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02

Middle Phase


01◆変化した世界         シーンプレイヤー:倉木円


 円が目を覚ました時、最初に見えたのは、真っ白な天井だった。


GM: えー、ミドルの1は、円が状況を把握する為のシーンです。

円: はい。

GM: 平日の病室ですね。

薫: GM! 円くんが気が付く前に、ノートパソコンをカチャカチャやりつつ、FHの動向を、<情報:FH>で調べていいですか?(←登場)

GM: いいよ。……って、<情報:FH>なんてあったっけ?

薫: ないですよ。でも、<情報:UGN>もレベル持ってないんで。(一同爆笑)

GM: そんな支部長……(笑)。

薫: コネ使って調べまーす。(ダイスを振る)やった、8!

GM: 8だと、UGNが総力を挙げて調べて解ったことが一点。これはFHの仕業だ!

薫: (自信満々に)やっぱりだ!!(一同爆笑)

GM: とそこで、円が目を覚ましますよ。

薫: お、じゃあ彼に声をかけます。目は覚めたかね?

円: はっと、そちらを向いて、……どちら様ですか?

薫: なぜか白衣姿で、ノートパソコンをカチャカチャやりながら、そちらを向く。眼鏡がキラーン☆ とか光ったりしながら。(一同爆笑)そして聞く。君は、事故に巻き込まれたときのことを覚えているかい?

円: 事故……って、何の事故?

薫: 今、世間を騒がせている、毒ガス発生事件だよ。

GM: 何なら、持ってきたテレビつけると、今、昼間だし、きっとワイドショーで続報やってるよ。

円: ちっちゃいテレビを、ぼーっと眺めています。

GM: すると、画面に映っているのが、まさに君が倒れた踏み切り周辺だったりするわけです。

円: なるほど。で、テレビから大体の情報は得ましたってことでいいのかな?

GM: はい。事件の規模が、商店街という大きな範囲で起こっていることと、毒ガスの詳細がまだ分かっていないということで、騒ぎになっている。あ、一日経ってるので、このガスが自然発生的なものではないかという情報も得られます。

由奈: 火山ガスみたいな?

GM: そうそう。

円: つまり、俺はこれに巻き込まれてここに運ばれた、ってこと?

薫: ええ。そうです。――――そして、この事件は普通の事件とは違います。

円: 何言ってんだ、こいつ? みたいな顔します。

薫: この国の警察が全力を挙げて捜査していますが、未だ、このガスの正体などは分かっていません。いきなりで信じ難いかもしれませんが……これは、超常の力によって起こった事件です。

円: (鼻で笑って)漫画の話なら、よさねえ?

薫: あなたにとっては今まで漫画の世界だったかもしれません。しかしその力は、実際にこの世界に存在してしまっているのですよ。とはいえ、言ってもきっと実感できないでしょう。

円: うん(笑)。

薫: こういうのは、体感してもらったほうがいい。

円: なんだろう、この不穏な感じ……。

薫: 君は、倉木円くんと言ったかな?

円: はい、そうですけど。

薫: 君の一番怖いものは何かね?

円: ひぃっ!? 怖い……。えーと……なんだろう?

あざみ: 親戚じゃない?

円: ああ、そだね。親戚ですけど……。

薫: つまりそういうことだよ。といいつつ《絶対の恐怖》。本当に侵蝕率も上げて攻撃します!

GM: マジで!?

薫: はい!

GM: ……どうぞ(笑)。

薫: (ダイスを振りながら)演出としては、つまりこういうことだよ、と言った瞬間に円くんの視界が真っ暗になり、彼の親戚が、昔の覚えてるままの姿で現れては円くんを責めて消え、また現れて……という感じで。

GM: トラウマになってるような言葉を言うんだな。

円: それダメージ受けたほうがいいのかな?

GM: うわ!? ガチで振ってる!!

薫: こちらは11といって攻撃!

円: これ、ドッジ出来るんだよね……(ダイスを振る)あ、3だって。

薫: では、(ダイスを振って)14点ダメージ!

円: うおお……【HP】が13になった!

薫: そこで、帰ってきなさい!(と言いつつ指をはじく)ってやると、円くんは暗い闇から引き出される。

円: 泣き出しそうになりつつ、がたがた震えながら教授を見ます。

薫: こういった能力がこの世の中あちらこちらに、はびこっています。

GM: はびこるって言った、こいつ……(笑)。

薫: 貴方もその力に目覚めてしまっているはず。

円: 何言ってるのかわかんないよ! と言って拒否の姿勢をとります。が、ああ、本当なんだろうなー、と頭のどっかで思っています。けど信じたくない。

GM: ここで<RC>の判定をしてみてください。

円: はい。(ダイスを振る)お、クリティカルして、19。と、<RC>のレベル足して23!

GM: では、何となく今の話を聞いて、君は自分の中に、確かにそういうモノがあるのを感じ取ります。そして、衝動は?

円: 吸血です。

GM: 血を吸いたいという衝動が自身の中にあるのを、はっきりと感じ取りますね。

円: うわぁ……。

薫: この力は――――と言って、ルールブック271ページからのことを話します。(一同笑)で、FHのことまで話す。

円: 悪い奴だ、と。なるほど。頭は回る子なんで、言われたことをとりあえずは覚えました。

薫: まあ、実感した後なら解りやすいですよね?

由奈: こんな支部長初めて見た(笑)。

円: ……で、その支部長の教授さんが、何で俺のところに?

薫: この力が関係した事件が、今この街で起こっていて、君がこの力に目覚めてしまったからです。


 薫は、語る。

今のまま円を放置しては、力に溺れてしまう可能性もある。それに、この力は、たった一人で一個大隊を相手に出来てしまうほどの代物。そんな能力者が居る相手を止めようとしている以上、UGNとしては、戦力は少しでも多いほうが良い、と。だから、円に力を貸して欲しいのだ、と。


薫: 倉木さん。貴方の日常を守る為にも、我々に力を貸していただけませんか?

