屋のカーペットが……。(一同笑)

GM: その後ろからスーツを着た男が現れて「なんだ、ここじゃなかったのか。」と一言。

円: な、なんだアンタ……?

GM: 「ちょっと人を探しているんだ。」

円: 誰をだよ?

GM: 「まあ居ないならいい。……そうだ、少し試してみるか。UGNの期待のニューフェイスとやら。どれだけの実力かな?」

円: あざみと由奈のことだと思ってます(笑)。

あざみ: 円だなぁと思ってます。(一同笑)

GM: で、彼がぱちんと指を鳴らすと、三体の群れが円に襲いかかってくる!

薫: これは戦闘かな?

GM: はい、戦闘になります。

三人: はーい。

薫: やった! 私出ないー♪(一同笑)そしたらクライマックスで侵蝕率同じ感じー♪(笑)


 ●第1ラウンド

GM: では、セットアッププロセス。戦闘に参加している人、挙手―!

円&あざみ&由奈: はーい!

GM: OK。セットアップに使うエフェクトがある人は、今どうぞ。

三人: ないですー。

GM: では、イニシアチブプロセス! 敵は、トループです。

由奈: エンゲージしてる?

GM: 不意をつかれた感じもあったので、円にエンゲージしてるということで。

円: わあああぁ! 一大事!!(笑)

あざみ: オレ、円の腕引っ張ったよ?

GM: そういやそんなこと言ってたな。じゃあ、あざみもエンゲージだ。

由奈: こっちのイニシアチブは13だよ!

GM: 由奈がいちばん早いね。どうぞ!

由奈: では、マイナーで《雷の加護》。

GM: バリバリバリバリ!!

由奈: 肩につくかな、くらいの長さの髪の毛が、静電気でふわっと広がります。(一同笑)で、メジャーで《コンセントレイト:ブラックドッグ》《雷の槍》《幻惑の光》!!

GM: ぶっ! ガチのコンボだ!

あざみ: ヤる気だ……。

由奈: 勿論です! えんちゃんを守らなきゃ!!

GM: まさか……ここで圧倒的な力を見せつけるというのか……ニューフェイスの力が見れないじゃないか。(一同笑)

由奈: (ダイスを振る)うーん、でも低い。……21。

GM: それはリアクションを宣言だよ。《竜鱗》!! 血塗れの肉の塊だと思われたものからボコボコボコッ! と血を噴き出しつつ器官が生えます。今回は鱗のような、毛のような器官だ。

由奈: では、ダメージを。(ダイスを振る)22点!

薫: あ、ちょっと通った?

GM: 当たり。ちょっと通った。

由奈: そして放心が入ります。

GM: OK。ぼーっとしてる感じはするが、君の必殺の雷は、肉の塊をロクに傷つけられていない気がする。

由奈: そんな……! と、目を見開きます。

GM: では次の人どうぞ! イニシアチブ9の人。

あざみ: オレは待機!

円: じゃあ、いきます。マイナーはなし。メジャーで《大地の加護》《大地の牙》《コンセントレイ……って、そんなこと出来なかった!! エンゲージ離脱しないと駄目だ!

GM: 君は、体内のレネゲイドウイルスからそれを教えられた(笑)。

薫: (低い声で)逃げろ……ここでは無理だ……。(一同笑)

円: なんとなく本能的に察して、大慌てで部屋の奥の方に逃げます。

あざみ: オレはエンゲージしたままで戦おう。

薫: あざみしか装甲値無視攻撃できないからな。

GM: 敵は《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》《渇きの主》で攻撃します。(ダイスを振る)達成値は21!

あざみ: ガードしますよ。

GM: (ダイスを振る)ダメージは9点の装甲無視。

あざみ: 《歪みの体》で4点防いで5点ダメージ。《赤河の支配者》は……いいや。くらっておこう。

GM: すると、掴まれたところから、水分が吸い取られた感じがする。そして敵が元気になった! さっきくらったダメージが全快です。

薫: まあアイツ2点しかくらってないから平気だよ。

GM: 分かったことが一点。こいつら、あまり攻撃力はない。爪とかは生えてないんだ。

あざみ: じゃあ、オレ攻撃しようかな。

薫: 今、ダメージ与えられるのがあざみしかいないから、頑張って!(笑)

あざみ: 《渇きの主》《コンセントレイト:ブラム=ストーカー》で攻撃しまーす!(ダイスを振る)16!

GM: 16か……うむ。バカの一つ覚えで《竜鱗》と言ってみた!

