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メンヘラな俺  作者: 音夢
2/2

始めて

気分は最悪だ。

そんな俺は家のトイレに篭って居た。

密室空間のその空間は消臭剤の作った様な、微妙な花の匂いが充満しており、なお俺の気分を害していた。


最悪、そう心の中で呟きならがらも、息は少しずつ上がり、そして歯は自然と食い縛り、ゆったりとポケットに手が言った。


ジーンズの感触が伝わる中、俺はそれを手に取り、左腕の長袖を捲り上げた。

上がる呼吸、上がる動悸、それをコントロールする様に、息を吸い、吐き、そして手に持ったカミソリを左腕に下ろし、切り付けた。


カミソリが左腕を切り裂く、痛い。そう感じるのがやけに心地が良いのは、この行為に慣れてしまったのだろう。


2回、3回と何度も、何度も手首を切り裂く中、血は熱く左腕を伝う。

10本程度だろうか?それだけの回数をやると、見違えるほど、呼吸や動悸は落ち着いた。


そして、俺は左腕を眺め、溢れ出る血を見ながら、後悔した。

リストカットをしたあとは何時もそうだ。落ち着いたと思ったら、ふわっとした気分なって、そしてまた気分が悪くなる。


そんな俺はゆっくりと舌出し、そして左腕を伝う血を舐めた。

味わう様に、舌を伸ばし、丁寧に、まるで女との行為の様に。


血は消え、傷はかなり塞がった時、何時も気づく事があった。


何でこんな事、しているのか?と。

コレが始まったのさう、高2に春の事だ。



その日は急に来た。

元々、人は苦手だし嫌いだった。ただ登校に掛かる時間を考慮した俺は、学校に隣接している寮に住むことにした。

寮は4人部屋になっており、大きさは長方形で立て6m横3mぐらいだろうか?

そんな地獄の様な場所に俺は住んでいた。


朝、6時半に先生方が起きやすい様にと、音楽を流しているのだろう。

耳に人気アイドルグループと呼ばれている人達が歌った曲、耳にこびり付く様に作られた曲が入って来た。


何時もなら、そう何時もならこの場ですっと起き上がり、顔でも洗いに行くのだろうが、今日は何故か出来なかった。

体が怠い、体が重たい、何故だろうか?

視界に映る景色がやけに遅く感じる。


ただ、理性の方がその時は勝った。

ゆっくりと体を起こした俺は、おぼつかない足取りを寝起きのせいとして、妙にイライラとして、頭痛がする中で朝を迎えた。



それからは2日程経った日の放課後、学校から寮に戻った俺はカーテンの付いた2段ベットの上で、頭を押さえていた。

痛い、痛い、痛い、ただただ永遠に続く頭痛がイラつく気持ちを更にイラつかせ、そして気が付いた時には遅かった。


左手首に爪を当て、何度も、何度も引っ掻いた。いや、抉ったの間違いだろう。

何度も、何度もやる内に皮はめくれ、血は滲み出て、痛みと言う快楽を俺に与えてくれた。


そこで気づいてしまった、自傷が心地良いと。

そして週末になり、寮から帰宅した俺は、リストカットをした。


初めは痛かった、いや、その痛みが俺に存在感を、生きた心地を与えてくれた。

ただ、終わった後の虚しさが体を蝕むが。



そして次の月まで俺は耐えた。ただもう限界だった。そしてあの日が起きた。

寮に戻り、リストカットが出来ない日々が続く中、俺は追い込まれていた。


孤独が体にのし掛かり、体を壊して行く。

息が荒くなり、身震いがする、死にたいって、そう思いながら、カーテンの閉じたベットの中で倒れていた。


そして気が付いた時、何故か俺は家に帰っていた。そしてそれから2日分程の記憶が飛んでいた。


親や病院の先生曰くストレスで辛い記憶を消し飛ばしたらしい。


記憶と共に手首には大量の切り傷が見受けられた。

そこで、やっと俺は気づいてもらえた。

そして俺も気づいた、ああ世界は残酷で醜く、俺は壊れたんだって。


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