円: ……押し黙って考え込んでしまいます。

薫: まあ、今、性急に答えを、というわけにもいかないでしょう。私は事件について調査しています。何かあればここに連絡してください(と言って名刺を渡す仕草)。

円: すっと受け取って、じっとその名刺を見てます。

薫: 私は、二日間以内にこの事件を解決したいと思っています。……できれば早期の連絡を。と言い残して退場します。

円: …………。


 薫の話を聞きながら、円は自分の身体の中で“何か”がうずくのを感じていた。そして、思い出す。

そうだ、この感覚は“彼女”を見たあの時から感じていた……。

そんなことをぼんやりと考えながら、円は名刺を見つめた―――。


02◆調査開始        シーンプレイヤー:淵野辺あざみ


 薫が円と話をしていた丁度その頃、由奈とあざみは事件の詳細について、調査を開始していた。


GM: はい、というわけで次は、UGNチルドレンの二人のシーンです。

あざみ&由奈: はーい!

GM: 今日は平日……なんですが、学校とか行ってる場合じゃないんで、調査しててください。

あざみ: えーと、【社会】が1です。【肉体】でしかどうにか出来ません。

GM: 【肉体】で何をするつもりだ?

あざみ: ………ききこみ。(一同笑)

由奈: 私はコネを使って調べようと思います。

あざみ: 何しようかなぁ……?

薫: 何しようかなって……! いいか、今回の事件、FHが関与してることは間違いないんだ!!

GM: で、当時の詳細な報告が、まだ何処からも上がっていないんだよ。実は。

あざみ: あ、そうなんだ。

GM: 情報操作の方に尽力したので、収集の方まで手が回っていないんだ。やたらでかい事件だったので、今朝の時点で「自然発生的なガスが原因だ」というところまで持っていくので精一杯だった感じ。

由奈: <情報:UGN>で調べれば、そこらへん分かるのかな?

GM: うん。君たちはこの街の人間だし、この近くの情報は一番仕入れ易い立場に居ると思ってくれればいいよ。だから、<情報:UGN>で調べてくれて問題ない

由奈: あと、<コネ:警察>と<コネ:裏社会>があるんだけど、そっちはどうかな?

GM: 警察関係だと、レネゲイド関係の事件を扱ってるR担って方々がいるので、そっちから情報が聞けるんじゃないかな。

由奈: じゃ、そっちで調べるのもアリか。それじゃあ、<コネ:警察>使って調べようかな。

あざみ: じゃあ俺はUGNで……。

GM: (あざみに)まあ、1D振って10が出る可能性もあるから。

あざみ: そう!! クリティカル値は皆と変わらないよ!!(ダイスを振る)お!

GM: ほんとにクリティカル出たよ!?(一同爆笑)

あざみ: 達成値は、技能足して12!!

由奈: (ダイスを振る)警察の方は、達成値6。

GM: 君たちは警察のR担だったり、UGNのエージェントに指示を出したりしながら断片的な情報を集めました。

由奈: ふむふむ。


 二人の調査の結果、同じ毒物事件として扱われている今回の事件が、実は、毒物と《ワーディング》の二段構えになっていること、重傷者・死亡者の方は、オーヴァードが自ら生成した化学物質による体細胞を破壊する毒物の被害者であること、そして体調不良を訴えている者は、《ワーディング》の影響だろうということが分かった。更に、時間的に見ると、毒物が散布された後に、《ワーディング》が張られたということも判明した。


由奈: へぇ……。

GM: で、R担の方から、現在話が聞ける状態にある人を何人か紹介してもらえる。直接話を聞きに行ったりしてみるかい?

由奈: うーん、高校生だけで話聞きに行っても変な感じするんで、R担の方に協力してもらうことにします。

GM: となると、R担の人が「ちょっとお話聞かせてもらってもいいですか?」ってやってるところに、のこのことついていくことが出来る。

あざみ: のこのこ(笑)。

GM: では、R担の人が連れてきてくれたのが、いかにも体育会系で身体がっしりしちゃってる感じのお兄さん。これは、ちょっとくらい体調悪くなっても、もうピンピンしてておかしくないなって感じの。(一同笑)

由奈: ベッドで腹筋とかしてそうな感じの(笑)。

GM: そうそう。で、「あれ? そっちの二人は?」とかって感じで見られるんだけど、R担の人が「今回の事件の関係者なんだ。色んな人に話を聞いて回りたくてな。」という感じで言ってくれる。

あざみ: こくこく頷いておく。

GM: 「ああ、あんたらもあの現場に居たのか。」みたいに話を振られますが。

由奈: ええ、まあ……。と曖昧に答えます。

GM: ん。で、刑事さんは普通に聞き取り調査をしていくんですが、合間に挟んで何か言うなら、<交渉>または<情報:噂話>で判定してみてください。

由奈: <交渉>じゃあ1個しか振れないので、<情報:噂話>で振ります!(ダイスを振る)9!

GM: 9だと、体調不良で倒れるときに、高校生くらいの男の子を抱き上げた女の子が居たんだっていう情報が手に入るね。

由奈: 若い女の子ですか?

GM: 「ああ。中学生か、高校生くらいだったなぁ……。」

円: 結構パワフルな……。

GM: R担の人は、淡々と「そうかい。その女の子の顔は分かるかい?」とか聞いて、似顔絵を描いて2つ渡してくれる。「真偽の程はアンタ達が確かめてくれ。俺達に出来るのはここまでだ。」

薫: おおー! かっこいい!!!