あざみ: ダメージ行くぜ。2D-5で、(ダイスを振る)11点!!

GM: 11点が素通りだ。

あざみ: そしてオレは、4点回復ー。

GM: だが3体は連携して、まだまだ元気!

円: ダメージが与えられる気がしねぇ……。

GM: これで1ターン目終了。なんですけど、後ろで見ていたスーツ姿の男が、何も言わずに円の動きを見つめています。

円: なんなんだよう、怖いよう……。


 ●第2ラウンド

GM: では次のラウンド。

由奈: そして私の番、だけど……。

薫: もう、あざみに任せちゃえばいいんじゃない?

円: 部屋の隅で震えていようかなぁ……。

GM: やる気ねぇー!!(一同笑)

円: 俺の力見に来たのに、全然意味がない感じに……。

GM: (円に)お前さん狙われてますよ? 理解してますか?

円: 理解しない。理解しないぞ! これは夢だ。(一同笑)

由奈: まだ言ってる(笑)。まあ、さっきと同じコンボで攻撃するよ。(ダイスを振る)クリティカル。(ダイスを振る)また回った!(ダイスを振る)もう一回回った!

一同: おおおおおおおおっ!?

GM: 割と本気だぞ、コイツ!!

由奈: あー……止まった。でも38!!

GM: 《竜鱗》ーっ!(笑)

由奈: (ダイスを振る)ダメージも高い! 34点!! と、放心!

GM: 14点通ったね。

あざみ: 次はオレらか。

円: 俺が先に動いちゃおうかなぁ。

薫: あざみは相手の攻撃受けた後でもいいしね。

円: じゃあ、《大地の牙》《大地の加護》《コンセントレイト:オルクス》!

GM: 今度こそエフェクトが発動するわけだ。ちょっと演出しようか。君の体内のレネゲイドが教えてくれるわけだが。(一同笑)

薫: (低い声で)アレだ……アレを使え。

GM: 何を教えてくれるかと言うと、“ここは君の領域だ”。

円: なんか、やれるような気がしてきた!

GM: 感覚的に、この空間を自在に操れることを意識する。

円: (ダイスを振る)!! クリティカルしない……。

GM: なんだって!?

円: 達成値10、です。

GM: ……《竜鱗》。

円: ダメージは2Dで(ダイスを振る)お、23!!

GM: 3点通った! 合計17点くらってる!!

円: よかったー。

GM: 円は、周りの空間が自分の意識下にあることを把握する。

由奈: 私としては、えんちゃんを戦闘に参加させちゃったことで、ちょっとショック受けてます。

あざみ: じゃあそんな由奈たんを見て、ちょっと舌打ち(笑)。

GM: ああああ……(笑)。

由奈: あうー、またえんちゃんとあざみ君の仲が悪くなっていくー。

GM: (ジャームの思考回路をトレースして)あざみにも攻撃されて、由奈にもやられた。でも、指示は円をやれ、だった。………ガー!! と円の方に向かう。

薫: メジャーアクションを消費した!?(笑)

GM: メジャーアクションで離脱! そして円にエンゲージ!!

薫: じゃあ、あざみがマイナーでエンゲージしてメジャーで攻撃して、円が次のターンのメジャーでエンゲージ離脱して……ってやれば倒せるんじゃないか?

あざみ: じゃあそれで!(一同爆笑)マイナーでエンゲージ!

GM: されちゃった☆

あざみ: メジャーアクションで、さっきのコンボです。

GM: はいよ。

あざみ: とう!(ダイスを振る)18!!

GM: 18かー。《竜り…あ、ちょっと待った。あざみには《竜鱗》効かないってもう判ったから、ドッジする!(ダイスを振る)ぐは!! 達成値7。(一同笑)

あざみ: ダメージは(ダイスを振る)7点!

GM: くらった! 計24点食らってる。

あざみ: そして4点回復。もうすぐ侵蝕率80%行くよ。

由奈: 私、もう行ったよ!

円: 皆すごいなー。なんか、おいてけぼり感が……。(一同笑)

GM: ここで、待機していたスーツの男が、「チッ」と舌打ちをして、《サイレンの魔女》《流血の胞子》!! 細かい空気の振動に乗せて、彼が身体からばら撒いた毒の粒子が揺れて、虫の羽音のような音を発する!

薫: “BUG’sBUZZ”だ!!

由奈: シーン攻撃っ!?

GM: ただしこれはクリティカルが下がらないので、(ダイスを振る)達成値は12!

