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第23話

研究所は全焼した。数名の研究所員が救出されたが、例によってまともに事情を話せる者はなく、まるで記憶を奪われている様にも見えた。セミナーの受講者で生き残った者はおらず、正に大惨事であり地下室にいた半獣人も焼け死んでいた。焼け焦げた死体からは不信な点が多く発見され、それは数名からとても人間とは思えない形跡があったからだ。獣人は死ぬと同時に人間に戻るが半獣人がこれと同じとは限られてはいない。響木社長と宇津木ケイの消息も不明である。死体の中に二人がいるのかはこれからの調査次第である。雄多郎はこの二人が死んでいるとは思っていなかった。焼死体以外の駐車場での大きな弾痕を付けた死体等、雄多郎と柳田兄妹の事情聴取は長く続いた。しかし、あまりにも現実離れした荒唐無稽な話に県警の刑事達も判断をできずにいた。三人の話はほとんど一致していた為、柳田兄妹はいったん解放されたが雄多郎には川辺での刺殺の件が尾を引いていた。やはりカガミの存在を証明できる材料は無く、人間の獣人化が立証されなければ雄多郎は殺人者という事になり、すぐに警察から開放されるとは考えられなかった。当然ユニバーサルエナジー本社にも捜査が入ったが固く門を閉ざしたまま警察も本社内に入る事ができずにいた。警察は数十人の死者を出し、事情聴取にもおおじない響木元一郎社長に対し過失致死による逮捕礼状を請求し、本社に再度迫ったが呼び掛けは完全に無視され、響木社長が本社にいるのかさえもわからない状況になっていた。本社前では警察官十数名が命令次第では突入も止む終えずという状態で待機をしていた。その中には当然、長塚の姿もあった。

長塚は雄多郎を尾行したまま姿を消した中野刑事の身を案じていた。

(中野、何処え行っちまったんだ。お前が連絡もせずにいなくなるなんて事は考えられねぇ、お前はここにいるんだろう。早見の話が正しければお前の身に恐ろしい事が起こってるはずだ。中野、無事でいてくれ・・・)

長塚の携帯が鳴った。

「もしもし、・・・そうです。これはどうも、お世話を掛けます・・・わざわざすいません。実をいいますとそれに良く似たヤマが二、三報告されておりまして・・・・」


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