GM: 片方が女の子、もう片方の似顔絵は持ち上げられてた男の子のなんだけど――――。

由奈: ……あざみ君。これ、えんちゃんに見える。

GM: (由奈に)正解!! で、女の子の方なんだけど、円に負けず劣らず、暗い雰囲気を醸し出している。(一同笑)

あざみ: 女の方の絵を指差して、じゃあこっちは? って聞きます。

由奈: 妹……さん?

円: 暗い雰囲気繋がりでね(笑)。

あざみ: ああ、なるほどね。似てるわ。(一同笑)

由奈: でも、妹さんなんて居るのかなぁ?

あざみ: ていうか、妹が兄貴抱きかかえるのか?

GM: ここは<情報:噂話>で調べると、円の家族関係が把握できる。

由奈: よし!(ダイスを振る)8!

あざみ: (ダイスを振る)9!!

薫: ここで財産ポイントを使えば……。

あざみ&由奈: 財産ポイントって、おいしいの?(一同笑)

GM: まあ、その達成値なら、ロイスも持ってるお友達ってことで家族構成が分かります。(円に)一人っ子ってことでよかったよね?

円: うん。

GM: 挙句、両親いなくて、親戚中たらい回しにされてるんだよね?

円: そうそう。で、疎遠だから、今は一人暮らし。

GM: ということが分かります。

由奈: うーん……。

GM: ちなみに女の子の影もちらついてないよ。というか、一番親しい女の子って由奈なんじゃない?

円: ああ、うん(笑)。

薫: あざみが調べると、由奈が女の子の影としてちらついてくる。

あざみ: (似顔絵をかざしながら)由奈と見比べて、う~ん……違うよなぁ、と呟きます。

由奈: ん? って小首を傾げます。

GM: 全然違うねぇ(笑)。

あざみ: そう、絵のヤツのほうが胸が――――。

一同: そんなとこ見てんのか!

GM: それは、体育会系の彼が「いやしかし、乳はでかかった。」って言ったってことだよね?

あざみ: そうそう。

GM: うわー……(笑)。まあ、他、何もなければこのシーンを閉じたいと――――。

由奈: あ! 似顔絵を二枚とも支部長にメールします。他の情報もまとめて一緒に。

薫: ありがとう。

由奈: えんちゃんだよなー……って思いながら送ります。

あざみ: だよなー……って思ってるよな~、って思いながら見てます。

由奈: 悟られてる!?(一同笑)

GM: ハンドアウト見たら、そりゃあねぇ(笑)。長年一緒にやってきたパートナーですもん。


 クラスメイトの円が、こちら側の世界の事件に巻き込まれている――――。

自身の“日常”が侵蝕されてゆく感覚に眉をひそめる由奈。そんな由奈を、あざみは心配そうに見つめていた。


03◆幼馴染       シーンプレイヤー:倉木円


 無事退院しての帰り道、円はぼんやりと自分が倒れたときに見かけた女の子のことを思い出していた。そこへ――――。


GM: ここからは、一人ずつのシーンになっていきます。他の人たちは、いいよって言ったら登場可になります。

一同: はーい!

GM: では、円のシーン。

円: はい。病院から家に帰ってきます。

GM: 帰ってきました。

円: 名刺もらっちゃったし、連絡しなきゃかなーと思いながら……倒れる前に見たあの子が、幼馴染かどうかってのは判ってもいいのかな?

GM: 思い出すのには判定が用意してあります。<意志>で判定してください。

円: よし、得意分野。振るぜ!(ダイスを振る)13!!

GM: 13!? ……いい値出すねぇ(にやり)。

薫: ここで財産ポイントを使うと……。

由奈: 自分に向かって財産ポイント使うの!?

あざみ: 大好物のお菓子を買ってきて食べるとか?

GM: んー、まあ情報収集の一環として、例外的に認めましょうか。

薫: 因みにいくつが出るといいとかあります?

GM: この項目は最高達成値14までしか用意してないんだ。

円: お! じゃあ1使ったら14出るんで、昔っから好きだったお菓子でも買ってきて……。

GM: では、コンビニまで歩きながら考えてたことにして下さい。で、歩く道々、ボケーとしながら彼女のことを徐々に思い出していきます。

円: はい。

GM: まず1つ目……達成値3~5だと分かるんですが、これは、ハンドアウトに書いてあることが分かります。

あざみ: それ、情報収集の意味ない(笑)。

GM: そして、円はその続きも思い出します。「ずっと一緒にいようね」そう言った後、優日はゆっくりと君に近づいてきて、そっとキスをした。

あざみ: !! ちゅーした!!

GM: それにどう答えたかは、円次第なんだけど……。

円: えと、当時、優日のことがちょっと好きだったんだろうから、ただの口約束だと思いつつも「うん」と答えたということで!

GM: OK。そして、3つ目。優日が、小さな頃にそんなことを思いつめた表情で言っていたのには訳がありまして、彼女は、自分の父親を知りません。で、母親が再婚した男性は酒癖が非常に悪かったです。で、義理の弟とも、その時期ぎくしゃくしていた。

円: うん。

GM: 普段は大変優しい彼女が、家族の話題になると、いらだった様子を見せることもありました。そして最後に。そうした環境が、彼女の心身に多大な影響を与えていたのだろうということを思います。

円: ん?

GM: まあ、優日の体が周りと比べて発育が極端に悪かった、ということですね。

あざみ: で、巨乳?(一同笑)

GM: 巨乳ネタを出した覚えは俺にはないぞ(笑)? ともかく、彼女のことをそんな風に思い出しながら、近くの公園を通りかかりました。夕暮れ時です。すると、キイ、キイとブランコの音がする。

円: じゃあ、お菓子くわえたままそっちを見る。

GM: 円が気になって公園に入ってみると、そこに彼女が居た。周りは人気がない。

円: 一目で優日だと分かりますか?