薫: バッドステータスの邪毒が入る! 避けるんだ!!

由奈: (ダイスを振る)クリティカルした! 20!! 雷で毒の粒子を叩き落すっ!

GM: おお、由奈が避けてる!

あざみ: オレはガードを宣言!

円: こっちはドッジ(ダイスを振る)10だ。

あざみ: 円をカバーリング!《崩れずの群れ》を使う!!

GM: ダメージは(ダイスを振る)低いなぁ。11点の装甲値無視!

あざみ: ガード値引いて7……の二倍ダメージだから14点くらった。で、ここで《赤河の支配者》! 9点減らして、5点くらった!!

GM: そしてバッドステータス邪毒を受けてください。ランクは2です。

由奈: おお……。

GM: クリンナップフェイズに6点、ダメージをくらいます。解除は、アイテムかエフェクト、又はタイタスを使用しないと出来ません。

あざみ: わかったー。

GM: そして、ここで全員の行動が終わったので、クリンナップになります。あざみに6点ダメージ!

あざみ: ぎゃー!!

GM: というところで、“BUG’sBUZZ”はこんなことを言います。「さすがに彼女が指導しただけのことはあるな。いい動きだ。ビギナーにはキツかったか。……本番を楽しみにしているよ。」そして、セットアップが起こる前に離脱を宣言!


 「ああ、それは土産だ。精々楽しんでくれ。」

そう言い残して、“BUG’sBUZZ”が姿を消した。


由奈: くっ! とりあえずコイツは倒さなきゃか……。

GM: そうだね。


 ●第3ラウンド

由奈: 一回の攻撃で、侵蝕率が8上がるんだよねー……。よし。同じコンボで攻撃ー!(ダイスを振る)またきた! 達成値37!! さあ、《竜鱗》するがいいよ。

GM: うん(笑)。《竜鱗》ー。

由奈: ダメージは、(ダイスを振る)30点!! 10点通ったか。

GM: ぶっ!? 結構くらってる!! 半分削れた!

一同: やっと半分っ!?

あざみ: おし。殴りますー。同じコンボでー(ダイスを振る)18!

GM: 放心くらってるのか。(ダイスを振る)ドッジで5!!(一同笑)

あざみ: (ダイスを振る)ダメージ低いっ! ……4点。

円: 俺はマイナーでジェネシフト!(ダイスを振る)2Dで、18も上がった。79%になった。で、メジャーでエンゲージ離脱。

GM: で、ジャームの攻撃。……逃げたなー。また追っかけるの面倒だしなー。目の前の奴弱ってるし、叩くか。(ダイスを振る)32!

あざみ: ガードします!

GM: ダメージ14点。

あざみ: ガード値で4点減らして、《赤河の支配者》使って(ダイスを振る)13点減らす。

薫: カイーン(笑)。

GM: 防がれたかー。しまった、選択間違ったな。しょぼーん……。【HP】は34まで戻った。

由奈: 長丁場だ……。

GM: あ、これでラウンドが終わるので、邪毒のダメージを!

あざみ: はーい。


 ●第4ラウンド

GM: さて、次のラウンドですね。

由奈: えと、マイナーの《雷の加護》を抜きまして……。

GM: あ、抜いた。

由奈: 侵蝕率上がりすぎちゃうんで。達成値は(ダイスを振る)ん、25! どうせ《竜鱗》だろうけど。

GM: 《竜鱗》ーっ。

由奈: (ダイスを振る)はぅ、ダメージ低い。24点。

GM: 4点通ったー。

薫: 毎ラウンド4点回復するんだよなー、アイツ。

由奈: そうね。

GM: しかし、放心がマジ嫌だなー……。

由奈: あっはっはっは! そうだろう(笑)。

あざみ: 侵蝕率が97%になって~、とう!!(ダイスを振る)きた! 39っっ!!

GM: それは……っ! ……ドッジ。

薫: 無理だろう(笑)。

GM: (ダイスを振る)クリティカル! ……したけど、19で止まった。

あざみ: ダメージが(ダイスを振る)16点!!

GM: 累積ダメージ52。おおっと! マジか!? そろそろ落ちる!?

薫: おおっ! いけるいける!!

円: いつものコンボで(ダイスを振る)20、30、40!

GM: 主人公力を見せつけ始めた!!

円: 46っ!!

GM: そ、そ、それは……《竜鱗》っ!!(一同笑)

円: ダメージ!(ダイスを振る)31+8で、39!!

