闘石寺2
現在時刻12:40
闘石寺は小さな山のふもとにあり、行き道では登り坂ばかりだった。
冬だとは言え、さすがに少し汗も出てくる・・・
歩いて15分とは、パンフッレットに書いてあったのだが、もう、歩き始めて20分ほどたった・・・
チクショウ、騙された・・・
和葉の言う通り、人力車に乗ればよかった・・・ て言うか人力車って、一人どれくらい金取られるんだ・・・?
とか言う事を考えていると、坂道の先に大きな建物が見えた。
「おお 天竺・・・」
と樋口が意味の分からない事を言っているが、ここはノータッチで行こう・・・
すると和葉がいきなり、天じ・・・闘石寺に向かって走り出した。
「お、お先いただき・・・!」
一番乗りになりたい様だ・・ 安心しろ和葉、俺たちにはもう走る気力なんてない・・・
和葉到着から1分ほどで俺たちも、闘石寺に着いた。
土曜日と言う事だけあって、人もそんなに少なくはない。
人力車も出入りしてるようで、俺たちも乗ればよかったな、と後悔する。
「つ、着いたぞ 天竺に!」
樋口とは、他人のふりをしておこう・・・
「それじゃ、樋口のお墓まりに行こ」
と和葉が樋口に切り出した。
和葉の言葉が正しいとすれば、和葉は死人に話しかけている、と言う、とてもシュールな光景が目に浮かぶ・・・
「そうだな ハル、お前はお前の用事を済ませてから来てくれ。」
と樋口が言った。
「えっ ハル、どっか行くの?」
和葉が意外そうに訊いてきた、
「え ああ、ちょっとした用事を済ませるだけだ」
と俺はあいまいのの回答をした
「んじゃ、苑宮、行こうぜ ハル、気をつけろよ」
と樋口が言って、俺に背を向けた。
なぜだか、樋口の言った『気をつけろ』と言う言葉が、とても深い意味に聞こえた・・・
「んじゃ 俺も行くか」
と一人でつぶやき、樋口と和葉に背を向けた。
短くてすいません。