GM: 分かります。これだけ鮮明に思い出していた円なら、間違えようが無い。彼女は昨日と同じ服を着ている。そして――――。


 優日が着ている服は、円が一緒に通うはずだった中学校のものだった。


円: ……っ!

由奈: そりゃ、中学生か高校生かわからないよねぇ……。

GM: 優日は静かに、とことこと近づいてきてですね、上目遣いに「おひさしぶり。」と言う。

円: (呆然としつつ)……久しぶり。

GM: 優日はすっと手を伸ばしてきた。

円: どうしたらいいんだろうと思いつつ、その手を見つめます。

GM: 小さい頃、よく手を繋いでいたなというのを思い出していいよ。

円: ……手、繋ぐの?

GM: 「お願い……してもいいかな?」

円: 周りに人が居ないのを確認してから、控えめに手を繋ぎます。

由奈: こっそり木の陰に登場します。

あざみ: 壁に登場します。

GM: おまいら……。まだ駄目です。(一同笑)


 円が手を繋いだ瞬間、優日の顔が花のほころぶように華やいだ。

小さい頃も、こんな笑い方をしたな……と円は思い出す。


GM: 「……ありがとう。」というと、優日はとても大切なものを抱きしめるようにぎゅっと手を握る。

円: 控えめに手を握り返す。

あざみ: (間髪入れず)エロい!!(一同爆笑)

GM: 少しの間、驚いたようにしていた優日は、だんだんと力を抜いて目を閉じ、その心地よさを楽しむようにじっとしています。

由奈: ちゅーしろ、ちゅー。


 お前ら落ち着け。


GM: 目を開いた優日は、満足げに微笑みながら円をまっすぐに見つめて、「あの時の約束、覚えてる?」

円: あの時って……?

GM: 「私とあなたが、離れ離れになる前のことかな。」

円: ……。

GM: 円が黙っていると、優日は、眉根を寄せて心細そうに君を見上げている。

円: (小さく)……一緒の中学、行けなくてごめんね。

GM: 彼女はほっと胸を撫でおろして「――よかった、覚えててくれたんだ。」

円: (素になって)かわいい……♪(一同笑)

由奈: 中の人がときめいてる(笑)。

GM: 「今からでも、大丈夫だよ?」

円: ん? ……今から、って?

GM: そうすると彼女は――――えっと、小さい頃なんて呼ばれてたことにする?

由奈: しまった! 先にえんちゃんと呼んでしまった(笑)。

円: えんちゃんでかぶるのもなんだし、「まどかちゃん」で。

GM: では、「まどかちゃんは今、ちゃんと幸せ?」

円: 返答に詰まります。(一同笑)

GM: すると更ににこにこ笑いながら、「じゃあ、一緒に暮らそ?」

円: え…? でも……と何と答えて良いやら、口ごもります。

由奈: 登場したい……。

GM: 優日があと一言言ったら、登場可能になります。

由奈: はーい!

GM: 「――――よかった、まどかちゃんがもう目覚めてて。」

円: ! ……びくっとします。

GM: では、好きなタイミングで登場したいって手を上げていいですよー。

薫: 行け、皆! 私は行かない!! 侵蝕率の問題で!!

GM: 「私ね、心配してたんだ。まどかちゃんが目覚めなかったらどうしようかって。」

円: 目覚める……って、なんのこと? ……認めるもんか。(一同笑)

GM: 「ごめんね、びっくりしないでね。」と言うと、彼女がすっと腕を上げて、自分の爪で、手首を思い切りがりっとえぐる。

円: !! ……痛い痛いっ!

GM: すると、普通は血が吹き出る筈なんですが、その血が――――ほとんど垂れない。

薫: ひぃっ!?

GM: 少しだけ地面に落ちた血を見て優日が「こんなことも出来るよ。」と言うと、その血が楽しそうに地面をぴょこぴょこ跳ね回る。

薫: ひいいいい! ブラム=ストーカーっぽい!!

円: (素になって)かわいい……(惚)。

薫: かわいくないよっ!?(笑)

GM: で、にっこり笑って「まどかちゃんは、どんなことができるのかな?」

由奈: そこで登場します!(ダイスを振る)8。

あざみ: 同じく!(ダイスを振る)10。

GM: 二人とも高いな。

円: 大侵蝕(笑)。

由奈: 情報収集終わりに、えんちゃんの様子を見に来たということで。おうちに居なかったので周りを探しに来たら、公園に居た!!

GM: で、ただならぬ雰囲気が漂ってる。

薫: 地面で跳ね踊る血液(笑)。

由奈: (呟く)ブラム=ストーカー……!!

GM: 君たちが来たことに気付くと、優日が《ワーディング》をはります。非常にプレッシャーの強い《ワーディング》だね。

円: なんだろう、これは……。と思って周囲を見回します。

GM: 「邪魔、入っちゃったね。」と言うと、円に微笑みかける。

円: 来た二人に気付いて、気まずい気分になる(笑)。

GM: 「また、ゆっくりお話しようね。……返事、楽しみにしてるから。」と言いながら、優日は《ワーディング》を解いて去ろうとする。

由奈: (GMに)似顔絵の人ですか?

GM: (超笑顔で)うん。

あざみ: 絵と胸を見比べて、……小さいじゃん。と呟く。

GM: 前にそういう設定出ちゃったから、(円に)胸は昔より大きくなってたよ(笑)。

円: ああ、うん(笑)。

由奈: (あざみに)似顔絵の方の胸が誇張されてたから、ちょっとがっかりしたんだね。

あざみ: うん。で、違う違う! と自分突っ込み(笑)。

円: えと、優日が行っちゃいそうになるのを察して聞きます。――――キミは、何処にいるの?

