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ガイアの持ち主  作者: ガイア
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赤い意思

やっぱりな・・・

俺たちは霧の中にいた・・・

俺たちは、さっき来た方向とは逆の方向から和葉に近づこうとしていた。

その途中に墓があるはずだ、と思いながら走っていると、さっきと同じ霧に包まれた。

だがこれは、まだ想定内だ。

俺の勘では、墓はこの霧に包まれていないと見つける事が出来ないような気がしていた。

「おい ハル、お前、今はまだ何ともないか?」

樋口が少し心配げに訊いてくる。

「ああ、今の所はな・・・」

さっきは、ここら辺で変な夢を見たが、今はそんなことはない。

だが、樋口には、俺がもしうなされ始めても、そのまましておいてくれと言ってある。

和葉を助けるヒントを得ることが出来るかもしれないからだ。

とその時だった。目の前に影が一つ見えた・・・

「おい 樋口、あれ」

と言って樋口の方を見ると、そこには誰もいない・・・

・・・なるほど、ここはもう夢の中って事だな。

俺は迷うことなく、その影に向かった。

やはり、影の正体は墓だった・・・

夢で見たのと同じものだ。

夢より、ボロボロにはなっているが間違いない・・・

だが、そこには、あると思っていた剣がなかった。

夢では、墓の隣に刺さっていたのだがそんなものはない。

あるのは、墓に供えられていると思われる、赤い石だけだった。

「何も、ないじゃんかよ・・・」

俺は赤い石を手に取って、脱力しそうだった。

「こんなので、いったい何も・・・」

出来ないじゃねぇか!、と叫ぼうとした時だった・・・

「それが、出来るんだよねぇ」

と後ろでよく知っている奴の声がした。

「使い方、教えよっか?」

明るい声で言った

俺はまず、驚いた・・・

「操緒・・・何でここに?」

そう、操緒だった。

俺は改めて訊いた

「何で、こんな所にいるんだよ。」

それに対して、操緒は少し困った顔をして、

「それは操緒のセリフだよ。晴紀は、こんな所来ちゃいけなかったんだけどね・・・」

どう言うことだ・・・

「前に操緒、晴紀にいったよね・・・ これ以上知ったら、人生がめちゃくちゃになるって・・・」

確かに言われた・・・

「だけど それと、これじゃ話は別だろ」

「同じだよ」

えっ・・・

そして操緒は、俺が今握っている赤い石を指さした。

「それが、晴紀の本当のイメージだよ」

俺は耳を疑った。

何でこんな石が、俺の・・・

「でも、今は違うんだろ・・・?」

操緒は首を横に振った、

「それは、違うよ 『今は』じゃなくて『今までは』だよ」

「どういう、意味だ・・・?」

操緒は、少し間を空けて

「晴紀がそれを、必要としてから、それは晴紀のイメージになったんだよ」

必要とした・・・? 俺が、これを・・・?

「違う! 俺が必要としたのは、和葉を助けれる武器だ! これじゃない!」

だが、この俺の発言に対しては、困ったように笑っただけだった・・・

そして、操緒の体がどんどん透けてきた・・・

「おい、操緒 ちょっと待てよ」

そして、消えきる直前に

「それを、どう使うかは、晴紀しだいだよ・・・」

いや、使うって言われても・・・ どうやって使うんだよ、コレ・・・

あいつ、使い方教えようか?、とか言って出てきたくせに、何も教えてもらってないんだけど・・・

その時、後ろの方で足音がした。

「おーい ハルー! どこだー!」

樋口の足音か、

それに対し俺も、

「樋口! ここだ!」

と返事すると、樋口の姿が見えた。

「おう ハル どこにいたんだ?」

いや、そっちがいなくなったんじゃ・・・

そこで、俺はある事に気づいた・・・

何でさっきまで、操緒がいた場所に樋口もいるんだ・・・

あれは、夢だったんだよな・・・

そう思い、俺は右手を見た。

やっぱりあった、赤い石・・・

ヤバイな、現実と夢の区別がつかない・・・

そして、樋口が赤い石の存在に気がついた

「おい ハル、何だ、それ?」

「墓に置いてあった・・・」

樋口がその言葉に驚いた、

「えっ 墓って、見つけたのか墓を?」

「ああ そこに・・・」

と俺は墓を指差した。はずだった・・・

ない さっきまであったはずの、墓が消えていた・・・

「おい 墓なんてないぞ・・・」

「ああ ないな・・・」

ヤバイ、現実と夢の区別がつかない・・・

そんな事をしていると、いつの間にか霧が晴れていた。

「おい そんな石でどうやって戦うんだよ?」

俺は真面目に答えた

「さぁ・・・」

「じゃぁ このまま、苑宮を助けに行くのかよ?」

俺は力なくうなずいた・・・

「本当に苑宮を助けれるのかよ・・・」

「大丈夫だ! ・・・・多分・・・」

そして、俺たちは色々と不安を抱えたまま、和葉の元へと向かった。


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