37話 ドウェインの凄まじい光線攻撃、そして現れたのは?
ドウェインが、黒い縦長の物体の、できる限り正確な位置を私に聞いてくる。私はドウェインたちみたいに、なるべくずっとそれを見ないようにしながら、でもドウェインがしっかり攻撃できるように、位置をドウェインに伝えたよ。
あれが黒い霧と関係のあるものなら、というかドウェインは、生き物だって言っていたけど、なら絶対に止めないとね。ドウェインは強いから絶対にとめられるよ。そしてこの森の魔獣たちを守らなくちゃ。
もちろんもそれだけじゃない。もしかしたらあの霧が、街の方へくる可能性もあるんだ。あそうしたら今度は街にいる人や魔獣たちが、危険な目に合うかもしれないもん。
「しょれで、ときどきしゃゆうにうごいちぇる。でも、しょんなにはうごいてない。ひとりぶんくらい」
『なるほど、ならば問題はない。私の攻撃の範囲内だ』
黒い縦長なの塊は、黒い霧までとはいかないけど、さっきからゆらゆら揺れてるんだよ。時々後ろに下がったりもしてるし。ほんの数秒だけど、木の影に隠れるような動きもしたんだ。
ただ、その動きの範囲なら、ドウェインの魔法なら問題ないって。確かにあの風攻撃は凄かったもんね。
『よし、では今から攻撃する。が、一旦ここから離れたように見せて、少しだけ上に飛んだ後、そこからいきなり攻撃するつもりだ。ルーファスは私の攻撃を見たことがあるから驚かないだろうが、リンとぽこは驚くかもしれん。しっかり支えてやってくれ』
『任せて。リン、ぽこ、びっくりして慌てるかもしれないけれど、ママが一緒にいるから心配しないでね』
『おいりゃ、だいじょぶだじょ!!』
「うん、あたちも!!」
だって、さっきの風攻撃でしょう? もし、さっきよりも強い風魔法だったとしても、もう様子は分かっているから大丈夫だよ。
『全員、上空へ上がるぞ!』
今までの小さな声から、わざと向こうへ向かってそう言ったドウェイン。その声と共に、先に他のグリフォンが、次にダウルが、そして最後にドウェインが上がり始めたよ。
そんな私たちの動きの反応したのか、動きが止まった黒い縦長なの塊。すぐにそれを伝えると、ドウェインが軽く頷いて……。
頷きながらの、振り返りざまの攻撃だった。ドウェインが羽をバッ!! と広げると。キィィィィィィンッ!! という音と共に、光の光線? みたいな物が空気を振るわせながら、黒い縦長の塊に向かって放たれたんだ。
さっきの風魔法どころじゃなかったよ。こう濃縮された力の塊が飛んでいった感じ? そして放たれたん光線は、黒い縦長の塊を直撃したように見えたあと、少し後ろの地面に当たり。ドゴォォォッ!! と音を立てながら地面に当たったんだ。
風攻撃だと思っていた私は、あまりの攻撃力にびっくりして、動きが止まっちゃったよ。だって全然レベルの違う魔法だったんだもん。そして私の隣では、私と同じように、固まっているぽこちゃん。そんな私たちの隣で、歓声を上げるルーファス。
何、今の攻撃。
『2人は大丈夫か?』
『え~、まぁ、大丈夫でしょう。ちょっと固まっているけれどね』
『フッ、何だその顔は』
ダウルが、チラッと私たちの方を振り向いてきて笑った。
『土煙が面倒だな、さっさと消してしまおう』
『完璧に当てた感じか?』
『いや、もし生き物なら、何をしたいのか、なぜこのようなことをしたのか、そして黒い霧が何なのか、一応話を聞いておきたいからな。動けなくとも、話ができる程度には外しておいた。もし話の通じないような相手ならば、その時はその場で仕留めればいい』
『だな。じゃあ、土煙はオレが消してやるから、お前はすぐに動けるようにしておけ』
『分かった』
ドウェインが土煙が黙々と立っている近くまで降りていく。と、その頃になって、現実に戻ってきた私。私は遠くから土煙を消そうとしているダウルにお願いして、少し土煙に近づかせてもらったよ。まぁ、ドウェインとママには怒られたけど。
でも何かあったら、私がドウェインに伝えてあげないと。なにしろ相手は、みんなに見えない相手だからね。
『じゃあ土煙を消すぞ、全員気をつけろよ』
全員が攻撃態勢に入る。ダウルが風魔法で土煙をふわっと消し始める。それもまぁ、なかなかの風魔法なんだろうけどね。これまでに凄い攻撃の連続で、何とも思わなくなっちゃったよ。
全員が黙る中、すぐに土煙はなくなっていき、ドキドキしながらその中心を見つめる。どんな生き物がいるのか、それはどれほど危険な相手なのか。どうかみんなが、怪我をしませんように。そう思っていると、ついに土煙の中心が見えたよ。
と、それは一瞬だった。気づいた時には、ドウェインとママが地面に降りていて。ドウェインは足で、ママも足で踏みつけながら、剣でも動きを止め、そして物凄い圧を放っていたんだ。私たちの近くにいたのに、本当にどうやって一瞬でそこまで移動したのか。
と、まぁ、それは今は良いとして、ドウェインとママは、一体何を踏みつけ、圧を放っているのか。
それは、黒いローブに黒い靴、全身を黒ずくめの何かだった。見た感じでは人のようにも見えるけれど、この世界には獣人やエルフ、他の種族もいるから断言はできない。だけど、何にしろ人型の何者かであることは間違いないだろう。
『なにか、ふんでる』
『にゃんだじょ?』
「少しでも動いたら、その首を切り落とすわよ」
ママの鋭い声が、冷たく辺りに響いた。