GM: すると優日は、踊るようにくるりと振り返ると、満面の笑みで「一緒に来てくれるの?」と聞く。

円: いや、それは……。

GM: 「急がなくていいよ。でも……(真顔になって)迎えに来るから。」

由奈: ひぃっ!?

GM: 目がマジだね。

円: びっくりする。

GM: 夕焼けの中で凄みを増して、いっそ妖艶にすら見える。

円: ……言葉が出なくなります。

GM: では、「ふふふふっ。」と笑いながら、踵を返して去っていく。

円: ……あんな子だったっけなぁ?

GM: で、優日が立ち去った後の公園です。

円: 呆然としてます。

由奈: (円に)……あの子は?

円: (あざみに向かって)誰だろう、こいつ? と思いながら……。(一同笑)

由奈: クラスメイトじゃないの!?

あざみ: 違うよー。学年は一緒だけど。

円: 知らない奴だなぁと思いつつ。幼馴染……だと思うけど

GM: 大丈夫だよ。ちゃんと幼馴染だったよ。……ついさっきまで(笑)。

由奈: そっか……。(ぱっと表情を変えて)そういえば、体調は大丈夫?

円: ああ、うん。大丈夫。なんか、変な「教授」とかいう人にあったけど。

あざみ: ぎくーん! とします。

由奈: 教授に会った……?

由奈&あざみ: (ハモって)ウチの支部長がごめんなさい。(一同笑)

薫: なーぜだー!! 体感させるのが一番なんだって!!

GM: というのが持論なんだね(笑)。君らもきっとレネゲイド制御の訓練とかって色々されたんだろうね(笑)。

あざみ: ともかく、ごめんなさい。

由奈: あの人、効率(ちゅう)なんです(笑)。

あざみ: そういうところがちょっとついていけないんだけど、まあ悪い人じゃないから。

円: ……やっぱり関係者だったんだ。

由奈: こくりと頷く。で、UGNであることを話します。

あざみ: とりあえず立ち話もなんだし、お前ん家行くか! と肩をポンポン叩きます。

円: 馴れ馴れしい奴だなぁとむっとします(笑)。……別に、いいけど。誰? こいつ。

由奈: 隣のクラスでUGNの、あざみくんです。

あざみ: あざみです。

GM: あざみくんです、って言うと苗字かと思うよね。

円: ふぅん。……あざみ何君だろう? って思いつつ(一同笑)、押しに流された感じで家に案内します。

由奈: いつもどおりだ(笑)。

GM: というところで、シーンが切り替わるので、支部長のシーンにしようか。

薫: ん。


 いつものように周囲に押されて、雰囲気に流され、円は家へと帰る。

だが、普段の学校からの帰り道とは明らかに違う。慣れ親しんだ日常が変わっていくことに、円は不安を覚えていた――――。


04◆貴千優日          シーンプレイヤー:花咲薫


 病院で円に挨拶をした薫は、支部に戻り事件の調査をしつつ、友人である千葉大河に連絡を入れた。


GM: そろそろ本格的に調査に乗り出すのかな、支部長。

薫: やっと調査に乗り出せますよー。やれやれ、16、7の子供のお守りは大変だー。(一同笑)

GM: 思春期真っ只中だからね。導いてやってよ(笑)。

薫: では登場。(ダイスを振る)6。さて、私の執務室。部下のオーヴァードが情報を集めてくるのを待っています。

GM: はい。

薫: さらに、佐々木君からもらったデータを見ながらFHのどんなエージェントが動いているのかを調べつつ、一度、大河に連絡します。

GM: ……なんで? ああ、飲みの約束か。

薫: そうそう。ハンドアウトにあったからね。

GM: その電話を、何時頃に入れる?

薫: 病院から帰ってきてすぐかな。

GM: では、大河に連絡がとれました。

薫: 私だ。

GM: 『ああ、どうした?』

薫: 飲みに行くと言っていたが、すまない、ちょっとした所用が入った。飲むのはこれが片付いてからにしよう。

GM: 『なんだ、教授様も大変だな。』

薫: ああ。……ん? 「も」? ということは大河、インターポールも今、忙しいのか?

GM: 『まあ、年がら年中忙しいさ。』

薫: なるほどな。

GM: 『俺は俺で、一つ片付けなきゃいけないヤマを持ってるからな。』

薫: そうか。じゃあ、お互いのヤマが終わったときにでも、飲みに行こう。

GM: 『俺のはそうそう終わらんさ。だから合間を縫うしかない。』

薫: ふむ……。ま、私の力が必要だったらいつでも言ってくれ。

GM: 『ふっ。……ああ、頼りにしてるよ。』と、大河は言うが、昔のように頼ってはくれないんだろうなということが、薫にはなんとなく分かってしまう。

薫: それを感じ取りつつも――――こちらも頼らせてもらうから、さ。

GM: 『もう忙しくて身動き取れないのか? なんなら今からでもいいぞ。』

薫: やけに情熱的なお誘いだな。……わかった。二時間だったら時間をとろう。

GM: 『では、これからそちらに移動する。一時間ほど待っててくれ。』

薫: ああ。と電話を切って、“やきとん”って店を予約する(笑)。で、大河に会うまでに情報をまとめよう。

GM: OK。

薫: まず似顔絵の人物の……あ、一人はもう会ったから、残り一人について調べよう。佐々木君からメールは来るかな?

GM: いや、時間的にまだだね。

薫: 了解。では……<情報:UGN>でいいですか?