一同: おおおおおっ!?

GM: そうすると、オーバーキル10点!!

一同: やったあああああ!!(拍手)

GM: 円が空間を捻じ曲げて突き出した、カーペットの槍が……。(一同笑)

円: なんか、あんまかっこよくないよ(笑)? 屋外でやりたかったなー……。

GM: ジャームの剛毛と鱗を貫きました! そのままジャームは肉体を維持することが出来ず、断末魔の悲鳴をあげながら、ざらざらと崩れ落ちていきます。

円: 気持ち悪いと思いつつ、自分の力にドキドキする。

由奈: えんちゃんの力に、ちょっと呆然としてます。

あざみ: 苦々しい顔で溜め息をつきます。


 自分が倒したジャームを見ながら、円は考える。

この事態に、優日が関係しているのか?

自分は彼女の為に、何をしてやれる――――?


12◆進撃          Master Scene


 怒号の飛び交う、UGN支部。

オペレーター達が必死の形相であちこちに連絡をしている。

「早く戦力を集めろ!」

「駄目です!! 何処の支部も間に合いそうにありません!!」

「“Duzzle Spear”と“Red Criff”に連絡が取れました! すぐにこちらに向かうそうです!!」


 一方その頃。

“BUG’sBUZZ”が張った、ごく狭い範囲の《ワーディング》の中を進軍するジャームたち。

その中の一匹の肩に乗っていた優日が、ふとあらぬ方を見やる。

「どうした?」

“BUG’sBUZZ”の質問に、優日が答えた。

「やっぱり、会ってきたい。」

その言葉に深くため息をつくと、“BUG’sBUZZ”は前を見据えたままで言う。

「一時間後だ。それ以上は待てん。」

「わかったわ。」

そう言うと、優日はジャームの肩からひょいと飛び降りて、闇の中へと走っていった――――。


13◆優日と円          シーンプレイヤー:倉木円


 あの後。

UGNの支部から連絡が入り、由奈とあざみは慌てた様子で支部の方へと向かった。

敵が、UGN支部を襲撃してくるのだそうだ。


GM: というところで、円のシーンだよ。

円: はい。

GM: 君は今何処にいる? 二人は慌てて出て行った。これから決戦だそうだ。

円: いまいち踏ん切りがつかずに、もやもやした気分を抱えながら、部屋を片付けています。

GM: するとノックの音がする。トントン。

円: かったりーなぁと思いながら覗き窓を見る。

GM: そこには、にっこりと笑っている、大変かわいらしい優日さんが居ます。

円: 優日かと、ほっとしつつも、ちょっとぞっとして、ドアは開けずに聞く。――――どうしたの?

GM: 「会いたくなっちゃった。」

円: ……そっか。丁度俺も優日に会いたかったんだ。

GM: 「ああ良かった!」

円: ……聞きたいことがあるんだけど。

GM: ドア越しで?

円: うん。開けてなるものか。(一同笑)

GM: なーぜだー!?

由奈: 心の距離だね(笑)。

GM: 「聞きたいことって、なに?」

円: ……貴千、優日なんだよね?

GM: 優日はけらけらと笑って言う。「何言ってるの? 当たり前じゃない。優日だよ、貴千優日。まどかちゃんと約束した……。なんで扉を開けてくれないの?」

円: (素になって)かわいい~。超かわいい~!!

由奈: 萌えてる(笑)。

GM: なんというヤンデレ好き!? ここはぞっとするところだぞ?(笑)

円: 円はぞっとしてるよ。(一同笑)……一体君は何者なの? あ、えと……君は、何をしようとしてるの?

GM: 「まどかちゃんを迎えに来たの。貴千優日、だよ。」

円: 君は……FH、なのか?

GM: 「――――そんなこと心配してたんだ。大丈夫だよ! FHにいるのなんて……(暗い声で)あの子にも言ったけど……(声を元に戻して)ただの手段でしかないの。私はあなたを迎えに来たの。ただそれだけだよ?」

円: …………。

GM: 「何も変わってないよ? ……ねぇ、開けてよ。一緒に……ねぇ、手を繋いで?」

円: (素になって)ああ、もう……かわいい♪

薫: 落ち着け!!(笑)

GM: 「お願い、まどかちゃん!」

円: ドアに手を当てながら、……一緒には、行けないよ。

GM: 「(叫ぶように)なんでっ!?」

円: ――――っ!

