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ガイアの持ち主  作者: ガイア
6/18

終戦

現在時刻18:20

終戦から、ちょうど30分がたった・・・

俺たちはまず、気絶している樋口を近くの、背もたれが無い寝かせやすそうなベンチに、運んだ。

お兄さんも、あのまま道端でピクピクさせる訳にはいかず、樋口のいるベンチの近くに転がしておいた・・・

そして、今まで眠っていた樋口が目を覚ました。

「わ、わあぉ」

樋口の目覚めの一言目だ。

どんな、夢を見てたんだ・・・

樋口には、目立った外傷はないが、骨や、頭にダメージがないか心配ではあったのだが・・・

「お、ハル さっきそこに水着の女の人いなかったか?」

元気でなによりだ・・・

いったい、どんな夢見てたんだよ・・・

だが、ここは素直に答えてあげた

「こんな時期に、そんな人いると思うか・・・ いるなら会いたいが・・・」

さりげなく、本音を吐いておいた。

ちょうどそこに、ジュースの買出しに行っていた、和葉が戻って来た

「あ 樋口 目が覚めたの」

樋口は起き上がり

「おう 苑宮」

和葉は、樋口に買って来たばかりの、温かいコンポタージュを手渡した。

「お サンキュ」

と小さなお礼だけいって、蓋を開けた。

俺も和葉にコンポタージュを受け取って、樋口の隣に座った。

そこに和葉が、

「ちょっと 空けて」

と言ってきた。 つめろと言う意味である

だが、このベンチは二人用なので、三人はすこしきつい。

樋口は黙って端の方へとずれた。

俺も、買出しに行かせた身なので、断る事は出来ず、大人しくつめた。

二人用のベンチに、右から、樋口、俺、和葉という順番に並んだ。

真ん中にいる俺は、一番きつい。

そこで俺は、一つ提案をした

「お、俺、立とうか?」

と言って立ち上がろうとすると、和葉が俺を引き止めた。

「ま、待って」

突然の申し出に俺は、

「へ?」

と言う声を上げた

そして俺が、何で?、と言った顔になると和葉が理由を述べた。

「み、みんなで集まってた方が、温かいでしょ?」

ああ、なるほど。たしかに、こんな時間になると肌寒い。

「あぁ、確かにそうだな」

と言って、俺は座りなおした。

この時、辺りは暗くてよく見えなかったのだが、和葉の顔が赤かった気がする。まぁ、気のせいなんだろうが・・・

それより、先ほどから樋口が静かなのだが・・・ 何してんだ。

樋口は、何か不思議な物を見ているような顔だ。

何、見てんだ?

俺は、樋口の見ている方角を見た。

和葉も俺に続いて、同じ方向を見た。

そこには彼が居た・・・

自販機の光に照らされピクピクしていた。

あぁー・・・ すっかり忘れていた。

しかし、終戦から30分も経っているのに、まだ痛むのか・・・

彼のスキンヘッドが、自販機の光に照らされ、弱々しく光を放っていた・・・

そんな彼を見て、和葉が小さく、いたそー、と呟いていた。

お前がやった事だろう・・・

そして、樋口がとうとう俺たちに尋ねてしまった、

「あれ、何だ?」

和葉が、

「さっきの、ハゲたお兄さん」

と、答えた。

おいおい、酷い言われようだな・・・

樋口は、もっと不思議そうな顔をする、

「だよな・・・ だったら何で、あんなピクピクしてんだ。どこ、殴ったらあんな事になんだよ」

樋口、お前は根源的とこから間違えている・・・

そう、彼は・・・

「殴ったんじゃなくて、蹴り上げたの」

和葉が平然と答えた。

「蹴った? どちらを・・・」

樋口は訊いた。

しかし、樋口はもうきずきかけている。和葉が、どこを蹴り上げたかを・・・

和葉もこれに答えるのには、少々抵抗があったらしく、代わりに俺が答えた。

「股の、付け根だ・・・」

俺はあえて遠回しに答えたのだが・・・

「チ○コか!」

意味が無かったようだ・・・

そこに和葉が焦って、

「ちょ、ちょっと 大きな声で言うな」

そして、樋口の顔に和葉の拳が飛んだ・・・

おい、俺を挟んでするな。危ないだろ・・・

俺も当たらないない様にと、体を少し後ろに引いた。

だが、樋口は和葉の拳をよけた。

「えっ ちょっ ウソ」

まさか、かわされるるとは思っていなかった和葉がバランスを崩して、俺の肩を握った。

和葉に肩を持たれた俺は、体重がかけられどんどんもたれかかって行く

だが、このベンチには背もたれが存在しない。

俺はそのまま抵抗がない状態で背中が、ありえない方向に曲がった。

「うわぁぁ ちょっ やばい こ、腰が・・・」

「うわ ゴメン い、今どくから・・・」

幸い俺は、ギリギリ致命傷を逃れている

「うそ!? ち、力が入んない」

えっ ウソだろ・・・

たしかに和葉も不自然な体制で力が入りにくそうだった・・・

がんばって、力を入れようとしているのだが、踏ん張るので精一杯のようだ。

俺の両手も和葉が被さっているせいで使えない・・・

そして、これ以上体重をかけられたら、ダメだろう・・・

「ひ、樋口!」

俺は、助けを求めた。今の俺たち、助ける事が出来るのは樋口だけだった。

だが樋口は俺たちを見ずに、お兄さんに手を合わせて、目を閉じていた。

「ちょっと、樋口 何してんの! 助けて」

和葉が叫んだ。

そうしている間にも、俺にはどんどん力が加わって来ている。

ヤバイ・・・ マジでヤバイぞ・・・

「樋口 おい! 樋口!」

俺は必死で叫んだ。

そして、もう一つ限界が近づいていた・・・

和葉だ・・・

「ハル 私、ヤバイ もう、これ以上・・・」

おい、大ピンチだ。

彼はまだなのか!まだスーパーマンは来ないのか!

「和葉、がんばれ あと少し踏ん張れ」

彼が来てくれるはずだ。 だって彼はヒーローなんだから・・・

それまで俺は叫ぶぜ!

「樋口! 樋口! ひ、樋口ぃぃぃ!」

「あぁ もう、無理」

「和葉!」

ヤ、ヤバイ 腰が・・・!

「ひ、樋口! た、たす・・助け・・・て ひぐ・・・ひぐ、ち たす・・・ひ・・・、スー・・・パ、マン・・・」

そして限界が訪れた・・・

「ゴメン、ハル・・・」

そして、和葉からの援助が消えた・・・

ボキンッ! すごい音と共に、俺の腰は、有り得ないほうへと、

曲がりきった・・・・

「がばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

最後まで、彼は来なかった・・・


次は和葉をミニスカサンタにしたいと思います(好奇心)

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