GM: <情報:UGN>と<情報:警察>を一回ずつお願いします。

薫: まずは<情報:UGN>(ダイスを振る)22! そして<情報:警察>(ダイスを振る)6。

GM: <情報:UGN>で22? これはちょっとサービスしていいかも。えと、本当なら警察関係から流れてくるはずの情報なんだけれども……似顔絵の子の名前が割れる。


 一年前にシンガポール沖で起きた地震の津波で船が大破、沈没。

乗っていた修学旅行中の女子高生たちが被害にあった。死者・行方不明者も出ており、その中に似顔絵の子の名前もあった。名前は――――貴千優日。


GM: で、何でこれがUGN関係で出てくるかと言うと、これ実は情報操作をしたレネゲイド関連事件なんだ。

薫: ほう。


 FHの目的は不明。だが、巻き添えをくったのか、船上の人間はひととおり惨殺されていた。

だが、その中で何名か行方不明になっている人間もおり、R関連事件の行方不明者として、優日の名前もリストアップされていた。


GM: で、追加情報。そのシンガポール沖での事件に関係していると目されているFHエージェントが、日本に渡っているらしいという、未確認情報がある。コードネームは“BUG’sBUZZ(毒虫の羽音)”。ただ、コードネーム以外の詳細は不明だ。

薫: きっとソラリス/サラマンダーだよ。(←自分のシンドローム)

由奈: そうか。教授のFHでの名前は、それか。

薫: (由奈に)ちょっと待て、落ち着け?(一同笑)

GM: そして最後の情報。その優日の父親もR関連事件で死亡している。それが半年前。


 優日の父親殺害事件に関しては、殺し方がオーヴァードによるもの、ということが分かっているだけだった。それ以外の動機は一切不明。

暴走したジャームによる事故では? というくらいの情報しかなかった。理由は、彼が日ごろの素行が悪く、ヤクザ組織との関係も噂されている人物だったため。

その組織が抱えているジャームによる事件だとすると、UGNではフォローがしきれないため、重要性なしとして放置されていたのだという。

また、彼女の母親は交通事故死。一人居る弟も現在失踪中。この二件は、R関連ではないということで、詳細は不明だった。


薫: では、そんな情報をまとめて、じゃ、ちょっと出かけてくるから、あとよろしくー! と言ったのが、出かける30分前。

GM: 30分前?

薫: で、30分かけて、すごい頑張って化粧します。(一同笑)……<知識:化粧>?

GM: じゃあそれで(笑)。

薫: 見栄を張りたいだけなんだ。よし! いくぞ(ダイスを振る)8!

GM: 人並みに化粧してるね。大人の女性だね(笑)。と、こんなところでシーンを切ってもよろしいでしょうか?

薫: あ、最後に電磁装甲シールド買います。

あざみ: ありがとうございます。

薫: え? 私の予備だよ?(一同笑)

あざみ: あれ!? オレのじゃないの!?(笑)

薫: まあ、必要なら渡すけどね。では、<コネ:調達師>を使って。(ダイスを振る)よし! 買えた!!

GM: では、ここで一旦シーンを切りますー。


 珍しく、だが慣れた手つきで化粧をしながら端末をいじり、いざというときの為に装備を調達する薫。それが終わると、薫は颯爽と待ち合わせの店に向かった――――。


05◆情報整理      シーンプレイヤー:佐々木由奈


 公園を後にした三人は、ひとまず落ち着こうと、円の家に行くことにした。そろそろ夕飯時ということで、途中で食材を買い込んで、だ。


GM: では、子供達のシーン。

あざみ: シーンプレイヤーは円と親しい由奈たんで。

GM: そうね。あざみだと、勝手知ったる他人の家。え? なんでお前が知ってんの? みたいな感じになるしな(笑)。

あざみ: そうそう。

薫: みんな、侵蝕率をあげるんだー!

三人:はーい。(それぞれダイスを振る)

由奈: というワケで、途中で買った食材でカレーを作ります。

円: おぉー。

あざみ: おいしそうな匂いにわくわくします。

円: なんか変な感じだなぁと思いながら見ています。

GM: ああ、いままで一人きりだった部屋に……。

円: 友達とか初めて来ちゃった、と思っている。

由奈: で、えと。料理しながらさっきの子のことを<情報:UGN>で調べたいんですが。

GM: こっそり調べてる!(笑)

由奈: あの子がえんちゃんを担ぎ上げてるという情報があったけど、えんちゃんの身柄はUGNが確保しているわけじゃないですか。だから、あの子はUGNの子なのかなって。

GM: なるほど。じゃあどうぞ。

由奈: (ダイスを振る)クリティカルして、18!

GM: それだと、薫がまとめた貴千優日の情報がひととおり出てくるよ。そして、UGNとして名前は一切挙がっていない子だね。

由奈: わかりました。で、<情報:警察>で出ていない情報があることが分かる?

GM: うん。“母親と弟の件に関しては警察の調査待ちである”ってなってる。

由奈: では、警察にコネがあるので、調べます。ヤマさーん!(と言いながらダイスを振る)あ、ヤマさん使えない! 6。

GM: そういうこと言うなよ!(一同笑)新しい情報は出てこなかった。きっとヤマさんの管轄じゃないんだよ。

由奈: なるほど(笑)。

円: じゃあ、料理待ってる間にこっちも調べ物していいですか?

GM: 変なシーン。(一同笑)

円: いや、(あざみと自分を指して)こっちの二人、沈黙だろうし、することないんで絶対パソコンつけるなーと思って。

由奈: 情報が出たところでカレーは出来上がります。

GM: では、パソコンつけたよ。

あざみ: ん、話しかけよう。さっきアイツと何話してたの?

円: いきなりアイツ呼ばわりだ(笑)。その態度にムッとしながら、……別に。昔のことをちょっと……と。優日も、オーヴァードだったこともポロっと言っちゃう。

あざみ: ふぅん……。で、黙ります。(一同笑)

円: なんか、変な会話だよね。絶対お互いに顔見てないよ、これ。

GM: こんなに険悪なPC1とPC3見たのは久しぶりだ(笑)。

円: と、いうところで一回調べてもいいかな? インターネットで優日の現状を調べたいんですよ。なんか、学校の名簿とか、大会に出てるとかで引っかかったりしないかな、と。

GM: んー、そうやって調べたいんだったら達成値14を要求するよ。

円: わかった!