GM: 「(優しく)なんで……?」

由奈: 優しい声で聞きなおした!? 余計怖い……。(一同笑)

円: 俺は、今の生活を壊したくないよ。

GM: 「壊れちゃうよ? すぐに壊れちゃうよ。こんな、日常なんて。私のだって壊れちゃったもん。」

円: …………。


 言葉に詰まる円に、優日は畳み掛けるように続ける。


GM: 「もう知ってるでしょ? 外から見えたもん。まどかちゃんの部屋、ボロボロじゃない!」

円: うん、まぁ……酷い有様だなぁと、中を改めて見る。

GM: 「まどかちゃんもしたんでしょ? もう、傷つけたんでしょ?」

円: ……。

GM: 「一緒だよ? 何も怖がることなんてないよ。これが本当の姿なの。世界の。」

円: ――――っ! 違う!!!

GM: 「!?」

円: もう君とは一緒に居られないよ。……約束守れなくて、ごめん

GM: 「っ、なんで? なんでまた約束破るの!? ……酷いよ。だって、昔はあんなに一緒に……一緒に居ようって、言ってくれたじゃない!」

円: !

GM: 「まどかちゃんは約束してくれた!! ずっと一緒に手を繋いでいてくれるって言った!!(泣き声で)……なんで一緒に来てくれないの?」


 まくし立てる優日に、円は静かに告げた。


円: ……俺のことをね、守ってくれる人が居たんだよ。その人達を君が傷つけるって言うなら、俺は一緒には行けないよ。

GM: 「な、何……言ってるの? 私だって守ってあげるよ!? 私、強いんだよ? まどかちゃんのこと、守ってあげられるよ? 今度はなくさないの!!」

薫: ヤンデレじゃない……こいつは、病んでる。

あざみ: いっそ哀れな程に……。

円: ………。ドアを、開けるよ。

GM: 泣きはらした目の優日が、満面の笑みで円を見上げる。

円: 優日の頭をよしよしして。

GM: もう今にも死んでしまうんじゃないかっていうくらいに幸せそうに微笑む優日。

円: ……ね、俺の言うこと、聞ける?

GM: 「(即答)うん! 聞ける!」

円: 俺……手伝いたい人がいるんだけど。

GM: 誰?

円: 学校の、友達なんだけど……。

GM: 「うん! なんでも聞いてあげる! でも――――それは邪魔者を消してからね。」

円: (納得した、という風に)ああー……。

GM: 「私とまどかちゃんのこと、邪魔する奴が居るの! 凄く邪魔だよね? 邪魔だから……消しちゃったらいいと思うんだ。うん! これから消しにいくところだった!!」

円: うわああああ! そっち行くのか!! うーん(少し考えて)……君が行きたいところに、俺も連れて行ってくれる?

GM: 「いいけど。でも、邪魔はしないでね? その間だけは駄目だよ? 邪魔したら♪」

円: …………。

GM: 「私信じてるんだ。今度こそ……邪魔者消したら、一緒に暮らしましょう?」と言って、優日は君にキスをした。

円: もっかい頭をよしよしってする。

GM: ぎゅ、ってしがみつく。そして、優日はくるりと踵を返して「じゃあ、急いでいくから。あ! もうこんな時間!! ……場所は、UGNの支部。知ってるよね?」

円: ……ごめん、分からないんだけど、俺を連れて行ってくれるかな?

GM: 「んー……恥ずかしいなぁ。」とはにかんで、優日は君を抱きかかえる。(一同笑)

あざみ: お姫様抱っこだ!!

GM: 「ホントなら私がしてもらいたいんだけどなぁ。」

あざみ: (思わず素になって)か~わ~い~い~!!!!(一同笑)

GM: 「あとで、お願いね?」と言うと、走り出した! ということで、常軌を逸した状況下……。

円: もうどうしていいのか分からないから、ぐだってしまったよ。ゴメン(笑)。

GM: 却って心の整理つかなくなってる人が居る。

薫: とうとう連絡は来なかったか……。

円: どうしても、優日に対して、敵対すべき人だという認識が持てないから……。

薫: まあ、実際に化け物相手に彼女が命令をしている姿を見れば、何か君の中で変わるんじゃないかな?

円: とにかく現場に行ってみないとな、と思った。

GM: まあこれで、変わってしまった優日とのコミュニケーションも取れたんで、仕込みは完了でしょう。クライマックス行きます!!

一同: はーい!


 優日に抱えられてUGN支部に向かう円。

自分はどうするべきなのか?

答えは決まらないまま、ただ状況だけが変わっていく――――。

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