GM: ネットは玉石混合。14出たら凄い写真が出る。

円: (ダイスを振る)18!!

一同: おぉー、すげー!!

GM: では。船の上が大惨事になっている写真が出てきた。


 円が見つけたサイトは都市伝説などを扱っているものだった。

ねじれた人間の死体・引き裂かれバラバラにされた死体・体内から血が溢れて死んだと思われる死体――――。

掲示板の情報によると、そんなグロテスクな画像の端に小さく型番が写っており、それがシンガポール沖で沈没したはずの船の型番と一致する、のだという。

行方不明者リストも同ページにあり、そこには優日の名前があった――――……。


あざみ: それを後ろから覗き込んで。うぇ……お前、こういうの趣味なワケ?

円: それは流して(笑)。これ、後で佐々木さんに見せたほうがいいのかな……と思うくらいで今は終わっときます。

由奈: では、グロ画像を閉じたところでカレーが出来ます。(一同笑)

円: ではいただくよ。…………無言で。

あざみ: お前、ウマイとか言えよ。

GM: ここは、出来を<知識:家政>で判定してもらいましょうか。

由奈: ふっふ~ん! <知識>は5個振れるんだ~(ダイスを振る)7。

GM: 普通においしく出来ましたー。

円: 普通に家庭の味だ。

薫: (円とあざみのスプーンを持つ仕草を見て)円もあざみもスプーン、握り持ちなんだ!?

円: 育ちがよろしくなくて。

あざみ: オレ、名家の生まれなのにっ!?

由奈: 仲いいね~(笑)。

あざみ: うめーうめー! と言いながら犬食いみたいにしてる。

薫: おい、名家の生まれ(笑)。

円: (小さい声で)………おいしい。

由奈: (照れながら)ありがとう。

GM: 由奈もかわいいなぁ……(笑)。

あざみ: (円に)あ、でさ。さっきの画像なんだったの?

由奈: 画像?

円: ぶっ! ……ド直球だもんなぁ(笑)。

あざみ: いやさっき、コイツがパソコンで船の画像見てたんだよねー。凄いたくさん人が死んでてさー。

円: スプーンくわえたまま画像とリストを開いて、これが……幼馴染の子。と言いつつマウスで名前を反転させます。

あざみ: なんか、いやーな感じするなぁ……。

由奈: …………貴千さんは、FHの関係者かも。

円: FH……って、悪い奴らの集団、だったっけ?

由奈: こくりとうなずく。

GM: 由奈はさっき調べた優日の情報、話す?

由奈: ん……と、えんちゃんは、優日さんと幼馴染なんだよね?

円: うん。

由奈: じゃあ……と言って情報を一通り話します。

あざみ: その子が、シンガポールの事件で力に目覚めちゃって、FHに引き込まれた可能性もあるよなー……とカレーの二杯目を食いながら。

GM: すげぇ無礼者に見える(笑)。

由奈: 優日さん自身は、自分が悪い組織に居る自覚は、ないかもだけど。

円: このままあっちにいたら、UGN……に狙われる可能性もあるんだよね?

由奈: うん。あり得るよ。

円: …………教授っていう人にも、協力してくれって言われた。……俺に何が出来るかわからないけど、協力するよ。優日のこと、気になるから。

由奈: (しばらく黙って)……優日さんが「FHに来て」って言ったら、えんちゃんはついて行く?

円: …………わかんない。

由奈: (円を見つめたまま)協力すると言ってくれたのは嬉しいけど、迷ったままだと、きっとえんちゃんにとっても優日さんにとっても良くないよ?

円: …………っ。

由奈: あっ! ご、ごめんね!! 急にこんなこと言って……と、食器を重ねて、ちょっと、片付けてくるね! とキッチンに行きます。

薫: 私に連絡をしないと、君は協力するという扱いにならないぞ!

円: あ、そうか。じゃあ、あとで考えてから連絡するなり、名刺をぐしゃってして捨てるなりします(笑)。

薫: コラー!!(一同笑)

由奈: で、帰り際に、個人的には手伝ってくれるのは嬉しいよ? とえんちゃんに言います。

GM: ん。帰るなら、シーンを一度切りますよー。

あざみ: うーん……あの子、「迎えに来る」って言ってたよな。……心配だなー。

GM: なんだ、お前いい奴か。(一同笑)

あざみ: だって、円が一人のときにあの子が来たら、連れてかれちゃうかもしれないじゃん?

GM: 確かにね。

あざみ: ということで、オレは残るわ。……あのさー、今の時間に帰ると親父が超キレるからさー、オレここに泊まってくわ。

円: は!?

GM: っていう空気になったところで、シーンが切れます。(一同笑)


06◆デート        シーンプレイヤー:花咲薫


GM: さて、薫のデートのシーンです。

薫: では登場!(ダイスを振る)ぐあっ!?

GM: 9だ。メキメキあがってるね。

由奈: デートにドキドキしてるんだね(笑)。

薫: ただ単に旧友と会うだけなんだから、落ち着け! 私!!(笑)

GM: じゃあ、大河がスーツ姿でやってきますよ。

薫: (片手を挙げて)よう。

GM: こういうときの笑った顔は昔のままだなと思いながら。「久しぶりだな」

薫: なんだ、相変わらずそんな格好して。いつでも出られるようにか?

GM: 「まあな。そんなところだ。」

薫: この近くに店を予約してあるんだ。行こうか。

GM: 「じゃあ、今夜はエスコート願おうかな。レディ。」とふざけた口調で言う。

あざみ: なんか大人な雰囲気だ! 急に!!(笑)

薫: で、30分後。一通りの挨拶、近況報告などしつつ、相変わらずお互い忙しいんだな。みたいな話をする。

GM: 近況報告に関しては、大河は仕事の話をほとんどしてくれない。

薫: でも、何処に行ったとかは話してくれるでしょ?

GM: ああ、そうだね。じゃあ、<知覚>の判定を。目標値7で。

薫: いきまーす。(ダイスを振る)9!

GM: じゃあ、ちょっと気になった。シンガポールの方にしばらく居たそうだ。

薫: へー、なるほど。

GM: 「……あの事件は酷かった。」と言ったときに、大河の目が鋭くなって薫を見るよ。

薫: ん?

GM: 大河には、薫がレネゲイド関連の事件を解決する組織に居ることは話してある? 秘密?

薫: いや、表のことしか話さないから。私は犯罪心理学者として、ああ、興味深い事件だねぇと言うけど、船云々の話になると、ノータッチになるよ。

GM: 大河は、船の座礁具合がどうとかいう話をしてから言う。「万が一、テロの可能性がある場合、我々も放っておけないからな。」

薫: 全く、仕事熱心なことだな。

GM: 「それはお互い様だろう。」

薫: 私の場合は趣味が混ざってるからね。

GM: 「……お互い、昔とはだいぶ変わってしまったな。」

薫: ええ。特に…あんたがね。私はそのまま趣味の方向に突き進んでるわよ?(一同笑)

GM: 「なぁ、……俺達は何の為にそれを志していたんだったろうな。」

薫: ………。まあ、いいじゃないか。昔のことは。

GM: 「俺は、もっと違うものだと思っていたんだ。」

薫: ほう?


 大河は愚痴るように語る。

世の中を少しでも良くしたい、悲しい思いをする人が減って欲しい。そんなことを思いながら犯罪心理学というものを学んでいたはずだ、と。

だが、実際外に出てみたら、人間に出来ることなんてロクになく、他の人間達が不幸を量産してしまう。何処までやっても追いつかないどころか、どんどん増えていく一方だ、と。


GM: 「思うんだ。俺はどこかで道を間違っていたんじゃないかって。他に何か方法が、あったんじゃないか、……ってな。」

薫: ……私は、可能性の一つだと思っている。事件を一人の人間が解決するなんて、ほとんど不可能だ。事件を解決する術がいくつかあって、そのうちの一つとして犯罪心理学を役立てられればいいと思っている。貴様はまさか、万能だとでも思っていたのか?

GM: 自嘲気味に笑って「そんなことは思っていなかったさ。だが、万能の力さえあれば……そんなことを考えたこともある。」

薫: 万能の力、か。確かにその万能の力というのがあれば、今起こっている事件の解決は早まるんだろうな。だが、その力を使って事件が起こされてしまったら、手の打ちようがないけどな。

GM: 「犯罪は、何処までが犯罪だ? 俺は、今の人間が間違っている、と思う。」

薫: なるほど。そっちの方向で来たか。

GM: 「久しぶりだろう? こんな与太話は。学生の頃を思い出す。」

薫: ははっ。……こうやって議論をする情熱も、何処かに置き忘れてしまったのかもしれないな。ただ、私は人類が間違っているとは思わないよ。

GM: 「……そうか?」

薫: ああ。だから心理学がやれてるんだと思う。

GM: 「そうか。そこは俺とは違うところだ。俺にとって、“それ”は手段だったからな。」

薫: なるほどな。もしかしたら私は、この学問に、のめり込んでしまったのかもな。

GM: 「それが学者ってものだろう? お前は本当に良い教授だよ。」

薫: ありがとう。教え子からは、非道とか言われたりしてるけどな。(一同笑)

GM: 「そいつらもきっと分かるさ。良い上司を持った、ってな。」

薫: (訝しげに)――――上司……?

GM: 「……さて、じゃあ俺はそろそろ行かせてもらうよ。」

薫: ――ああ、そうか。わかった、じゃあここは私の奢りだ!

GM: 「馬鹿言うな。割り勘だろ。」

薫: …………わかった。えと、すいません! お会計を……別会計で。

由奈: 「(店員になって)すいません、お断りしてるんですよー。」(一同笑)

薫: じゃあ、あの、レシート下さい(笑)。

由奈: 「(店員で)どうぞ、こちらですー。」

薫: っと、……3582円。(一同笑)

GM: じゃあ、本当に懐かしそうに笑いながら、大河はその細かい金額をぴったり出す。(一同爆笑)

薫: 用意してる! コイツ!!

由奈: 昔からそうだったんだ、きっと。

薫: あ、領収書切っていただけますかー?(一同笑)


 経費で落とす気か?


由奈: 「(店員で)お名前は如何いたしましょう?」

薫: ……上、で。(一同笑)

GM: とまあ、そんな感じで店を出て、別れ際に大河は「また近いうちに会おう」と言って一人去っていくよ。

薫: おう。じゃ、またな。

GM: と、そんなところでこのシーンを切りたいと思いますが、何かすることある?

由奈: シールド買うとか?

薫: “BUG’sBUZZ”について調べますー。

GM: はい。

薫: <情報:FH>で!(ダイスを振る)8!

GM: はい。――――かなりの実力者で、人からの依頼はかなり冷静にこなすんだけど、自分が指揮をとるような作戦になると割と先走りがちっていうか、衝動のままに動いてるんじゃなかろうかっていう感じがするエージェント、っていうくらいかな。

薫: なるほどね。……さーて、帰って報告でも聞くかー。めんどくさいなー。

あざみ: ほろ酔い支部長(笑)。

GM: では、これでシーンを切ります。

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